アリゾナあたりの砂漠の道を、砂塵を蹴立てて黒いシビックが走っていく。やがて「Can you hear me〜」で始まる挿入歌が流れ、最後は「Go, Vantage Point」のロゴで終わる、グルーヴ感に満ちたCM。オフロード走行がウリのクルマでもないのに、埃を被って汚れまくったボディを平気で映し出す自動車CMなんて、カッコよすぎるじゃないか! あのCMから連想したのは、新型シビックが、乗り手を遠くに駆り立ててくれる、そんな乗り味を持ったクルマではないか、というイメージだった。で、つい最近、アリゾナではなく御殿場をベースにした試乗会で、そのシビックを走らせる機会を得た。そうしたらそれは、僕が想像したとおりのクルマだった。 僕が自動車専門誌の編集記者としてモータージャーナリズムの世界に足を踏み入れた翌年の1972年、初代シビックがデビューした。それは当時としては異例に垢抜けたデザインの、ヨー