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  • 『定年後に読む不滅の名著200選』読書三昧の定年後はステキだぞ! - HONZ

    定年後に読む不滅の名著200選 (文春新書 1442) 作者: 文藝春秋編 出版社: 文藝春秋 発売日: 2024/3/19 読みは人がどんなを読んでいるかを気にする。同様に好きは、自分が読んでいない名著が気になって仕方がない。おそらくHONZの読者もそうだろうが、私はブックガイドと見れば直ちに購入してしまう。そして書は「定年後に読む」と名打っているのだ。 「人生100年時代」と言われ始めて、寿命が100歳前後まで伸びる話が現実味を帯びてきた。人生教育仕事・老後の3ステージで区切ってみると、平均寿命80年そこそこの時代は、教育20年、仕事40年、老後20年のスパンだった。 それが100年時代になると、老後が仕事と同じ何と40年まで延びてしまう。つまり、現役時代に匹敵する時間をどう過ごすかが、大きな課題となってきたのである。 私も24年教授を勤めた京都大学を3年前に定年となり、定

    『定年後に読む不滅の名著200選』読書三昧の定年後はステキだぞ! - HONZ
  • 『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ 英国紳士がたしなむ幻の武術』その正体とは? - HONZ

    「明鏡止水 武のKAMIWAZA」というNHKの番組をご存知だろうか。格闘家でもある俳優の岡田准一が司会を務め、武道各流派を率いる一流の武術家たちが集結し、真髄を語り秘儀を披露していく。録画をして繰り返し観るほど私の好きな番組だ。 『シャーロック・ホームズの護身術バリツ:英国紳士がたしなむ幻の武術』には技の説明のため120点を超える写真が掲載され、中には袴を穿く人物が登場している。動いている姿を見てみたいという欲望が沸き上がる。この番組で実演してくれないだろうか。 「バリツ」という格闘術が一般に有名になったのは、ひとえに〈名探偵シャーロック・ホームズ〉シリーズの「空き家の冒険」で、宿敵のモリアーティ教授の死闘を回想したこのシーンからだ。 ―崖っぷちから落ちかけたぼくたちは一瞬ふたりそろってよろめいたんだ。でもぼくは日の格闘術であるバリツを少々かじっていて、何度もそれに救われたことがあって

    『シャーロック・ホームズの護身術 バリツ 英国紳士がたしなむ幻の武術』その正体とは? - HONZ
  • 『ライチョウ、翔んだ。』このままでは絶滅する…。難題を解決することはできるのか? - HONZ

    ライチョウ、翔んだ。 作者: 近藤 幸夫 出版社: 集英社インターナショナル 発売日: 2024/4/26 2015年8月、衝撃的な写真が新聞に掲載された。北アルプスのライチョウがニホンザルに捕されている姿が初めて撮られたのだ。ライチョウの生息数は激減している。そこに新たな天敵としてサルが加わることは大きな脅威となる。 世界的なライチョウの研究者で信州大学名誉教授の中村浩志は緊急記者会見を開き、マスコミを使って警告した。このままでは絶滅すると。 信州大学農学部卒の著者、近藤幸夫は当時朝日新聞長野総局の山岳担当記者。この記者会見までそれほどライチョウに興味を持っていたわけではない。 だがここで会った中村の熱い思いに圧倒され、取材者の立場を越えて、スタッフとなり、早期退職をしてしまうほどのめり込んでいく。 「鳥の気持ちが分かる」と中村は言う。幼い頃から鳥に興味を持ち、カッコウの研究では世界の

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  • 芥川賞作家によるADHDをめぐる私ノンフィクション 『あらゆることは今起こる』 - HONZ

    あらゆることは今起こる (シリーズ ケアをひらく) (シリーズケアをひらく) 作者: 柴崎友香 出版社: 医学書院 発売日: 2024/5/13 『あらゆることは今起こる』、芥川賞作家・柴崎友香さんの最新作である。いかにも小説っぽいタイトルだが、そうではない。柴崎さんが40代の後半でADHD(注意欠如・多動症)と診断を受けられ、治療薬のひとつであるコンサータを服用、いかに変わられたか。その自分の経験からADHDASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害について考えていかれるノンフィクションである。 小学校六年生の修学旅行で夜更かしして翌日眠たくて、それ以来一回も目が覚めた感じがしなかったんですが、今、三十六年ぶりに目が覚めてます それって映画「レナードの朝」のロバート・デ・ニーロやん、と思わず突っ込んでしもた。スンマセン。柴崎さんがコンサータの最初の一錠を服用された時の感想だ。つい小説

