ここまで、Gareth Evans, ''Can There Be Vague Objects?'' の抄訳の抄と、この論文に見られる論証の full version を二つ、見てきました。この Evans 論文とそこにある論証を読む際に注意しておいた方がよい基本的な事柄を二点、簡単に記しておきたいと思います。どちらも基本的なことであって、目新しいことではございません。まったく original なものはございません。また、前にも述べましたが、私は vagueness の専門家ではないので、今日の話は間違っているかもしれません。読まれる方は慎重に私の論述を追っていただければと思います。あらかじめ含まれているであろう誤りに対し、お詫び申し上げます。 注意点 その1: 背理法? Evans は彼の論証によって、曖昧な対象は存在しないということを証明しようとしているように見えます。このことは彼の