■ [economy][politics][book]ポリー・トインビー「ハードワーク」 かねてからflapjackさんのご紹介を受け読まなければと思い、Apemanさんからもtrackbackをいただいた本書をようやく読了。過半を占めているイギリスの低賃金労働の実態の描写はさておき(興味深い事例ではありますが、ここで論じる話ではないかな、という趣旨です)、その政策的含意がなかなか悩ましい一冊です。 本書では最低賃金の引上げを対策として提案しているわけですが、サッチャー首相の知恵袋として紹介されるパトリック・ミンフォード教授のように、何らかの価格統制を導入すれば、それにより基本的には供給ないし需要が減少する(本件で言えば、最低賃金規制の導入ないしその水準の引上げにより失業者が増える)というのがミクロ経済学における普遍的知見だからです‐ミンフォード教授のように、正確にどれだけの減少につながる