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  • 『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』今も1万人の遺骨が見つからない。日本政府に遺骨収集への考え方を問う - HONZ

    硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ 作者: 酒井 聡平 出版社: 講談社 発売日: 2023/7/27 太平洋戦争末期、小笠原諸島の硫黄島でアメリカ軍と栗林忠道陸軍中将率いる日軍の激戦があったことは、クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』で若い人にまで広く知られている。 日軍兵士約2万3000人のうち戦死者は約2万2000人。だが1万人分の遺骨がいまもなお見つかっていないということを知っているだろうか。 著者の祖父は小笠原諸島父島の防衛に携わる部隊に居り、終戦後は衰弱した身体で帰還した、と著者は幼い頃より聞かされて育った。 北海道新聞の記者となってから、硫黄島で玉砕した戦没者の遺児で遺骨収集団に15回も参加している三浦孝治さんと出会う。 取材者として参加することは禁じられていた。だがすでに老齢に達していた三浦さんから聞く遺骨収集の過酷な現実に衝撃を受けた著者は参加を決意する。

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  • 『首都直下 南海トラフ地震に備えよ』東日本大震災は「まだ終わっていない!」 - HONZ

    首都直下 南海トラフ地震に備えよ (SB新書 654) 作者: 鎌田浩毅 出版社: SBクリエイティブ 発売日: 2024/4/28 2024年の元日に能登半島地震が発生し、多くの犠牲者が出た。現在も復興作業が続けられている最中だが、その後も千葉県・房総半島沖で地震が頻発するなど、日列島周辺の地盤変動が止まらない。 巨大地震と津波が東北・関東地方を襲った東日大震災から13年が経ち、多くの人が「日は地震国」であることに改めて気づかされた。それ以後も熊地震や北海道胆振(いぶり)東部地震など震度7を観測する大地震が次々と発生し、人々の不安が強まっている。 地学を専門とする私の目からは、未曾有(みぞう)の災害をもたらした東日大震災は「まだ終わっていない」のである。というのは、日列島で1000年ぶりに起きた大変動は今も継続中だからだ。 東日大震災の直後から、地球科学者が「地殻変動」と呼

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  • そうだ、インド・ネパール料理店へ行こう!『カレー難民の謎 日本を制覇するインネパ』 - HONZ

    カレー移民の謎 日を制覇する「インネパ」 (集英社新書) 作者: 室橋 裕和 出版社: 集英社 発売日: 2024/3/15 不思議だと思っていた。にぎやかな下町に住んでいるとはいえ、徒歩圏内に「インド料理店」が五軒もある。うち一軒はビリヤニなどもメニューにあるホンモノのインド料理店だけれど、他の四軒は「インド・ネパール料理店」で、メニューも値段もえらく似通っている。 さらに不思議に思ったこともある。ちょうど5年前、トレッキングでネパールへ行った時にわかったのだが、カレーがほとんど出てこない。代わりによくべた、というよりべさせられたのはダルバートだ。豆(ダル)のスープと米(バート、もちろんインディカ種)がメインで、そこにカレーに似た、といってもそれほどスパイシーではないタルカリというのがついていて、アチャールという漬物や薬味が添えられている。トレッキングのガイドさんたちは毎ダルバー

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  • 『評伝クリスチャン・ラッセン』なぜ日本で人気なのか - HONZ

    評伝クリスチャン・ラッセン 日に愛された画家 (単行) 作者: 原田 裕規 出版社: 中央公論新社 発売日: 2023/12/20 まだ学生だった頃の話である。その日、山手線のある駅で待ちぼうけをっていた。ふと周りをみるとギャラリーがある。ガラス張りで見通しがきくし、これなら待ち人と行き違うこともなさそうだ。それに暇つぶしに絵画鑑賞なんてしゃれてるじゃないか。そう考えて足を踏み入れたのが間違いだった。 入ると、若い女性が満面の笑みで寄ってきて絵の説明をはじめた。熱心だなと好印象を抱いたが、途中からやけにボディタッチが多いのが気になった。そのうち話がおかしな方向に向かっていることに気づいた。彼女は作品の解説をしていたのではなかった。売りつけようとしていたのだ。 いくら断っても彼女は一歩も引かない。お金がないと言えば、48回払いをすすめられ、待ち合わせ中だと言えば、ぜひお友だちもご一緒に

