JR東海と東急は5月30日の記者会見で、静岡県の観光振興と地域活性化を目的としたクルーズトレイン「THE ROYAL EXPRESS ~ SHIZUOKA・FUJI CRUISE TRAIN~」を今秋に運行することを発表した。 横浜を出発し、静岡県内を周遊して3泊4日で横浜に戻る旅行商品として発売する。日中の移動は列車で、車内では沿線を代表する名店の料理を提供。専用バスを利用して宿泊先に向かう。宿泊は3泊とも静岡県内の名だたるホテル・旅館で、旅行代金は1人当たり75万円からという豪華観光列車だ。改めて日本のいいところを旅したいと考えている70代をターゲット層とする。 東急が傘下の伊豆急行で運用していた「アルファ・リゾート21」を改造し、2017年から運営しているTHE ROYAL EXPRESSを活用する。横浜~熱海間の運行はJR東日本が担うため、実質的には3社連携のプロジェクトと言える。
「大阪・関西万博の会場建設に黄信号 半導体工場がライバル」では、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に関わるゼネコンの実情などを紹介してきた。今回は、批判も多い、膨れ上がる万博関連予算や経済効果について見ていく。 万博が多くの人から“敬遠”される大きな要因は、人手や資材不足による建設単価の急騰に伴って膨れ上がった予算だ。 「費用の抑制に向け、政府として管理、監督責任を果たす。さらなる増額を認めるつもりはない」。岸田文雄首相は23年11月の衆院予算委員会で、会場建設費の上振れが続いた大阪・関西万博についてこう強調した。 会場建設費2度の修正 会場建設費は誘致時の1250億円から、20年に1850億円、23年秋は最大2350億円に膨らんだ。資材や人件費の高騰が主因だ。会場建設費は国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する。人件費や警備費などを含む運営費も当初想定の809億円から23年末には
この記事の3つのポイント 日本のロケット開発のキーパーソンは旅客機も企画した ロケットと旅客機の開発チームの違いは「継続性」 私案・もし日本製の旅客機を開発するならば 経済産業省が3月27日に、大臣諮問機関の産業構造審議会で、航空機産業戦略を公表した。開発遅延を繰り返して最終的に開発中止になった旅客機「三菱スペースジェット(MSJ、旧MRJ)」の失敗を受けて、今後10年で官民合わせて4兆円の投資を行い、2035年以降に次世代国産旅客機の事業化を官民連携で目指すとした。 こういうニュースが流れると、私のところに質問が飛んでくることがある。「なんで日本は旅客機を造れないんですか。ロケットは飛ばせるのに何が違うんでしょうか」 一番単純な答えは、「ロケットは造り続けたから。旅客機は途中でやめちゃったから」というものだ。が、これではその意味が理解できない人も多いだろう。 自分はある程度、この件につい
この記事の3つのポイント 衝撃的な事態になったドラマ「セクシー田中さん」 原作を読んで思い出したのは日比谷焼き討ち事件 委細を知らない人が暴走する背景を考えてみる なんとも衝撃的なことが起きてしまった。日本テレビのドラマ「セクシー田中さん」の件だ。原作のマンガの作者の芦原妃名子氏と、脚本家の方との葛藤がネットで話題になったと思ったら、芦原氏が亡くなられるという事態になってしまった。 なにが衝撃的って、私はこのことが話題になった時点で、「これはものすごく面白いマンガなのではないか」と直感して、原作のマンガ7巻をまとめて大人買いしたのである。さあこれから読むかというところで、作者の訃報が飛び込んできて、茫然(ぼうぜん)自失である。 (編集部注:以下に『セクシー田中さん』について若干のネタバレがあります) 普段ならば『セクシー田中さん』というタイトルと設定で、「あ、オフィスラブコメか。自分には関
