ブックマーク / morningrain.hatenablog.com (61)

  • 十河和貴『帝国日本の政党政治構造』 - 西東京日記 IN はてな

    1924年の加藤高明の護憲三派内閣以降、政友会と憲政会(→民政党)が交互に政権を担当する「憲政の常道」と言われる状況が出現しますが、なぜ、このような体制が要請されたのでしょうか? そして、この政権交代の枠組みを運営したのは誰なのでしょうか?(明治憲法のもとでは議会での多数派が組閣を導くわけではない) また、護憲三派内閣以降の政党内閣の歴史は「政友会の堕落の歴史」のように語られることがあります。 田中義一は鈴木喜三郎などのファッショ的な人物を政友会に取り込んで選挙干渉を行い、対外政策では幣原外交を捨てて対中政策で失敗し、その後の浜口内閣に対しては軍部と結託して統帥権干犯問題を持ち出し、五・一五事件のあとは鈴木喜三郎総裁への西園寺の不信感から政権が回ってこず、天皇機関説問題では右翼と組んで政党内閣を支えた理論にとどめを刺す、こんなイメージもあるのではないかと思います。 なぜ、初の格的政党内閣

    十河和貴『帝国日本の政党政治構造』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2024/09/09
    "おそらく昭和天皇は………党派性を党派性で抑え込むマディソン的な考えについてはほぼ理解がなく、斎藤実のような立派な人格者による統治をよしとしたんでしょうね。" →徳治主義系の裕仁氏。
  • 小宮京『語られざる占領下日本』 - 西東京日記 IN はてな

    去年、NHKスペシャルの「未解決事件」で、松清張の『小説 帝銀事件』と『日の黒い霧』をベースにして帝銀事件がとり上げられたのを見た人も多いかと思います。 松清張の推理は犯人は731部隊の関係者でGHQの圧力によって捜査が中止されたというものでしたが、この帝銀事件以外でも松清張はGHQの陰謀とGHQ内のGHQとGSの対立を通じて、終戦直後のさまざまな事件を読み解こうとしました。 松清張は小説家であり、彼の推理は歴史的な事実から飛躍してしまっている部分もあるのでしょうが、当時の日において圧倒的な力を持っていたGHQが表にならない部分で日にどのような影響を与えていたのかとうのは気になるところです。 書は日の現代政治史を専門とする研究者が、そのGHQの「陰謀」を明らかにし、当時の日政治状況を今一度復元しようとしたものになります。 今までの占領期の研究はGHQ側の史料を使うこと

    小宮京『語られざる占領下日本』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2023/06/05
    "必ずしもマッカーサーは吉田支持ではなく、山崎首班工作にも暗黙の了解を""フリーメイソン…鳩山一郎などの入会は公職追放の解除と絡んでおり、当時の日本の有力者がいかにGHQとの「伝手」を求めていたか" →ブクマ
  • 西谷公明『ウクライナ 通貨誕生』 - 西東京日記 IN はてな

    著者の西谷公明氏からご恵投いただきました。どうもありがとうございます。 書は『通貨誕生 ー ウクライナ独立を賭けた闘い』(都市出版、1994)が岩波現代文庫で文庫化されたものになります。巻末には2014年のユーロマイダン革命をうけて書かれた「誰にウクライナが救えるか」、さらに2022年のロシアによるウクライナ侵攻をうけての「続・誰にウクライナが救えるか」が新たに収録されています。 文庫化にあたって「ウクライナ」というタイトルが前面に出されたように、書の面白さはウクライナという国家とロシアとの関係がわかることです。ウクライナの地域ごとの違いや、ロシアと密接な関係を持ちつつも、「ロシアから独立したい」という強い思いがあったことがわかります。 さらに書の面白いところは、一国の経済、そして市場経済をどのようにして立ち上げるのかという問題と、その過程での悪戦苦闘が描かれている点です。 物と物と

    西谷公明『ウクライナ 通貨誕生』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2023/06/05
    "あまりにインフレの進行が早かったために偽造クーポンを印刷しても割に合わなかった""ルーブル通貨圏から離脱した代償……、それでも「ロシアからの独立」ということが優先された" →なかなかすさまじいな。
  • 平野克己『人口革命 アフリカ化する人類』 - 西東京日記 IN はてな

