ブックマーク / gendai.media (58)

  • 「抗うつ薬」の影響で体中に刺青を入れ、包丁を持ち出した主婦の悔恨(佐藤 光展) @gendai_biz

    脳に作用する向精神薬は、精神疾患に苦しむ患者たちを救ってきた。だが、医師を信じて飲み始めた抗うつ薬や睡眠薬、抗不安薬の副作用で、地獄をみる患者もいる。体質によっては性格や行動が激変し、心身のみならず人生をも激しく揺るがす苛烈な副作用に見舞われる。 日には今、睡眠薬などの長期使用で処方薬依存に陥った患者があふれ、薬を止められずに苦しんでいる。ところが国は実態調査をせず、救済策を示そうとしない。医師たちの無責任な漫然処方がもたらした数え切れないほどの「医原病」。その典型を紹介する。 ジェイソンのような刺青にピアス 「なんだこれは……」 赤城高原ホスピタル(群馬県渋川市)の診察室で、院長の竹村道夫さんは息を呑んだ。 患者は2人の幼子を持つ30代の主婦、上原直美さん(仮名)。上原さんの体には、経験豊富な精神科医も二の句が継げなくなるほどの際立った特徴があった。 左右の上腕、片方の下肢、背中の左上

    「抗うつ薬」の影響で体中に刺青を入れ、包丁を持ち出した主婦の悔恨(佐藤 光展) @gendai_biz
  • 娘に好かれたい父親に、心理学が教える「娘のトリセツ」(小野寺 敦子)

    人にかかわるところすべてに心理学あり 心理学というと皆さんは、どのような仕事を連想されるだろうか。 たとえば学校のスクールカウンセラー、心のケアに従事する臨床心理士などが頭にうかぶかもしれない。 しかし悩みや心理的問題を抱える人の相談にのることだけが心理学の仕事ではない。人の一生を考える発達心理学に始まり、社会心理学、化粧心理学、交通心理学、と「人にかかわるところすべてに心理学あり」である。 こうした様々な心理学がある中で、私が関心をもっているのは、ごくありふれた日常生活の中にある疑問に注目しそれを心理学の手法によって解明する研究である。研究室に閉じこもって実験や研究をするのではなく、今の社会のニーズや問題点を心理学によって明らかにし、その成果を社会に発信するインターフェイスとなる研究者を目指している。 そのためには、今の時代のニーズやトレンドに敏感になり、学生と話をし、家族や友人と美味し

    娘に好かれたい父親に、心理学が教える「娘のトリセツ」(小野寺 敦子)
  • あなたの低コミュ力は、「大人の発達障害」のせいかもしれない(黒澤 礼子)

    普通にやっているつもりなのに、会社で上司に怒られてばかりいたり、同僚から煙たがられる。あるいは、家族が自分を理解してくれないばかりか、嫌っている節さえある。そんな経験、ありませんか? 発達障害は生まれつきの特性のため、幼少時から発症しますが、症状が軽度で見過ごされたり、周囲の理解が乏しかったりすることから適切な対応を受けなかったために、大人(大学生・青年期以降)まで持ち越してしまった人が少なくありません。この「大人の発達障害」の場合、自分や周囲の人が発達障害とは気づいていない場合が多く、深刻な事態になっているケースもあります。 そうした発達障害の傾向と対策についてまとめた書籍が、『【新版】 大人の発達障害に気づいて・向き合う完全ガイド』。発達障害の傾向がどのような形でわかるのか、またその対策について、いくつかの実例とともに書の中からご紹介します。 職場のトラブルメーカー? 「ひどいな、こ

    あなたの低コミュ力は、「大人の発達障害」のせいかもしれない(黒澤 礼子)
  • 「日本人の幸福感は収入より自己決定度で決まる」という調査結果(西村 和雄,八木 匡) @gendai_biz

    自分で人生の選択をすることが、日人の幸福感を高めている――今夏、日における幸福感の研究結果が大きな話題を呼んだ。具体的にどのようなものだったのか? 共同研究をおこなった西村和雄・神戸大学特命教授と八木匡・同志社大学教授がここに書き綴る。 2万人データを分析した幸福感研究 我々は、2万人の日人のデータから、幸福感に影響する要因の分析を行った(西村・八木(2018))。 幸福感に関する研究は、従来から経済学や心理学において数多く存在する。 ギリシャの哲学者アリストテレスは,幸福を人生の究極の目標ととらえていたし、最近ではフランスのサルコジ大統領が設置した委員会(CMEPSP)が、幸福度計測指標 についての報告書を出すなど、幸福感の測定に力を入れる国も出てきた。 幸福感とは古くて新しいテーマである。 背景には、1970年前後から、所得水準と幸福度の値が必ずしも相関しないことが指摘され、心理

