戦災で焼失したとされていた文豪、谷崎潤一郎(1886~1965年)の創作ノート「松の木影」を写した印画紙255枚が見つかり、保管していた中央公論新社が2日、公表した。来月から刊行される「谷崎潤一郎全集」(全26巻)に収録される予定。代表作「細(ささめ)雪(ゆき)」をはじめとする作品執筆までの試行錯誤を記したもので、ノートを分析した千葉俊二・早稲田大教授(日本近代文学)は「円熟期の作品を読み解くうえで、創作過程が分かる第一級の資料」としている。 印画紙は、谷崎が戦災を避けようと友人に預けたもので、平成4年に同社に提供され、全集編集の過程で見つかった。冒頭に「春琴抄」の設定が書かれていることから、同作発表前の昭和8年2月~13年夏ごろまでの記録で「陰翳礼讃」など多様な作品につながるアイデアをメモしていた。 千葉教授によると、ノートのタイトルは3番目の妻、松子夫人の名に由来。夫人とその姉妹をモデ
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