    去年の夏に出たときに読もうと思いつつも読み逃していたのですが、これは読み逃したままにしないでおいて正解でした。 著者が2013年に出した『経済大陸アフリカ』(中公新書)は、アフリカの現実から既存の開発理論に再考を迫るめっぽう面白いでしたが、今作も人口について基的な理論を抑えつつ、それに当てはまらないアフリカの動きを分析していくことで、未来の世界が垣間見えるような面白いです。 目次は以下の通り。 第1章 人口革命と人口転換 第2章 グローバル人口転換 第3章 アフリカの人口動向 第4章 人口と糧 第5章 人口と経済 18世紀後半からイギリスで1%を上回る人口増加が持続的につづいたことが人口革命の始まりと言われています。その結果、イギリスの人口は1801年の約1600万人から1920年には約4682万人まで3倍近くになりました。 これがアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド

    平野克己『人口革命 アフリカ化する人類』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2023/03/06
    "…性産業が貧困女性の受け皿になり、HIVの感染爆発を用意したのです。""HIVの流行についてはアフリカの性道徳などが問題にされることがありますが、その裏には植民地支配を通じた社会構造の変動があった" →ブクマ。
  • 須網隆夫編『平成司法改革の研究』 - 西東京日記 IN はてな

    90年〜00年代にかけて日ではさまざまな改革が行われました。小選挙区比例代表並立制が導入され、1府12省庁制となり、地方自治では三位一体の改革が行われました。それが良かった悪かったかはともかく、これらの改革が日の社会に大きな変化を与えたということは多くの人が認めるところだと思います。 ところが、書が取り扱う司法改革に関しては、改革がどのような変化をもたらしたのかが見えにくくなっています。鳴り物入りで設立されたロースクールの多くが閉校に追い込まれましたし、法曹人口の増加も当初の計画のように入っていません。裁判員制度の開始は大きな変化ですが、これが社会にどのような影響を与えているかというと、これもあまり見えてきません。 こうした中で、改めて司法制度改革を点検し、その問題点や達成を探ったのが書になります。論者によってスタンスは違いますが、副題に「理論なき改革はいかに挫折したか」とあるよう

    須網隆夫編『平成司法改革の研究』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2023/02/02
    "アメリカにおいて「大統領がたかが上院多数派の同意のみで憲法解釈者を決定できてしまうことを例外的であると評している」(98p)そうですが、国会の関与がまったくない日本はそれ以上と言えます。" →ブクマ。
  • ルーク・S・ロバーツ『泰平を演じる』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「徳川期日政治空間と「公然の秘密」」。 何とも面白そうなタイトルと副題ですが、翻訳に関しても監訳を務める三谷博が書の面白さに注目してネット上で訳者を募り、それに応じた友田健太郎が訳したというもので、今までにはない切り口で江戸時代の政治空間を分析しています。 「ホンネとタテマエ」というのは日社会の特徴というもので、江戸時代の政治に「ホンネとタテマエ」の乖離があったと言っても、「そんなものだろ」と思ってしまうでしょう。 しかし、書で紹介されている「ホンネとタテマエ」の乖離は異常なもので、例えば、死んだはずの大名が生きていることにされたりしています(「ゾンビ大名」)。 書はこのような徳川期の政治空間を「表」と「内」または「内証」という概念を使って描き出します。表向きは徳川の厳し掟に従っていても、内側では従ってない。しかも、徳川も表の秩序が維持されるならそれを認めるというロジック

    ルーク・S・ロバーツ『泰平を演じる』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2022/12/05
    "後の時代になっても大名たちは国役などを増やされるのを嫌って、大大名ほど低い石高を申告しています""本家ではまだ誕生届を出していなかった6歳の鉄三郎を身代わりとし、そのまま政房としました" →すごい
  • 黒川みどり『被差別部落認識の歴史』 - 西東京日記 IN はてな

    中学で公民を教えるときに、教えにくい部分の1つが被差別部落の問題です。 問題を一通り教えた後、だいたい生徒から「なんで差別されているの?」という疑問が出てくるのですが、歴史的な経緯を説明できても、現代でも差別が続いている理由をうまく説明することはできないわけです。 もちろん、地域によっては子どもであって差別を身近に感じることもあるかもしれませんが、東京の新興住宅街などに住んでいると、差別が行われている理由というものがわからないのです。 書はそのような疑問に答えてくれるです。 書の「はじめに」の部分に、結婚において差別を受けた部落出身の女性が、差別する理由を重ねて尋ねると、相手の母親が「すみません、なんで今でも差別があるんでしょうか?」と、差別をしているにもかかわらず、その理由を差別している相手(女性の母親)に訊くというエピソードが紹介されているのですが、差別している人が差別している

