東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所内の緊急時作業用センターを歩く作業員たち(2012年2月28日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO 【3月2日 AFP】間もなく発生から1年を迎える東日本大震災で未曽有の事故を起こした東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所。その内部で日給1万円程度で働く作業員たちにとって、この原子力災害は公式発表で言われるような「安全」からはほど遠い。 日本政府は、前年3月に大津波で破壊された福島第1原発の現況について「冷温停止状態」を宣言し、東電とともに、残るは後始末だけとの印象を与えようと必死だ。廃炉作業の終了まで恐らく40年はかかると認めているにもかかわらず、さまざまなことを制御できていると主張している。 だが、福島第1原発の内側で何日間かを過ごした人々の見方は違う。 ■「線量がめちゃくちゃ高い場所がたくさん」 前年9月から冷却装置関係の
民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」(委員長、北沢宏一前科学技術振興機構理事長)は27日、東京電力福島第1原発事故の調査報告書を発表した。報告書は、直接事故対応に乗り出した官邸の現場介入が「災害の拡大防止に役立ったかどうか明らかでなく、無用の混乱と事故がさらに発展するリスクを高めた可能性も否定できない」と批判。電力事業者、規制当局など「原子力ムラ」が生み出した原発の「安全神話」が、事故の遠因になったとも指摘した。 事故調は、官邸で事故対応にあたった菅直人前首相ら政治家のほか、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長らから聴取した。東電は聴取に応じなかったという。 報告書は、本来は事業者などが行う事故対応に、官邸が直接乗り出した経緯を分析し、地震・津波と原発事故という複合災害への備えを欠くマニュアル、危機対応に関する政治家の認識不足、首相のリーダーシップのあり
東京電力福島第1原発の事故原因を、民間の立場で独自に検証してきた「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が27日、報告書をまとめた。政官業とは一線を画した立場からの報告は、菅直人前首相の行動を「混乱や摩擦のもとになった」と批判する一方、東電の事前対策の不備を「人災」と断罪。他の事故調が出した報告書とは異なり、当事者責任に深く踏み込み、「第三の事故調」の存在感をアピールする内容だ。(原子力取材班) 民間事故調の最大の特徴は、しがらみがない、自由度の高い調査だ。政府が設置した事故調査・検証委員会(政府事故調)や国会が設置した事故調査委員会(国会事故調)とは異なり、特定の機関から調査を委託されていないためだ。 これまでに公表された政府事故調や東電の中間報告は、「原発内で何が起きたのか」という物理的事実の解明が中心だった。 事故対応について、政府事故調は「官邸内の連携が不十分だった」と構造的な
ひたすら続く菅直人首相(当時)の怒声、困惑する官邸スタッフら…。東京電力福島第1原発事故をめぐり、民間の有識者による「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が27日に公表した事故報告書。政府の対応を「稚拙で泥縄的な危機管理」と指弾した内容からは事故直後の緊迫した状況の中、政府首脳が右往左往する当時の様子が克明に浮かび上がった。(原子力取材班)報告書評価《首相の要請がベントの早期実現に役立ったと認められる点はない》 混乱が際立ったのは昨年3月11日午後9時ごろだ。原子炉の冷却ができなくなったことから圧力が上昇。官邸と東電は炉内のガスを放出する「ベント」の準備を始めた。しかし、12日午前5時になってもベントが実施されないことを知った菅首相は、自衛隊ヘリで福島第1原発に向かう。 枝野幸男官房長官(同)は「絶対に後から政治的な批判をされる」と反対したが、菅首相は「政治的に後から非難されるかどう