ウクライナは、ロシアが築いた強力な塹壕(ざんごう)による防衛線を突破できず苦しんでいます。ザルジニー総司令官は英誌エコノミストの取材に「このままでは長期戦は必至。そうなれば敗戦が濃厚になる」と答えていました。 苦戦が生み出す内部分裂 3歩しかないというのは厳しいですね。 小泉氏:西側からの支援が遅れ、苦戦が続く中で、ウクライナ内部で結束の乱れが目立つようになってきました。まず、ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官との間に隙間風が吹いています。 加えて、アレストビッチ元大統領府長官顧問がX(旧ツイッター)上でゼレンスキー大統領を激しくののしっています。23年1月に失言のため解任されたのを逆恨みしての行動と見られます。 アレストビッチ氏は、もし大統領選挙を実施するのであれば立候補するとして、公約も発表しました。この中で注目すべきものとして「被占領地の軍事的奪還を求めない」があります。これを条
というのも、JR東海は業務改革の一環として「状態基準保全(Condition Based Maintenance=CBM)」への移行を進めているからだ。 CBMとは、ドクターイエローなどを走らせてあらかじめ決められた頻度で点検と保守を行うのではなく、状態を常に監視し、必要が生じた時にだけ保守を行うこと。センサーや画像認識の技術が発達し、人手や目視に頼らなくてもよくなったからこそできる手法だ。 東海道新幹線ではすでに、電気・信号・軌道の3分野で、営業列車による状態監視が始まっている。東海道新幹線の最新型「N700S」のうち6編成に軌道の状態監視システムが、さらにそのうちの3編成には電気と信号の状態監視システムも搭載されているという。 電気分野では、12号車のパンタグラフ付近に赤外線LED投光器を設置。架線に照射したLEDの反射光を計測カメラで撮影して摩耗の状態を計測する。 信号分野では、レー
インターネット上の意見に政府の圧力がかかるのは70カ国中53カ国、監視干渉行為をしない国は日本を含めてたった4カ国。ネット上の自由に迫る「影」は着々と広がり続けています。その実情とは。長年情報通信政策に携わり、現在は大手プロバイダーのIIJ副社長である谷脇康彦氏の著書『教養としてのインターネット論 世界の最先端を知る「10の論点」』から一部を抜粋して紹介します。 インターネットはどう生まれ、どう使われてきたか 1960年代のインターネット草創期。インターネットの普及は世界の人々の間で情報や知識を共有することを促し、透明で民主的な社会の実現に貢献するという期待が利用者の間に確かに存在していました。これはインターネットの基本精神である「自律・分散・協調」という面に依拠するものでした。 具体的には、インターネットを構成するルーターなどの機器は民間の人たちが「自律」的、つまり自由に設置・運用し、あ
東海道新幹線の収益が大半を占めるJR東海が、愛知県の離島を結ぶチャーター船の運航を始めた。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ利用を回復させるためには、新たな需要の開拓が必要と判断。鉄道だけでなく宿泊や現地での移動手段も提供する「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」を見据えた取り組みだ。
日経ビジネス電子版で「『ア・ピース・オブ・警句』~世間に転がる意味不明」、日経ビジネス本誌では「『pie in the sky』~ 絵に描いた餅べーション」を連載中のコラムニスト、小田嶋隆さんが亡くなりました。65歳でした。 小田嶋さんには、日経ビジネス電子版の前身である日経ビジネスオンラインの黎明(れいめい)期から看板コラムニストとして、支えていただきました。追悼の意を込めて、2021年11月12日に掲載した「晩年は誰のものでもない」を再掲します。 時の権力者だけでなく、社会に対して舌鋒(ぜっぽう)鋭く切り込む真のコラムニスト。その小田嶋さんがつむぐ1万字近い原稿を、短い言葉でどう表現するか。記事タイトルを短時間で考える担当編集者にとっては、連載の公開前日は勝負の1日でもありました。 再掲載するコラムは療養中の病室から送っていただいた原稿です。「晩年」という言葉やそれを何も考えずに使う社