    黒川みどり『被差別部落認識の歴史』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2021/08/15
    "部落を「異種」とする見方は根強く、日本の社会運動の歴史の中でも「人格者」としてのイメージが強い賀川豊彦でさえ、「彼等は即ち日本人中の退化種 ー 奴隷種、時代に後れた太古民族なのである」(96p)" →ブクマ
  • ヤン・ド・フリース『勤勉革命』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「資主義を生んだ17世紀の消費行動」。タイトルと副題を聞くと、「勤勉革命なのに消費行動?」となるかもしれません。 「勤勉革命」という概念は、日歴史人口学者の速水融が提唱したものです。速水は、江戸時代の末期に、家畜ではなく人力を投入することで収穫を増やす労働集約的な農業が発展したことを、資集約的なイギリスの産業革命と対照的なものとして「勤勉革命」と名付けました。 書によると、この労働時間の増大は17世紀後半のオランダにも見られるといいます。著者は、およそ1650〜1850年の時期を「長い18世紀」と呼んでいますが、この時期、世帯単位の労働時間は増えていきました。 この時期のオランダで「勤勉革命」などと言うと、マックス・ウェーバーを読んだ人であれば「プロテスタンティズムの影響?」と思うかもしれませんが、著者が書で指摘する要因はずばり「消費」です。 この時期のオランダでは、陶器

    ヤン・ド・フリース『勤勉革命』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2021/06/07
    "夫が唯一の大黒柱である時期は一定基幹にすぎず、子どもの稼ぎが世帯の収入を左右したのです。""本書は、ここで子どもをつなぎとめるための絆として注目するのが家庭を取り仕切る妻の存在です。" →絆の裏側
  • 中井遼『欧州の排外主義とナショナリズム』 - 西東京日記 IN はてな

    イギリスのBrexit、フランスの国民戦線やドイツのAfDなどの右翼政党の台頭など、近年ヨーロッパで右翼政勢力の活動が目立っています。そして、その背景にあるのが移民や難民に対する反発、すなわち排外主義であり、その排外主義を支持しているのがグローバリズムの広がりとともに没落しつつある労働者階級だというのが新聞やテレビなどが報じる「ストーリー」です。 書はこの「ストーリー」を否定します。 もちろん、経済的に困窮し排外主義と右翼政党を支持する人びとがいることを否定するものではありませんが、データを見てみれば、排外主義への支持と経済的な困窮は直結するものではありませんし、排外主義と右翼政党支持の関係というのも複雑なのです。 書は、このことをイギリス、フランス、ドイツといった西欧の主要国だけではなく、中欧や東欧なども含めたヨーロッパ全域のデータを見ていくことで明らかにしていきます。 右翼政党や排

    中井遼『欧州の排外主義とナショナリズム』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2021/05/05
    "基本的に、文化的な理由からの移民への反対と反欧州統合が右翼政党支持の2つの大きな理由となりますが、東欧諸国を中心にこの2つが上位の理由として入ってきていない国も多いです。" →ということらしい。
  • エマニュエル・サエズ/ガブリエル・ズックマン『つくられた格差』 - 西東京日記 IN はてな

    ピケティの共同研究者でもあるサエズとズックマンのこのは、格差の原因を探るのではなく、格差を是正するための税制を探る内容になっています。序のタイトルが「民主的な税制を再建する」となっていますが、このタイトルがまさに書の内容を示していると言えるでしょう。 富裕層への最高税率が引き下げられたこと、法人税が引き下げられたことなどが格差の拡大に寄与しているということは多くの人が感じていることだと思いますが、同時に、富裕層への最高税率が引き上げられたら富裕層海外へ逃げてしまう、法人税を引き上げたら企業が海外に逃げてします、経済成長にブレーキが掛かってしまうという考えも広がっています。そして、こうしたことを考えると結局は消費税(付加価値税)をあげていくしかないという議論の見られます。 こうした考えに対して、書は富裕層や企業からもっと税金を取るべきであり、それは可能であるという主張をしています。

    エマニュエル・サエズ/ガブリエル・ズックマン『つくられた格差』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2021/04/05
    "法人税の最低税率を25%に設定して、各国がそれを守るという方法も考えられます。一見すると実現は難しそうですが、アメリカとEUが合意すれば、世界の企業利益の75%をカバーできると言います" →金(資本)持ってるな。
  • エリック・ウィリアムズ『資本主義と奴隷制』 - 西東京日記 IN はてな

