多くの違和感が残る本であった。本書が主題とする戦争と平和をどのように考えるのか、というテーマ自体が極めて大きい。しかし、それ以上に論じ方、論じられる内容に何とも言えないもどかしさと不満を覚えたからである。ともあれ、本書の議論を要約した上で、感じられた疑問点を整理したい。 平和主義とは何か - 政治哲学で考える戦争と平和 (中公新書) 作者: 松元雅和出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/03/22メディア: 新書この商品を含むブログ (27件) を見る 本書の概要 著者は平和主義を「平和的手段をもって平和という目的を達成しようとする主義(p.6)」と位置づけ、「国際関係の指針として、人々の支持を得られ、説得力のある平和主義のあり方を探ること(p.iii)」を本書の目的として掲げる。そして平和主義の思考方法には二つのアプローチがあり、さらに二つの路線があることを示す。 思考法に