過去はすべて善である 他人と過去は変えられない。しかし自分と未来は変えられる。いま、わが社がおおむねうまくいっているのは、過去の失敗を教訓として怠らず学び、小さな改善を大量に重ねてきたからです。 2019.01.09 忘年会のシーズンに贈る「小山流・飲み会の勧め」 早いものでもう師走、年の瀬ですね。忘年会やら謝恩会、慰労会など、外で飲食をする機会も増える時期になりました。一年の憂さを酒で流し、きたるべき新しい年も実り多かれと願って英気を涵養する、まことに結構なことと思います。 2018.12.12 部下にはしっかり恩を売ろう あなたはある日、ふとこう気づきます。「自分は部下からはあまり尊敬されていないようだ。いつもこんなに目をかけてやっているのに」と。しかしこれは、部下が鈍いとか恩知らずだとかいう筋のものではありません。あなたが悪いのです。 2018.11.21
(前回から読む) 2002年、取引先だった雪印食品が外国産牛肉を国産と偽っていたとしてその悪行を告発した西宮冷蔵社長の水谷洋一さん。あれからもうすぐ20年がたつ。雪印グループは、水谷さんの告発によって不正に関わった関係者が逮捕され、実質的に解体されることとなった。 しかし、水谷さんの人生も暗転してしまった。 告発後、雪印食品以外の荷主から「申し訳ないけど、もう預けられない」などと言われ、詳しい理由を告げられないまま、9割の荷物が消えていった。西宮冷蔵は、国から「当時、偽装伝票を作るなど、不正に手を貸した」などとして1週間の業務停止命令処分を受けた。 資金繰りに窮し、告発から約10カ月後に休業に追い込まれた。告発したのに、まさか、自分が国から業務停止命令を受けるとは──。政官財が連携し、大企業に刃向かえばこうした仕打ちを受ける、という見せしめだと感じた。 不当な圧力には屈しない。「負けへんで
首相の安倍晋三が、2016年6月1日に記者の前で「新たな低利貸付制度で、リニア計画を前倒しする」と発表し、巨額の財投資金が、この瞬間に動き出した。 「いや、あの融資条件は、他に聞いたことがないですね」。同じ財政投融資という融資スキームを扱っている日本政策金融公庫の幹部も首をかしげる。 「そもそも、30年後から返すって、貸す方も借りる方も責任者は辞めているでしょうし、生きているかどうかも分からないですよね」 責任者は誰だ 破格の融資スキームを設計した責任者を追った。まず、財投をJR東海に貸し付けている鉄道建設・運輸施設整備支援機構に聞いた。電話口で「うちは事務をしているだけで、来てもらっても何も話せません」という。それでも横浜市にある本社を訪ねると、組織の説明はするが、財投に話を向けた瞬間、「それは国交省でお答えいただいている」と繰り返すばかり。 ところが、国交省の幹線鉄道課に足を運んでも、
アナログレコードが息を吹き返した。デジタルの流れに翻弄された10年前が信じられないほどの活況だ。レコード盤からプレーヤー、そして匠の技の針までも、世界中から引き合いが殺到している。アナログ品に忘れられていた価値が宿る。ものづくりの現場がどん底から復活に至る奮闘を取材した。 サファイア製のカッターを使い、レコード針の振動に対応する溝を円盤に彫っていく。通電するとカッターヘッドが揺れ、渦巻き状の溝ができる。音が電気信号に変換されて入力されていく。折からのレコードブームを受けて、カッティング工程は1カ月待ちの状態が続いている。 「アナログレコードを成長分野と捉え直す」。SMEグループは2018年、29年ぶりにレコード盤の一貫生産を復活させた。ラッカー盤から型を取り、プレス成形してレコードとして量産する大井川プロダクションセンター(静岡県焼津市)は今、連日のフル稼働。足元の生産量は18年に比べ3倍
東京五輪・パラリンピックは、本当に開催されることになりそうだ。 まさかそんなバカなことが、と思っていたまさにそのバカなことが、想定した悪夢の外形を保ったまま、真に俗悪で陋劣な安物の悲喜劇として、いよいよ上演の時を迎えるわけだ。 なんということだろう。 私たちは、またしても引き返すことのできない“崖の上のレミング”であることを、全世界に知らしめるのだ。 覚悟を決めておかなければならない。 われわれは、とんでもないものを目撃するだろう。 正直なところを申し上げるに、私は、ここへ来て、五輪の醜態を、ちょっと楽しみにしはじめている。 というのも、これほどまでに壮大な人類史的愚行をつぶさに観察できる機会は、この先、一生涯めぐってこない気がしているからだ。 2カ月後に、この国で展開されることになっている人間の愚かさの爆発を、私は、細大漏らさず、可能な限り克明に記録しようと思っている。 一介のコラムニス
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