とにかくひねくれた若者で、 さぞ音楽が好きそうにデカいヘッドホンをつけて街を歩いたり、女のヒモのような存在にあこがれて、そんな生活をしてみたりもした。とにかくマイノリティに憧れた。映画も音楽も、まあなにもかも"大衆的な"ものはダメだと思っていた。学校で会う、普通のダサい大学生のことは完全にバカにしていて、外で会う同じようなマイノリティ(のふりをしていただけかもしれない)な価値観を持つ友人と、とにかく"一般"を小馬鹿にしていた。 変わったきっかけがなんだったかはわからない。学校には行かず友人もいないため留年して現実を見たからか、まずまず長い旅行(という行為がまたかっこいいだろうと思って)をしたことかも知れない。わからないが、ある時ふと、「ああ、そんな細かいことまで、誰も見てくれてはいないんだなあ」とおもった。 どんな音楽を聞こうが、どんなアートが好きだろうが、そんなことは他人にとってはどうで