    『評伝クリスチャン・ラッセン』なぜ日本で人気なのか - HONZ
  • これから出る本 2024年2月 - HONZ

    トヨタに関するはノンフィクション、フィクションとも数多く出版されていますが、ここに大きな話題になりそうなが出てきます。トヨタ中国事務所総代表だった服部悦雄氏という人物を主人公に、トヨタ中国進出と世襲の内幕を描く!という気になる作品。服部氏は『トヨトミの野望』に登場する「中国の怪人」だとも紹介されています。幼い頃から中国で暮らした服部氏の苦難の模様はそのまま中国史としても読めるでしょう。国と企業という大組織に翻弄された人生、興味深い作品です。 2月発売予定の新刊から、いくつかピックアップして紹介していきます。

    これから出る本 2024年2月 - HONZ
  • 100兆円使う前に考えておきたいこと!? 『100兆円で何ができる? 地球を救う10の思考実験』 - HONZ

    未来をあれこれ空想する際、話は断然デカい方が良い。評者の周囲にも投資家はたくさんいるが、彼らはいったいいくら投資するのだろう? 1億円、10億円、100億円? しかし100兆円投資できる資産家は、世界に幾人もいないのではないか。 そこで大金が入る前にちょっと考えておこう。いま手元に100兆円あったら、何に使ったらよいだろう?(How to Spend a Trillion Dollars)。 副題に「地球を救う」とあるように、使い道は「世界のためになること」とする(Saving the world and solving the biggest mysteries in science)。 ちなみに、100兆円とは我が国2023年度の一般会計(114兆円)くらいの額だが、「1年間で使い切るプロジェクト」として大胆な提案を行ったのが書だ。 10章に分かれたテーマには、「世界から貧困を一掃す

    100兆円使う前に考えておきたいこと!? 『100兆円で何ができる? 地球を救う10の思考実験』 - HONZ
  • 『隆明だもの』父親は「戦後最大の思想家」 - HONZ

    全集は月報が面白い。月報とは、全集の各巻が刊行されるごとに差しはさまれる小冊子のこと。ようするに附録である。著者ゆかりの人物がエッセイでとっておきのエピソードを明かしていたり、著者の素顔について語られた座談会があったり、附録とはいえ内容は充実している。文学研究者のあいだでも、月報は作家の人となりを知ることができる貴重な資料とされる。講談社文芸文庫には月報だけを集めたラインナップもあるほどだ。 書は『吉隆明全集』(晶文社)の月報の連載をもとにしている。著者は吉家の長女で、漫画家・エッセイストのハルノ宵子。吉家は父・隆明、母・和子、長女・多子(さわこ:ハルノ宵子)、次女・真秀子(まほこ:吉ばなな)の4人家族で、書には、ばななとの姉妹対談もおさめられている。 吉隆明(1924年-2012年)といえば、戦後思想界の巨人として知られる。とくに団塊の世代には神のように崇める人が多い。そん

    『隆明だもの』父親は「戦後最大の思想家」 - HONZ
  • ヒトは自らを家畜化したのか 『キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語』 - HONZ

    作者: リー・アラン・ダガトキン,リュドミラ・トルート 出版社: 青土社 発売日: 2023/11/27 キツネの家畜化実験、ナショナルジオグラフィックなどで紹介されたりしているので、その驚くべき成果の概要をご存じの方も多いだろう。かくいう私も人並みならぬ興味を持ってこの壮大な研究を見つめてきたのだが、その裏で、研究成果にも劣らぬ人間ドラマがあったとはまったく知らなかった。主人公はふたり。ひとりはキツネの家畜化実験を考案し、1952年に始動し1985年に亡くなるまで従事し続けた遺伝学者ドミトリー・ベリャーエフ。もうひとりは、1958年から実際の飼育実験にたずさわった女性研究者リュドミラ・トルート―書の共著者でもある―だ。 うまくいく確証などまったくなかった、というよりは、無謀ともいえる研究だった。一般的に、動物の家畜化は長い年月をかけて少しずつ進むものだと考えられている。また、家畜化され