    なぜイギリスは世界ではじめての工業化を成し遂げ、ヴィクトリア時代の繁栄を謳歌しえたのか。この歴史学の大問題について、20世紀半ばまでは、イギリス人、特にピューリタンの勤勉と禁欲と合理主義の精神がそれを可能にしたのだとする見方が支配的だった。これに敢然と異を唱えたのが、書『資主義と奴隷制』である。今まで誰も注目しなかったカリブ海域史研究に取り組んだウィリアムズは、奴隷貿易と奴隷制プランテーションによって蓄積された資こそが、産業革命をもたらしたことを突き止める。歴史学の常識をくつがえした金字塔的名著を、ついに文庫化。 これが書のカバー裏に載っている紹介文で、もともとは1968年に中山毅訳で理論社から出版されたの文庫化になります(書に関しては山伸監訳で明石書店からも新訳が出版されていますが、書は中山訳の用語などを一部手直ししたものになります)。 著者は、トリニダード・トバゴの郵便

    エリック・ウィリアムズ『資本主義と奴隷制』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2021/02/06
    "蒸気機関に融資を行った銀行も三角貿易と深く関わ""三角貿易がもたらした富…が、産業革命へとつながってく""植民地の同様と産業革命の全面的な展開が、奴隷貿易を解体" →消滅する媒介者的な。
  • コロナと読書 - 西東京日記 IN はてな

    タイトルからするとコロナ禍の中での読書生活の記録みたいに思えますが、そうではなくて、1学期も終わって少し落ち着いたところで、新型コロナウイルス問題を考える上で参考になったをいくつかあげておこうというエントリーです。 とは言っても、医学的な問題には疎いですし、ウイルスや感染症についてのを読み込んでいるわけもないです。正直、新型コロナウイルスがどうなるかどうかはわからないですし、「コロナ後」の世界についても何か見通しを持っているわけでもありません(ニュースになり始めた段階では2009年の新型インフルエンザのことを思い出して、「これはどこかで2週間位の休校があるか?」と思っていた程度でしたが、2週間じゃすみませんでしたね)。 ここで紹介するのは新型コロナウイルスが引き起こしたさまざまな問題の文脈を考えるためのが中心になります。新型コロナウイルスに関する知識は今まさに生まれつつあるところです

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    haruhiwai18 2020/09/27
    "この背景には自陣営の正しさを証明したいという動機も""逆に言うと、今の米中には正しさを証明したいイデオロギーのようなものがないために、国際的な危機を救おうという考えが出てこないのかも" →皮肉な
  • 外山文子『タイ民主化と憲法改革』 - 西東京日記 IN はてな

    ここ数年、欧米ではポピュリズムの嵐が吹き荒れています。「ポピュリズム」がいかなるものかということに関してさまざまな議論がありますが、「法の支配」や「司法の独立」といった概念への攻撃がその特徴としてあげられることがあります。 これはリベラル・デモクラシーを、国民の意志を反映するという「民主主義」要素と、エリート間の相互抑制を重視する「自由主義」要素の結合と考える見方からすると(この考えについては待鳥聡史『代議制民主主義』(中公新書)が説明している)、ポピュリズムにおいては「民主主義」が肥大化して「自由主義」を圧迫していると見ることができるかもしれません(ハンガリーのオルバン政権やポーランドの与党「法と正義」などはその典型)。 しかし、一方で途上国、あるいは新興の民主主義国では、政治化した司法が民主主義を抑え込むという展開も見られます。「アラブの春」で成立したムルシー(モルシ)政権を引きずり下

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    haruhiwai18 2020/06/24
    "一方でアモーンは首相のリーダーシップには期待しており、強い指導者やエリートによる上からの支配に関しては肯定的でした。 ""権力を規制する機関として期待されたのが司法機関" →「立憲独裁」的な何かだろうか
  •  亀田俊和『南朝の真実』 - 西東京日記 IN はてな

    足利尊氏・直義兄弟が争った観応の擾乱、佐々木道誉や高師直らの婆沙羅大名など、「道徳的」とは程遠いイメージの北朝に対して、「忠臣」楠木正成・正行をはじめとして南朝には「道徳的」なイメージがあるかもしれません。 もちろん、「皇国史観」は過去のもので、今さら「南朝こそ正統!」みたいに言い募る人はいないと思いますが、尊氏周辺のグダグダっぷりに比べればマシというように認識している人も多いと思います。 このは、実は南朝も内紛続きだったことを示すことで、そうしたイメージを打ち破ろうとしたものです。 後醍醐天皇と護良親王の対立、大覚寺統内部での皇位継承争い、各地につくられようとしていた「王朝」、楠木正儀の裏切り、長慶天皇と後亀山天皇の対立などを紹介し、南朝の混乱ぶりを描いています。 ただ、これだけならばトリビア的な面白さでしょう。このの面白いところは、南朝のゴタゴタを描きながら、同時に建武の新政から南