東京電力福島第1原発の事故を民間の立場から検証し、調査報告書を公表した「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」(委員長・北沢宏一前科学技術振興機構理事長)は28日、都内で記者会見し、菅直人首相(当時)が原子力委員会の近藤駿介委員長に作成を依頼した「最悪シナリオ」の全容を公表した。 報告書では、「(同シナリオは)官邸中枢でも回収され、秘密に伏された」と指摘しており、政府による意図的な“情報操作”の事実が改めて示された形だ。 北沢委員長らは同日、首相官邸を訪れ、野田佳彦首相に報告書を手渡した。 公表した「最悪シナリオ」は1、2、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出されたと仮定。強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロ以上に及ぶ可能性があるというもの。 「最悪シナリオ」は事故後に被害拡大の危機感が高まる中で作成が検討
印刷 関連トピックス菅直人原子力発電所海江田万里東京電力 東京電力福島第一原発の事故原因を民間の立場で調べる「福島原発事故独立検証委員会」(北澤宏一委員長)が27日、東電の責任感の欠如や組織的な怠慢で準備が不十分だったとする報告書をまとめた。国の原子力安全規制が海外の知見を取り入れない「ガラパゴス化」していたと結論。過酷な災害や事故に対応する組織の創設や、科学技術について首相に助言する機能の強化などを提言した。 昨年9月以降、菅直人・前首相、海江田万里・前経済産業相、班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長ら約20人へ詳細に聞き取りするなど約300人から協力を得た。東電経営陣の聴取も求めたが、東電に拒まれたという。 報告書は事故が悪化した要因として、3月11日夜に1号機の非常用復水器が動いていたとの東電の誤認を挙げた。炉への注水や内部の圧力を逃がすベント(排気)が遅れたことや、12日午
国立科学博物館が困った「後継者がいない」 化石のレプリカ作り続けて50年、研究者らが惚れ込むレジェンド職人ついに引退 「路頭に迷いつつある都市」渋谷から見える日本社会の未来、カルチャーの行方とは? 社会学者の吉見俊哉さんとアーティストの宇川直宏さんが渋谷パルコで対談「渋谷半世紀」~若者の聖地の今~
想像を絶する危機の連続で政府組織はレイムダック化 2月28日、「『そんなこと聞いてない』響く怒号!」「パニックと極度の情報錯綜」「官邸の介入で無用の混乱」など、多くのマスコミ各社の報道で当時の政府の原発対応に批判が集中した。その背景となったのは、福島原発事故独立検証委員会による民間事故調査委員会検証報告書が、記者会見を通じて公表され、官邸の指示が事故の拡大防止にほとんど貢献しなかったと総括されたからである。 当該委員会の設立趣旨は、昨年11月15日に日本記者クラブの記者会見において、「政府や国会の事故調査委員会とは異なり、既存の組織や枠組みにとらわれない純粋に独立の立場から事故・被害調査の報告書を作成し、被災住民の方々や日本国民、世界の市民に向けて教訓や提言を広く発表することを目指していく」としていた。詳細は「財団法人日本再建イニシアティブ」のホームページで開示されている。 現時点で膨大な
東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調、委員長=北沢宏一・前科学技術振興機構理事長)は27日、菅前首相ら政府首脳による現場への介入が、無用の混乱と危険の拡大を招いた可能性があるとする報告書を公表した。 報告書によると、同原発が津波で電源を喪失したとの連絡を受けた官邸は昨年3月11日夜、まず電源車四十数台を手配したが、菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった。 バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者に連絡し、「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル?」と問うた。その場に同席した1人はヒアリングで「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」と証言したという。 翌12日朝、菅氏は周囲の反対に耳を貸さず、同原発の視察を強行。この際、同原発の吉田昌郎前所長(57)が東電本店とのテレ