    「日本人の幸福感は収入より自己決定度で決まる」という調査結果(西村 和雄,八木 匡) @gendai_biz
  • 稀代の仏教哲学者・鈴木大拙が今こそ読まれるべき理由(安藤 礼二)

    折口信夫と西田幾多郎への多大な影響力 まさか自分が鈴木大拙を主題として一冊のを書き上げることができるとは思ってもいませんでした。 そもそも大拙に関心を抱いたのは、折口信夫について調べている過程で、でした。折口信夫は、大学の卒業論文として『言語情調論』を提出します。後に国文学者にして民俗学者となる人物からは想像もつかないような破格の言語論で、詩的言語発生の条件を社会学的かつ心理学的に探求していこうとしたものでした。 折口は、言語のもつ機能を二つに分けます。日常のコミュニケーションを成り立たせている間接性の言語と、非日常のコミュニケーション(つまりは詩)を成り立たせている直接性の言語です。両者の違いは、言語のもつ「意味」にダイレクトに迫っているか否かという点にあります。 日常のコミュニケーションでは、言語のもつ「意味」を正確に伝えるために、「意味」の表層に間接的にしか触れません。非日常のコミ

    稀代の仏教哲学者・鈴木大拙が今こそ読まれるべき理由(安藤 礼二)
  • ベストセラー精神科医の「10年で10倍」リターンを得る投資法(樺沢 紫苑) @moneygendai

    「今より給料を増やしたい」「もし、年収が2倍になったなら…」誰もがそんな思いを持っている。しかし、ほとんどの人はその方法がわからず、昨日と変わらない今日を過ごしていないだろうか。 SNSやYouTubeで1日40万人以上に「情報発信する医師」である樺沢紫苑氏の元には、毎日あらゆる相談が寄せられるが、とくに多い「お金」の悩みにも日々答えている。『学びを結果に変える アウトプット大全』の著書があり、お金持ちになる唯一の方法は“アウトプット”だと主張する樺沢氏の真意とは。 年収を2倍にする方法 年収を2倍にする方法は、実は簡単です。あなたが今よりも「2倍の価値」を提供できるようになればいいのです。 そもそも「お金」とは何でしょう? 「お金」とは、物々交換の手段、道具です。あなたが月収20万円だとすれば、それは会社に対して「20万円」分の貢献をしている、その対価として給料が払われています。 では、

    ベストセラー精神科医の「10年で10倍」リターンを得る投資法(樺沢 紫苑) @moneygendai
  • コミュ障をどうやって克服する?「発達障害者の婚活」のリアル(吉濱 ツトム) @gendai_biz

    婚活をしていると、「あれ?ちょっと変わっているな...」という相手に、なぜか普段より高い確率で遭遇します。婚活市場では、コミュニケーション力の高い人のほうが成婚しやすいため、いわゆる「コミュ障」な方が残ってしまうことが多いためです。 「婚活市場において、コミュニケーションの苦手な発達障害者が濃縮されている」と発達障害カウンセラーの吉濱ツトム氏は言います。 吉濱氏は、強度のアスペルガー症候群を克服した経験を元に、これまで2,000人以上の発達障害者を改善に導いています。著書『発達障害結婚』(イースト・プレス)刊行後は、恋愛婚活、夫婦関係の相談が急増。 発達障害者の婚活のリアルについて、お話を伺いました。 取材・文/稲田和絵 高スペック開業医に2回目のデートがない理由 アスペルガーの人は、知的欲求が高くて勤勉。学歴の高い人も多く、医師や弁護士といった専門職に就く人の割合が、定型発達の人に比

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  • 発達障害当事者が、世間に「申し訳ない気持ち」を抱いてしまう理由(鈴木 大介,姫野 桂) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

    昨今、「大人の発達障害」という言葉を耳にすることが増えた。発達障害とは、脳の発達に偏りがあるため、日常生活や仕事に支障をきたす障害だ。不注意や多動・衝動性のあるADHD、コミュニケーション法が独特だったり特定の物事にこだわりのあるASD、知的な問題はないのに簡単な読み書きや計算が困難なLDといった、主に3種類に分かれ、症状の程度は個人差がある。 生まれつきの脳の特性なので、厳密に言うと大人になってから発症したわけではなく、大人になって発達障害に気づいた、というパターンが多い。そんな発達障害の当事者を取材した『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の音』(イースト・プレス)をフリーライターの姫野桂氏が8月に上梓。検査を受けに行く体験レポも綴っている。 今回、発達障害との絆を描いた『されど愛しきお様』(講談社)が話題の鈴木大介氏との対談を実施。鈴木氏は41歳

