今日の一冊。今日は佐々木喜善「聴耳草紙」をご紹介。 作者の説明をする前に「民俗学」について軽く触れておこうと思う。 民俗学とはその国、その土地の風俗、習慣や伝説、民話、歌謡、生活用具、家屋など古くから人から人の間に伝えられてきた有形・無形の資料を元に、その歴史的変遷を明らかにして現在の文化と比較し説明しようとする学問だ。 やがて「柳田國男」をはじめ「折口信夫」「南方熊楠」などの巨人が出現し、学問として成立してゆくことになるこの民俗学。そしてこうした偉人たちの周りにもまた、傑出した人物が集うことになる。柳田が避けた「性」や「被差別民」に関する研究で注目された「宮本常一」、そしてみなさんも一度は聞いたことがあるだろう「遠野物語」の成立にかかわったのが、「聴耳草紙」の作者でもある「佐々木喜善」である。 佐々木は幼少の頃から怪談話を聞いて育ったこともあり、怪奇譚に興味を持っていた。そんな佐々木は妖