今週――来る10月23日に――拙著『哲学トレーニングブック』(平凡社)が公刊される。この本では、いろいろな哲学書を読み解きつつ、自由意志と思考が論じられる。本ノートの以下の文章において、良い機会であるので、〈哲学書の読み方〉について手短に論じたい。 哲学書を読むことはときに難しい。例えば以下の引用はヴァルター・ベンヤミンの論文「運命と性格」の冒頭部であるが、内容をあらかじめ知っていないひとにとってはおそらくちんぷんかんぷんだろう。 運命と性格はふつう因果的に結ばれたものと見なされており、性格が運命のひとつの因子になると思われている。そのさいの根底にある考えは、つぎのようなものだ。一方で誰かの性格が、したがってまたかれのもつ反応方式が、あらゆる細部にわたって知られているとともに、他方で世の中のできごとが、その性格と触れあう諸領域では、すべて知られているとするならば、その性格にどんなことがふり
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