現場と乖離する「成長戦略」 経済成長が、経済においてもっとも重要な変数であることはいうまでもない。もちろん成長にはさまざまな費用・代償が伴うし、一定期間に作り出されたモノやサービスの付加価値額である国内総生産(GDP)の増減だけが「すべて」であるわけではない。 環境汚染や破壊、天然資源の枯渇、また経済成長がもたらす社会変動などは、時として大きな苦痛をもたらす。しかし、環境問題を解決する方向も経済成長の延長線上にしかありえない。 また、人間の幸福度とGDPの関係については、一定の所得水準を超えるとあまり関係がないという議論が根強い。しかし、最新の研究ではやはりGDPは幸福度に大きな影響をもたらすという。成長がある状態と成長がない状態を比べるならば、成長の利益は費用を(大幅に)上回るというべきだろう。 ところで、現政権には具体的な「成長戦略」がないという批判がある。内閣改造前の6月27日に閣議