    発達障害当事者が、世間に「申し訳ない気持ち」を抱いてしまう理由(鈴木 大介,姫野 桂) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
  • いまシリコンバレーで「AI(人工知能)×行動経済学」が最強なワケ - グノシー

    初めまして。シリコンバレーを拠点に最先端のAI技術と戦略を日企業に導入するパ ロアルトインサイトでCEOAIビジネスデザイナーをしている石角友愛です。普段は 業界横断的にAIで解決できる問題を定義して、AI開発と導入を支援する仕事をしてい ます。 モチベーションと「レゴの実験」でわかること 会社経営をする立場にいるものとして、またクライアントに価値を提供する立場として、そして親として、私は常日頃、人のモチベーションについて考えています。 モチベーションとは、人を動かす原動力になるもので、多くの場合人が何か意思決定をする際の目的意識の基盤になっています。会社、学校、家庭などあらゆる関係性構築と自分が望む結果を手に入れるために理解しなければいけないメカニズムの一つです。 モチベーションの研究は行動経済学や認知心理学などで科学的に研究されています。例えば私が住むアメリカで有名な研究者に、デュ

    いまシリコンバレーで「AI(人工知能)×行動経済学」が最強なワケ - グノシー
  • 発達障害当事者が「生きづらい」と訴えるとどうなるか(鈴木 大介,姫野 桂) @gendai_biz

    生まれつきの脳の特性により、できることとできないことの差があり、日常生活や仕事において支障をきたす発達障害。主に不注意や衝動性があるADHD(注意欠如多動性障害)、コミュニケーションに特徴があったり特定のこだわりが強いASD(自閉スペクトラム症)、知的な問題はないのに簡単な計算や読み書きが困難なLD(学習障害)の3種類があり、障害の程度は人それぞれ。 発達障害当事者を取材した『私たちは生きづらさ抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の音』(イースト・プレス)を上梓したフリーライターの姫野桂氏と発達障害との絆を描いた『されど愛しきお様』(講談社)が話題で、高次脳機能障害当事者の鈴木大介氏との対談。後編では、発達障害当事者の埋もれてしまっている苦しみの声について切り込む。 *前編はこちら→https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57821 高次

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  • 「30過ぎたら家を買え」は、一種のマインドコントロールだった(橘 玲) @moneygendai

    持ち家と賃貸、どちらが正解か、は定期的に繰り返される議論の一つだ。作家の橘玲氏は「バランスシートで考えれば、住宅購入がどれだけリスクのあることかわかるはずだ」と明確に結論付ける。2003年に発売された『世界に一つしかない「黄金の人生設計」』から、住宅購入の是非について説いた必読のパートを、特別公開――。 「家を買う」は合理的か この日という国では、30歳をすぎる頃から、ほとんどの人が「家を持ちたい」という不可思議な衝動に駆られます。しかし、この衝動に合理的な根拠があるのかどうか、検証されることはめったにありませんでした。 なぜかというと、金融・建設・不動産業など、この国のドメスティックな(土着の)経済を支えている大きな部分が、「家を持て」「一国一城の主になれ」と国民をマインド・コントロールすることによって莫大な利益を得てきたからです。 各種の世論調査を見ると、バブル期に高値で住宅を購入し

    「30過ぎたら家を買え」は、一種のマインドコントロールだった(橘 玲) @moneygendai
  • 子育てに最悪なのは「超有名企業に勤めるビジネスマン」かもしれない(杉山 登志郎)

    累計28万部突破の『発達障害の子どもたち』『発達障害のいま』の著者で、児童精神科医の杉山登志郎氏が書いた、新しい子育ての『子育てで一番大切なこと』。そこから、一部を抜粋・編集して紹介。臨床の現場を知り尽くした第一人者が、子育ての基を提唱します。 少子化の中で、子どもや子育ては国家の大事と表向きは声高に叫ばれているものの、発達障害の増加や子ども虐待の急増、子どもの貧困いじめや校内暴力など、子育ての大変さばかりが広がっていて、これでは楽しい子育てどころではない。 そんなマイナスの情報ばかりに囲まれている人達に、恐れたり迷ったりする必要はないよ、いくつかのとても大事なことだけ押さえておけば、子どもはどんどん自分で成長をして、しっかり育っていくんだよ、というメッセージを送りたい。 そのためには、どうしたら良いだろう。 私はある作戦を取ることにした。 それは全ての内容を対話によって語るというこ

