国際社会の中に、北朝鮮より扱いづらい国はあるだろうか。条約、協定、合意、盟約、約束──北朝鮮が署名したものは、どれをとっても実を結んでいないものばかりだ。北朝鮮が署名したところで、いつかは再び交渉の場に戻らなければならなくなる。 例えるなら、北朝鮮は大量の出前を電話で注文する客のようなものだ。出前の配達員が板門店に到達したころに再び電話をかけ、やっぱり料理の量を減らして欲しいと言う。支払いはツケにしてくれと要求したかと思えば、今度は土壇場で元の注文をキャンセルする。そして請求書を受け取るとすぐに燃やしてしまう。北朝鮮はそんな国だ。 北朝鮮が考え方を変えることはめったにない。言い換えれば、戦争と平和、資本主義と共産主義、外交と武力衝突といった両極の概念を同時に掲げられるとき、考え方を変える必要はそもそもないのだ。1948年の建国以来、北朝鮮はこうした両極の間を目まぐるしく揺れ動いてきたため、