その男たちは、突然、町に現れる。遠くから聞こえる太鼓と笛の音が、子供から老人まで、その心を踊らせ、引き寄せていく。神出鬼没の「現代のチンドン屋」は、伝統に縛られ拝金主義にまみれた芸能界に痛烈なアンチテーゼを突きつける。(下の動画をご覧ください) JR中央線三鷹駅北口の交番横。小さなベンチが設置されている場所は、普段はバスの降車場所として、人々が足早に通り過ぎていく。 そこが騒然としたのは、11月中旬の昼下がりのことだった。野良着をまとい、太鼓や笛を手にした14人の男たちが目配せをしながら、その瞬間を迎えようとしていた。周囲のほとんどの人はまだ、これから何が起きるのか予期していなかった。 午後1時、突然、太鼓が打ち鳴らされる。のっけからアップテンポの曲で始まり、笛や鐘、そしてエレキ三味線が重なっていく。 その音に、道ゆく人々が足を止め、集まってくる。最初は彼らを取り巻く二重の人の輪が、次々と