    子育てに最悪なのは「超有名企業に勤めるビジネスマン」かもしれない(杉山 登志郎)
  • 学力は「遺伝の影響が50%」…それでも私たちに勉強が必要な理由(安藤 寿康)

    「個人差の50%は遺伝で決められている」という現実 このたび執筆した『なぜヒトは学ぶのか−−教育を生物学的に考える』では、生物学的な視点から新しい教育学を描くという、これまでにない新しい試みにチャレンジしました。 これまで、人間の能力や性格の個人差に及ぼす遺伝の影響が無視できないという行動遺伝学の知見を紹介し、教育や格差の問題について発言してきました。 能力の向上や人間形成のために、学ぶこと、教育を受け続けることは必要不可欠です。しかし、能力がどのような形でどの程度の高さまで伸びるのか、性格や価値観がどのように形成されるかには、遺伝子による影響が無視できないほど効いていることを、行動遺伝学は膨大な双生児データなどから明らかにしてきました。 私のこれまでの著作(『日人の9割が知らない遺伝の真実』など)では、このような知見を紹介しながら、ヒトの個人差の生物学的現実を直視し、科学的に妥当な認識

    学力は「遺伝の影響が50%」…それでも私たちに勉強が必要な理由(安藤 寿康)
  • どう対応するか知ってる?発達障害の子どもを支援する「最良の方法」(黒澤 礼子)

    平成19年(2007年)に特別支援教育がはじまって10年以上が経ちました。いわゆる普通教育のクラスに特別支援教育が導入されましたが、この間、教育の現場には様々な混乱があったことは想像に難くありません。 その中で、独自の評価シートとレーダチャートに基づき、その子にあった支援を助け、現場から高い評価を受けてきた『発達障害に気づいて・育てる完全ガイド』が新版として生まれ変わりました。2013年(日版は2014年)に出された〈精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)〉にも対応しています。 書の中から、その一部をご紹介しましょう。 なぜ大切? 発達障害の子どもへの早期対応 平成19年、従来の普通教育のなかに特別支援教育が導入されるというニュースに、当時の私は危機感を覚えていました。発達障害の情報も充分ではなく、ベテランの専門家がまだまだ少ないなかで、現場で対応される先生方のことを考えたからで

    どう対応するか知ってる?発達障害の子どもを支援する「最良の方法」(黒澤 礼子)
  • 「発達障害者は仕事弱者だけでなく恋愛弱者でもある」と言える理由(トイアンナ,借金玉) @gendai_biz

    発達障害者は仕事弱者だけでなく恋愛弱者でもある」 そう語るのは、『発達障害の僕が「える人」に変わったすごい仕事術』著者の借金玉さんだ。 しかし彼は、恋愛工学を実践するなど数々のトライ&エラーを経て、このたび結婚することになったという。 一方、『モテたいわけではないのだが』の著者・トイアンナさんも、結婚離婚経験がある恋愛相談のプロフェッショナル。 そこでお二人に、弱者が恋愛結婚で幸せになるためにはどうすればいいのか、その方法を探っていただいた。 借金玉(しゃっきんだま) 1985年生まれ。診断はADHD(注意欠如・多動症)の発達障害者。幼少期から社会適応が全くできず、登校拒否落第寸前などを繰り返しつつギリギリ高校までは卒業。色々ありながらも早稲田大学を卒業した後、何かの間違いでとてもきちんとした金融機関に就職。全く仕事ができず逃走の後、一発逆転を狙って起業。一時は調子に乗るも昇った角

    「発達障害者は仕事弱者だけでなく恋愛弱者でもある」と言える理由(トイアンナ,借金玉) @gendai_biz
  • あなたの「感情」が読み取られ、制御される日(深川 峻太郎,ブルーバックス編集部)

    感情──この不合理なるもの 私たちは製品やサービスを、価格や性能だけで合理的に選択するわけではない。 たとえば電化製品にしても、安くて性能が良い商品が「なんか気に入らない」と感じて、あえて高価で性能の低いものを選ぶことは誰にでもあるだろう。私なんか、どう考えてもお買い得なのに、それを勧める店員の態度が気に入らず、「絶対こいつからは買わねーぞ」と内心で毒づきながら店を出てしまうことがよくある。 感情に振り回されて不合理な判断をするのは愚かなことかもしれないが、まあ、仕方がない。それを含めて人間だもの。 さて、そういう人間を相手にしている以上、製品やサービスを提供するには「感情」への配慮が欠かせない。ユーザーにできるだけ「快」を感じてもらい、「不快」をなくしたい、と、誰でも当たり前にそう考える。だが人の心は目に見えないし、何が心地よいかは十人十色なので厄介だ。 たとえば新製品のパッケージの色を