    ヒトは自らを家畜化したのか 『キツネを飼いならす 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語』 - HONZ
  • 『SWITCHCRAFT 切り替える力』著者インタビュー - HONZ

    幸福に生きていくには、『すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略』が必要だ。そう力強く説く認知心理学者・神経科学者であるアデレード大学エレーヌ・フォックス教授へのインタビュー。きっと生き方を変えるヒントが見つかるはず! SWITCHCRAFT(スイッチクラフト) 切り替える力: すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略 作者: エレーヌ・フォックス 出版社: NHK出版 発売日: 2023/11/17 仲野 長い間、科学者として生活してきました。まずその立場から申し上げたいのは、「切り替える力(スイッチクラフト)」―必要な時には躊躇なく変わるべきである―という考え方は非常に合理的だと感じたということです。というのは、科学的な研究を続けるのは切り替える力の連続技のようなところがあるからです。 フォックス ええ、確かにそうですね。 仲野 とはいえ、後から考えたら潮目がいつだ

    『SWITCHCRAFT 切り替える力』著者インタビュー - HONZ
  • 『怪物に出会った日』敗北が持つ豊かな可能性 - HONZ

    『怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ』作者:森合正範 出版社:講談社 発売日:2023/10/26 彼の強さを確認するのは容易い。たとえば「井上尚弥 パヤノ」で検索してみよう。それだけで何もの動画を見つけることができる。 2018年10月7日、横浜アリーナで行われたこの試合は、バンタム級最強を決めるトーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ」の一回戦であるとともに、WBA世界バンタム級タイトルマッチでもあった。 勝負は一瞬でついた。王者の井上尚弥は元世界王者で挑戦者のファンカルロス・パヤノを、ゴングからわずか1分10秒でリングに這わせた。ワンツーの右ストレート。瞬殺だ。 強い。誰が見ても井上尚弥は強い。米国の歴史あるボクシング専門誌『ザ・リング』は、全階級を通じた最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」を1989年から発表している。「もし階級や体重差がな

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  • なんだか全然わからないことの楽しさ『中国の死神』 - HONZ

    2000年の夏、ある子どもが家族で北京の公園に遊びに行った。広いその公園には、お化け屋敷のようなものがあった。こわごわ暗闇の中に入っていくと、ゴワゴワした髪の毛の首つり女の人形や、地獄の鬼卒がいた。なぜかそこにティラノサウルスが現れた。 針の山で血みどろになったおじさんや、血の池地獄で煮られているおじさんの間に、草をはむステゴサウルスもいる。最初は怖がっていたその子どもは、その中国の適当さ(?)にすっかり慣れていき、途中から「ハイまた恐竜~」と弟とふざけながら進んだ。その後に大変な出来事が待っているとも知らずに。 そのまま進むと、出口付近にボロボロの老婆(人間)が座っていた。そこには「一回5元」と書いた看板が掲げられている。子どもがわけのわからないまま5元を渡すと、老婆は壁のスイッチを押した。すると、「ウルトラマン! ウルトラマン!」という声とともに、大きな大仏が7色のライトを浴びて姿を表

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  • 『創造性はどこからやってくるかーー天然表現の世界』創造とは外部を召喚すること - HONZ

    ワクチンを開発した科学者パスツールは「Chance favors the prepared mind.(幸運は用意された心のみに宿る)」という言葉を残している。準備する心によって偶然に気づくことができるのだということだろう。心構えはとしては納得できる、と同時に疑問が湧いてくる。チャンスそのものを増やしたり、再現性を高めることはは可能なのだろうか。 書の射程は、チャンスそのものではない。チャンスや幸運を捕獲する網をよりよくデザインすることを検討する。心構え以上のものを探るということだろう。アプローチとしては、アート制作を通じて、「やってくる」チャンスを構造化し、掴むことの可能性を探究する。 生命基礎論の研究者である著者は、人工知能に対峙する徹底的に受動的な「天然知能」という生命のモデルを提唱し、関連した著作を出版してきた。著者としては、知能や創造性の研究はするものの、「アート」を制作するこ

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  • 熱き男が叶えたジャパニーズドリームここにあり! 『逆転力、激らせろ−希望を咲かせて』 - HONZ

