この「有識者」について、コトキンは、より広く、教師、コンサルタント、弁護士、政府官僚、医療従事者、ジャーナリスト、芸術家、俳優など、物質的生産以外の仕事に従事する者を含めている。 現代社会は複雑であり、その運営には高度な専門的知識を要する。一般市民の政治参加、すなわち民主主義ではうまくいかない。高度な知識を有するエリートである「有識者」による支配のほうがうまくいく。このような論調がある。しかし、現代の「有識者」が実際に行っているのは、次のようにして、現支配体制を正当化することなのである。 有識者層と寡頭支配層の多くは、貧困の拡大、社会的格差の固定化、階級間の対立といった経済停滞の影響に対処しようとはせず、幅広い人びとのための経済成長よりも「持続可能性」の理想を追求している。中世の聖職者が物質主義に異を唱えたように、今日の学界やメディアで活躍するインテリたち、さらには企業エリートの一部も、ダ