13億の人口を抱え、低賃金かつ大量の労働力(チープレーバー)を武器に海外の製造業を続々と呼び込み、膨大な貿易黒字を稼ぎ出す輸出産業を勃興(ぼっこう)させた「世界の工場」の中国でいま、地殻変動が起きている。(ビジネスアイ) 主に農村部からの出稼ぎ労働者(農民工)を念頭に置いた都市部の最低賃金が今年、各地で20%前後も上昇した。政府系の経済団体、中華全国工商業連合会ではさらに、今年から2020年まで年平均15%引き上げ続けることで、10年間で最低賃金を現在の4倍にするとの「所得4倍増計画」まで提案している。 もはや「チープレーバー」に頼る対中工場進出が成り立たなくなったことを意味すると同時に、進出済みの製造業にとっては中国事業戦略のかじを切ることが急務となってきた。「所得4倍増計画」の進行はいわば、労働集約型のローコスト製造業はもはや不要だ、との中国政府の宣言と受け止めてもいい。 中国ビジネス