リアリティという言葉は便利だ。僕は常々リアリティよりも「説得力」が正しいのではないかと考えているのだけど、ここでは敢えて「リアリティ」を使うことにした。 ある作品がリアルだなと思えるのは、その作品に有無を言わさない「説得力」があるからだ。人が作品にリアリティを感じるときに、その「リアル」が現実に起き得るか否かはあまり関係ない。その作品中で、その「リアル」が起き得ることを説得させれば良いのである。例えば、推理小説の最後に何の説明も無く「密室殺人は霧状に変化した吸血鬼の仕業でした」では読者を説得することはできない。しかし、その推理小説中に吸血鬼がいるような話を構築できれば読者を説得できるだろう。共に、荒唐無稽な推理小説ではあるが前者はリアリティが無いと断じられるに違いない。 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEXと精霊の守り人のリアリティ ユリイカ 2007年6月号 特集=上橋菜穂
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