〔連載〕続 アメリカ医療の光と影 第134回 「ロレンツォのオイル」 その後(1) 李 啓充 医師/作家(在ボストン) (2793号よりつづく) 5月30日,映画「ロレンツォのオイル/命の詩」(1992年,米)のモデルとなったロレンツォ・オドーネが亡くなった(享年30歳)。この映画については,すでに,拙著『アメリカ医療の光と影』(2001年,医学書院)でも紹介したが,以下,あらためてあらすじを振り返る。 ALDの息子を救うために夫婦が独力で研究 健康に何の問題もなくすくすくと育ったロレンツォが,学校での問題行動や転倒などの症状を示すようになったのは,1983年秋,5歳のときのことだった。副腎白質ジストロフィー(adrenoleukodystrophy;以下ALD)と診断されたのは半年後の1984年4月だったが,父オーギュストと母ミケラは,「治療法がない遺伝性疾患。知能・運動能力・視力・聴力
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