     亀田俊和『南朝の真実』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2019/06/04
    "定説とは真逆に、建武政権は武士に優しく、武士の利益に最大限に配慮した改革政権だったのである。これが現在筆者が抱いている見解""一時は尊氏を圧倒した直義が没落した理由も…恩賞問題だと分析され" →書評。
  • ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキ、ポール・クルーグマン、アルヴィン・ハンセン著/山形浩生編訳『景気の回復が感じられないのはなぜか』 - 西東京日記 IN はてな

    サマーズが口火を切り、バーナンキやクルーグマンとの間で2013〜15年にかけて行われた長期停滞論争を山形浩生が訳しまとめたもの。アルヴィン・ハンセンは1930年代に長期停滞という概念を提唱した経済学者で、このにはその演説「経済の発展と人口増加の鈍化」の抄訳も収録されています。 目次は以下の通り。 はじめに――長期停滞論争(山形浩生) 1 アメリカ経済は長期停滞か?(ローレンス・サマーズ) 2 遊休労働者+低金利=インフラ再建だ! ――再建するならいまでしょう! (ローレンス・サマーズ) 3 財政政策と完全雇用(ローレンス・サマーズ) 4 なぜ金利はこんなに低いのか(ベン・バーナンキ) 5 なぜ金利はこんなに低いのか 第2部――長期停滞論(ベン・バーナンキ) 6 なぜ金利はこんなに低いのか 第3部――世界的な貯蓄過剰(ベン・バーナンキ) 7 バーナンキによる長期停滞論批判に答える(ローレン

    ローレンス・サマーズ、ベン・バーナンキ、ポール・クルーグマン、アルヴィン・ハンセン著/山形浩生編訳『景気の回復が感じられないのはなぜか』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2019/05/18
    "デフレ脱却のための最も有望な政策として、この金融政策と財政政策の連携をあげています。バーナンキも日本に関してはサマーズと同じ処方箋を示しているのです" →解決策がいたって普通(そして今の政権には困難)
  • 羅芝賢『番号を創る権力』 - 西東京日記 IN はてな

    鳴り物入りで導入されたマイナンバー制度ですが、そのしょぼさと面倒臭さにうんざりしている人も多いでしょう。行政事務を効率化し、国民にもさまざまな利便性を提供すると言われていたマイナンバーですが、蓋を開けてみればマイナンバーの通知カードをコピーしてハサミで切ってのりで貼るというアナログな作業が増えただけと感じている人も多いと思います。 思い起こせば住基ネットと住基カードというのもありました。当時、免許を持っていなかった自分は身分証明書代わりに住基カードを取得しましたが、結局、身分証明書の役割を果たしただけで、何かが便利になったという記憶はありません。そして、ひっそりとマイナンバーカードに取って代わられて終わりました。 スウェーデンや韓国やエストニアのように「国民総背番号制度」が確立している国がある一方で、日ではその導入が遅々として進みません。 このは、その理由を日の戸籍制度の変遷や情報化

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    haruhiwai18 2019/04/12
    "一つはっきりしたことがあるとすれば、それは福祉国家の質的向上をもたらさない形で番号制度の改革を進めても、その試みは、常に市民の抵抗に直面するだろうということである" →この主張には納得しかできない。
  •  松田茂樹『少子化論』 - 西東京日記 IN はてな

    少子化問題にまつわる最近のトピックとしては、なんといっても「保育園不足」「待機児童問題」といったことが目につきますが、保育園が整備されて待機児童がいなくなれば出生率は向上するのでしょうか? この『少子化論』では、育休制度の充実や保育園の整備についてある程度評価しつつも、それだけでは少子化問題は解決しないとしています。仕事育児の両立は数多くある少子化の要因の一つであり、日少子化についてはもっと別に大きな要因があるというのです。 目次は以下の通り。 序章 少子化の進行と変容 第1章 家族は変わったか 第2章 若年層の雇用劣化と未婚化 第3章 父親の育児参加は増えたのか 第4章 企業の両立支援の進展と転換期 第5章 都市と地方の少子化 第6章 国際比較からみる日少子化 終章 少子化克服への道 1989年の「1.57ショック」のあと、少子化が社会問題として認識され、政府の少子化への取組が