1965年東京生まれ。小学校時代を米ニューヨークで過ごす。英オックスフォード大学修士号取得(国際関係論)。全国紙社会部と経済部、国際機関本部、CNN日本語版サイト編集者(米大統領選担当)を経て、現職。2008年米大統領選をウオッチするコラム執筆。09年4月に「ニュースな英語」コラム開始。訳書に「策謀家チェイニー 副大統領が創った『ブッシュのアメリカ』」。 JAPANなニュース 英語メディアが伝える日本 英語メディアは「JAPAN」の社会や政治を、英語読者にどう伝えているのか。日本人や日本のメディアとはひと味違うその視点をご紹介します。gooニュース発のコラムです。 バックナンバー一覧 英語メディアが伝えるJAPANなニュースをご紹介するこのコラム、今週も東日本大震災と原発事故についてです。「3/11から一年」が近づくに伴い、当時と今を振り返る特集は英語メディアでも増えていますし、民間事故調
東京電力福島第1原子力発電所事故を独自に分析し、27日に報告書をまとめた民間版事故調査委員会「福島原発事故独立検証委員会」の北沢宏一委員長(科学技術振興機構前理事長)は28日、記者会見し「官邸主導による現場への過剰介入があった。その大半は評価することができない」と菅直人前首相らの初動対応を批判した。同日夕、野田佳彦首相に報告書を手渡した。北沢委員長は、欧米では過酷事故への対策が実施されてきたが
印刷 関連トピックス菅直人原子力発電所野田佳彦東京電力 東京電力福島第一原発の事故原因を民間の立場で調べる「福島原発事故独立検証委員会」の北澤宏一委員長は28日、調査報告書を野田佳彦首相に手渡した。報告書では、官邸の初動対応が「場当たり的で泥縄的な危機管理だった」とし、当時の菅直人首相ら官邸主導の介入が「無用な混乱やストレスで状況を悪化させるリスクを高めていた」と指摘した。 報告書によると、官邸中枢は震災直後から東電や経済産業省原子力安全・保安院に強い不信感を抱いていた。3月11日夜、福島第一に電源車を手配したが、接続コードがないなど東電の能力に不信感が募った。 福島第一原発に代替バッテリーが必要と判明した際、菅首相は自分の携帯電話で「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル? 重さは? ヘリコプターで運べるのか?」などと担当者に直接質問して熱心にメモをとった。同席者の一人は「首
3月28日 農業は地球の環境悪化の緩和に重要な役割を果たす フランス農学・獣医学・林学研究院 アグリニウム会長 マリオン・ギュー 氏 3月8日 近未来SF漫画で描かれるテクノロジーの未来 漫画家 山田胡瓜さん 12月28日 「世界中の望遠鏡が協力して中性子星合体を観測 ―重力波と光の同時観測『マルチメッセンジャー天文学』の幕開けは、何を意味するのか?」 理化学研究所仁科加速器研究センター 玉川 徹 氏 4月13日 《JST共催》『ひかり×ひと』-『情報ひろばサイエンスカフェ』で大学院生と中高生らが語り合う 「科学と社会」推進部 4月10日 「持続可能な食の未来へ」をテーマに「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018」開催 世界中からの食の専門家が集結 「科学と社会」推進部 4月2日 《JST主催》「トップサイエンスによる社会変革への挑戦」―JSTの第2回ACCELシンポジウム開催 サイエ
福島第1原発事故を民間の有識者が調べた「独立検証委員会」の報告書がきのう27日(2012年2月)に発表された。内容は多岐にわたるが、「とくダネ!」は菅直人首相(当時)の不手際を強調して取り上げた。 報告書は関係者からの聞き取りで、すでに断片的に伝えられた内容が多いが、東京電力幹部は聴取に応じなかった。このためか、報道によっては、東電の自覚のなさを強調するなど印象はかなり違ったものになった。 東京電力首脳・関係者は聴取拒否 毎日新聞と産経新聞は1面で取り上げ、毎日は「官邸の初動、混乱要因に」とし、菅の行動力は評価する一方で、強い自己主張にひきずられたと書いた。産経は「官邸 稚拙で泥縄」とし、菅や官邸中枢が現場に無用の混乱を招いた「人災」と決定づけた。 菅の発言がさまざまに出てくる。いずれもすでに知られていることばかりだが、たとえば福島原発へ乗り込んだ時、枝野官房長官が「絶対にあとから政治的な
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く