東日本大震災の仮設住宅に入居する被災者の間で「物件によって住み心地が違いすぎる」との不満が広がっている。倉庫や事務所が専門の事業用プレハブメーカーだけでは手が回らなくなり、上質な物件を供給する住宅メーカーが参入し「家の造り」に格差が生じたためだ。被災者からは「入居前に説明を」との声も出ている。 岩手県陸前高田市のJR陸前矢作駅近くに大手住宅メーカーが建設した仮設住宅。6月19日に夫婦で入居した鈴木一子さん(66)は「まるで普通の住宅みたい」と感激しきりだ。2DKの室内の天井は高く、二重サッシも完備。敷かれたじゅうたんはふかふかだった。 一方、「同じ仮設住宅なのに不平等」とため息をつくのは、数百メートル離れた住宅に家族5人で暮らす村上訓子さん(68)。5月の入居時は壁の隙間からアリが入り込み、目張りをしてしのいだ。二重サッシではなく、窓には結露がたまる。村上さんは「せめてこういう住宅なん