    あるんや、ジャパニーズドリームって。この、山分ネルソンの一代記を読めば、誰もが驚きを持ってそう思うだろう。もうひとつ、私にとっての大きな驚きは、それが身近なところでおこっていたことだ。すこしわかりにくいが、タイトルの「激らせろ」は「たぎらせろ」とルビがふってある。 山分ネルソン祥興、マレーシア出身の50歳。大阪や関西圏以外の人はご存じないかもしれない。私が長年勤めていた大阪大学医学部出身の産婦人科医師である。20年ほども後輩だし、母校の教授になった頃にはすでに卒業していたので面識はない。 ワイドショーに出てコメンテーターを務めていること、それから、だいぶ前になるが参議院議員選挙に大阪地方区から立候補したことくらいしか知識がない。唯一のつながりであるFacebookを見ていると、ド派手な衣装でダンスをしている写真とかがアップされている。なんだかちょっと胡散臭い奴ちゃうんか、と思っていた。ス

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  • 『最後の海賊』その先に待つのは破滅か、栄光か - HONZ

    楽天グループが危機に瀕しているという声をよく聞く。 2023年1月~6月期の連結決算は、最終損益が1399億円の赤字。好調な事業もグループ内にはあるものの、営業赤字が1850億円にのぼったモバイル事業が大きく足を引っ張っているとされる。加えて来年以降は、基地局整備などに充てるために発行した社債も大量の償還を迎える。償還に向け、グループ会社の上場や一部資産の売却など資金調達に追われているのが現状だ。 確かに苦しい局面に置かれているように見える。 だが書を読んだ人は、見る目が変わるかもしれない。 書を読むと、海外では楽天に対する見方がまるで違うことに驚く。モバイル事業では楽天はむしろ世界の注目を集めているという。「携帯ネットワークの完全仮想化」というイノベーションを世界で初めて商用ベースで実現したからだ。 「仮想化」とは、ハードをソフトに置き換えること。ワープロ専用機がワープロソフトに置き

    『最後の海賊』その先に待つのは破滅か、栄光か - HONZ
  • 『イラク水滸伝』向かうは古代から続く元祖”梁山泊”! - HONZ

    約480ページ。もはやの厚さごときでは驚かない高野秀行の新作冒険譚の舞台はイラクの南東部、ティグリス川とユーフラテス川の合流地点に四国ほどの大きさで広がる巨大湿地帯〈アフワール〉である。 著者は現代でも謎に満ちた民族が生活し、迫害された人々が逃げ込むという、迷路のように水路が入り組む世界遺産。著者は2017年にこの場所を知り、「行ってみるしかない」と決意した。発想の突飛さはデビューの『幻獣ムベンベを追え!』のころとあまり変わっていない。 混迷を極める中東への冒険はハードルが高い。だがさすが世界各地の“謎”に挑んできた冒険作家。周到な調査や丹念な準備を重ね、信頼できる相棒を得て飛び立つこととなる。 同行したのは「世界の川をすべて旅する」をライフワークに掲げる山田高司。高野が師匠と崇める林業専門家で環境活動家だ。彼が魅せられたのがアフワールに浮かぶ船だった。その船を現地の船大工に作ってもらお

    『イラク水滸伝』向かうは古代から続く元祖”梁山泊”! - HONZ
  • 『自衛隊の闇組織』「別班」は実在する! - HONZ

    TBSのドラマ『VIVANT』が話題だ。我が家もドはまりしていて家族は毎週考察に夢中である。主人公の乃木憂助は自衛隊の裏の組織「別班」の工作員だったが、その後テロ組織の一員となった。「潜入」なのか「転向」なのかはいまのところ不明だが、予測を裏切る脚が売りなので、この先もあっと驚く展開が用意されているのかもしれない。 さて、設定が自衛隊の秘密部隊ともなると、当然のことながら家族からこんな疑問の声があがる。 「“別班”って当にあるの?」 「あるよ」即答したら、「え―――っ!?」と大興奮。そこで別班の成り立ちや任務、公安との違いなどを解説してやると、子供たちは珍しく尊敬の眼差しである。それだけではない。日頃、掃除機での山を突き崩す嫌がらせを繰り返すまでもが感心しているではないか。ひさびさに父親の面目を保てた気分だが、実は解説のほとんどが書の受け売りだというのは秘密である。もっともドラマ

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