「gettyimages」より 今冬、インターネット上にアップされた、とある動画が注目を集めている。路上で「北海道の大牧場の社長が年間1億円の赤字」「断言します。このままではスーパーの棚から牛乳がなくなります」「酪農やばいです!」と、涙ながらに酪農業界の危機を訴える切実な内容だったからだ。そこで今回は、酪農業界がどれだけ危機的な状況になっているのかを、北海道大学・清水池義治准教授に解説してもらった。 コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻…不運が重なりすぎた酪農業界 「動画で語られているような『年間1億円の赤字』という状況が、すべての酪農家に当てはまるかというとそうではないと思いますが、ここ1年で多くの酪農家が赤字に転落したのは間違いありません。中央酪農会議の調査では、回答した酪農家の85%が赤字、60%が離農を考えたことがあるという結果で、かなり衝撃的です。現在、経営破綻する酪農家とそうではな