     松田茂樹『少子化論』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2019/02/06
    "若年層の雇用の劣化により結婚できないものが増えた…""保育所不足や育休などの両立環境が十分でないために少子化がもたらされているというのは、主に都市に住む正規雇用者同士の共働き夫婦" →少子化(2013年の本)
  • 千田航『フランスにおける雇用と子育ての「自由選択」』 - 西東京日記 IN はてな

    ずっと日では少子化が大きな問題として認識されています。一時期よりは良くなったとはいえ、2016年の合計特殊出生率は1.44 で、今の人口を維持していくことはできない水準となっています。 少子化は基的には先進国に共通した問題なのですが、下のグラフを見ると70年代以降ずるずると低下し続けた日ドイツ、イタリアとそこから反転したフランスやスウェーデンやアメリカといった図式が読み取れます。 内閣府 https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/sekai-shusshou.html より だいたいこうしたグラフのあとに、「アメリカは移民国家だから、フランスやスウェーデンは子育てに対する手厚い福祉を行ったから出生率が回復した」というような説明がなされることが多いのですが、実は同じ「手厚い福祉」といってもフランスとスウェーデンではその中身が少し違いま

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    haruhiwai18 2019/02/06
    "フランスでは非常に早い時期から普遍主義的な現金給付が""就業自由選択補足手当は女性がパートタイム労働を選択する誘引ともなりましたが、こうしたことも「自由選択」というキーワードのもとで行われ" →興味深い
  •  ブランコ・ミラノヴィッチ『不平等について』 - 西東京日記 IN はてな

    副題は「経済学と統計が語る26の話」。グローバル経済における先進国の中間層の没落を「エレファントカーブ」と呼ばれるグラフで示し話題を読んだミラノヴィッチが、その前に書いた著作で、さまざまなトピックを通じて、単一のコミュニティ内の不平等、生まれた国や民族による不平等、グローバルな不平等という3つの不平等を分析しています。 不平等という言葉は、ときに貧困問題と同一視され、「日の不平等といっても、途上国の貧しい人の生活に比べれば…」みたいな事が言われますが、このでは不平等をいくつかの軸に沿って統計的に検討することによって、その内実を明らかにしようとしています。 それぞれ興味深いトピックを通じて不平等の実態が探られており、面白く読めると思います。 まず、第1章でとり上げられるのが単一のコミュニティ内の不平等です。 以前はクズネッツ仮説に見られるように経済発展とともに不平等は解消していくと考えら

     ブランコ・ミラノヴィッチ『不平等について』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2018/11/16
    "本書では平均所得と取りうるジニ係数の最大値を考え、それを結びつけた曲線""そこに過去の植民地をプロットすると、限界まで搾取を行っていた植民地支配の姿が見えていきます" →植民地支配における搾取
  •  ジャレド・ダイアモンド、ジェイムズ・A・ロビンソン編『歴史は実験できるか』 - 西東京日記 IN はてな

    物理学や化学などの理系の学問では仮説は実験によって確かめられ、科学的な真理として定着していきます。一方、歴史学となるとどうでしょう? ある出来事の原因を探るために実験をすることはタイムマシンでもない限り不可能です。「明治維新の最大の立役者は西郷隆盛である」という命題を検証するために、過去に行って西郷隆盛を殺して明治維新が起きるかどうかを確かめるということはできません。 そこで「歴史は科学ではない」、あるいは「文系の学問は科学ではない」という声が生まれてくるわけです(近年、経済学政治学などの社会科学の分野では実験という手法が取り入れられるようになってきていいますが)。 しかし、例えば進化生物学や天文学といった分野でも実験はできませんし、多くの人を伝染病にかからせたり、氷河を溶かす実験なども現実的とは言えません。 そこで、これらの分野ではしばしば自然実験という手法が用いられています。たまたま

     ジャレド・ダイアモンド、ジェイムズ・A・ロビンソン編『歴史は実験できるか』 - 西東京日記 IN はてな
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    haruhiwai18 2018/11/16
    "天然資源の有無など考慮すべき材料をいれて補正したのが下のグラフ…になります。基本的には面積あたりの連れ去られた奴隷の人数が多いほど、現在の経済状況は貧しくなっています" →なるほど、実証できるのか(konami