    あなたの「感情」が読み取られ、制御される日(深川 峻太郎,ブルーバックス編集部)
  • 「わかってくれない」相手はこう攻略せよ 心理学者の「3つの工夫」(海保 博之)

    相手の心に届く、わかりやすい表現をするために、さまざまな方法が提案されているが、ここでは表現の受け手のことを考えるという工夫を、海保博之さんのブルーバックス『心理学者が教える 読ませる技術 聞かせる技術』よりまとめてみた。 相手がわかる場合とわからない場合 話したり書いたりといった表現する相手が、10歳の子供ならこれくらいの知識はあるはずとか、初心者ユーザーにはこうした用語はわかってもらえないかもしれないとか、受け手についてのこうした認識は不可欠である。とりわけ、受け手の知識の量と質について思いをはせることが大事である。 認知心理学的に言うと、相手のメンタルモデルを徹底して考える、となるようだ。 メンタルモデルとは、人が心の中に作り上げる世の中についての仮説とも言える。世の中のありとあらゆることについて、それぞれの人がそれぞれの事柄のメンタルモデルを作り出している。 また、メンタルモデルと

    「わかってくれない」相手はこう攻略せよ 心理学者の「3つの工夫」(海保 博之)
  • 「アレが思い出せない!」最大の理由、「2つの記憶」の正体(海保 博之)

    短期記憶では、文字通り、短期間の情報処理が行われる。電話番号簿から相手の番号を探して電話をするとき、隣の部屋からノートと鉛筆と消しゴムを持ってくるように頼まれたときなどに、短期記憶への一時的情報の保持がなされている。 長期記憶に蓄えられた膨大な情報は、「知識」と呼ぶこともできる。学問的な知識はもちろんのこと、自分だけにしか意味のない知識、こういうときにはこうすればよいというような体験的知識などなど、その種類は多彩である。 我々は、この知識を増やしたり、更新したりしながら、短期記憶を介して外側の世界とかかわっているのである。また、表現するときには、知識が非常に大事になる。というより、知識なくして表現なしとも言える。 長期記憶の基的な働きは、短期記憶で処理するために必要な情報を提供し、そしてそこで処理された情報を長期間にわたり蓄えておくことである。短期記憶がせいぜい20秒の世界なのに対し、長

    「アレが思い出せない!」最大の理由、「2つの記憶」の正体(海保 博之)
  • 同じ濃さの砂糖水でも、色が違えば「甘さ」も違う!最も甘い色は?(日髙 聡太)

    人は、世界をどのように感じ、認識しているだろうか? 私たちは、視覚や聴覚などの五感で世界を捉え、その情報を脳で処理し、その結果が、感情や行動につながっているという。 立教大学現代心理学部の日髙聡太准教授は、普段は意識されない「見え方」や「聞こえ方」などを研究して、「人が世界を感じる仕組み」の解明に取り組んでいる。 (立教大学「FEATURED RESEARCHERS」より一部転載) あなたと私は違う世界を感じている 私たちの毎日は、身の回りの状況を「感じる」「考えて理解する」、そして「行動する」の3つで営まれている。それらの営みについて、誰もが持つ共通性を導き出そうとするのが「基礎心理学」だ。 日髙准教授の専門は、その中でも認知心理学、知覚心理学といった分野。この分野において、五感の間で生じる「感覚間相互作用」を主なテーマに、長年研究に取り組んできた。 2013年には「触れられると、目の前

    同じ濃さの砂糖水でも、色が違えば「甘さ」も違う!最も甘い色は?(日髙 聡太)
  • 「病気ではない」という診断にガッカリする、自称・発達障害者の心理(佐藤 優) @gendai_biz

    なぜ「発達障害」がブームに? 香山リカ氏は、医学の臨床現場の経験を踏まえて、現下日社会が抱えている問題を言語化する類い稀な能力がある。 著書の『「発達障害」と言いたがる人たち』では、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害であるとの自己意識を持つ人が増えている現象について、興味深い考察を行っている。 まず、香山氏は、臨床経験から発達障害が一種のブームになりつつある状況について説明する。 〈ここ7、8年ほど、診察室に時折こう訴える人たちがやって来るようになった。多くは女性だ。 「私、発達障害なんじゃないでしょうか。たぶん注意欠陥障害(ADD)か注意欠如・多動性障害(ADHD)だと思います。あ、コミュニケーションも苦手だから、アスペルガー症候群の可能性もあるかもしれません」 最初の頃は私も、「子どものうちには見逃され、おとなになってからはっきりする発達障

    「病気ではない」という診断にガッカリする、自称・発達障害者の心理(佐藤 優) @gendai_biz