PDF版 多くの国々で格差が拡大し、経済の成長が緩慢であったことにより、包摂的な経済成長を支える政策に注目が集まった。市場経済システムの下では、ある程度の格差は不可避であるが、過剰なまでに深刻化した格差は社会の一体性を損ない、政治の二極化につながり、究極的には経済成長を押し下げる可能性がある。今号の財政モニターでは、富の再分配の目標を達成する上で、財政政策にどのような貢献ができるかについて取り上げる。今回は、その中でも、活発に議論が交わされている3つの政策分野、すなわち、所得階層最上位に対する限界税率、ユニバーサル・ベーシックインカム (UBI、全国民向け最低生活保障) の導入、教育と保健医療への公共支出が果たす役割に焦点をあてる。 格差と経済成長。そして、財政政策による富の再分配 国境を考慮せずに世界人口全体の格差を測定し、世界の不平等性を計算すると、世界の不平等性はここ数十年で是正され