634mという世界一の高さを誇る電波塔「東京スカイツリー」が5月22日にオープン。建設途中で東日本大震災に見舞われた時、日本のモノづくりの粋を集めた現場は、どう危機を乗り越えたのか。ジャーナリストの片山修氏が、当事者たちの証言で迫る。(敬称略) * * * 建設現場では、けが人はおろか、大きなトラブルも何一つ起こらなかった。スカイツリーは、完成した状態のほか、施工中に地震に遭った場合にも備え、事前に、施工段階ごとに、塔体の揺れ方などをシミュレーションし、地震対策がとられていたのだ。 「施工にあたっては、建設段階を10段階ほどに分けて、どの段階において地震が起きても大丈夫なように、解析を行なったんです。例えば、高さが高くなるにしたがってスカイツリーの揺れ方の固有周期が変わるなど、変化がありますし、制振システムの『心柱』がない状態もあります。 どの段階で地震に遭おうが大丈夫な確認をしていました
大阪府と大阪市でつくる府市統合本部は10日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)などの原発再稼働に際し、原発から100キロ圏内の府県との安全協定締結を盛り込んだ8つの条件を決めた。関電筆頭株主の大阪市の橋下徹市長(42)らが突き付けた「船中八策」ならぬ「原発8条件」。橋下氏は「総選挙での判断材料にしてほしい」と、政治的メッセージであることを隠さない。 ■有権者へメッセージ 大飯原発の100キロ圏内には地元の福井県や滋賀県、京都府のほか、大阪府、兵庫県などが含まれる。8条件にはこのほか「独立性の高い原子力規制庁の設立」「使用済み核燃料の最終処理体制の確立」なども盛り込み、大飯3、4号機の再稼働に向け安全性を事実上確認した政府側には高いハードルだ。可及的速やかな全原発廃止を柱とした株主提案も4月中に関電に送る。 8条件作成で中心的な役割を担ったNPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長
房総半島南端から南東に百数十キロ以上離れた太平洋の海底に、これまで存在が知られていなかった長大な2つの活断層が存在するとの調査結果を、広島大や名古屋大、海洋研究開発機構などの研究グループが25日までにまとめた。 長さは160キロと300キロ以上で、1度にそれぞれの断層全体が動けば、いずれもマグニチュード(M)8~9の地震を起こす可能性があるという。 グループの渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)は「ノーマークで未調査の活断層。強い揺れや津波が関東南部や東海地方に及ぶ可能性があり、早急に詳しく調査すべきだ」としている。 グループは海上保安庁作成の海底地形図などを使い、地形を詳細に分析した結果、平行してほぼ南北に走る活断層の存在が分かった。東側の活断層は長さ300キロ以上、西側は少なくとも160キロに達し、「いずれも大地震を何度も繰り返してきた可能性が高い」(渡辺教授)という。 断層の北側には、
東京電力は26日、福島第1原発2号機の原子炉格納容器内部を内視鏡を使って調査し、画像を公開した。水位は格納容器の底から約60センチと、従来想定より低いことが判明した。格納容器に溶け落ちた燃料は水につかって冷やされているとみられていたが、実際に水面を確認できたのは初めて。 公開された画像では、水は透明で、底部にたまった細かい堆積物が舞い上がる様子も映っている。内壁の塗料やさびなどとみられるという。水温は48・5~50度で、格納容器内の気体の温度は約45度だった。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「温度や映像からみて、燃料の冷却はできている」とした。 毎時約9トンの水を原子炉へ注水しているものの、水位が低いため、格納容器下部などが損傷し、冷却水が漏れている可能性が高いという。今後の廃炉作業に影響が出る可能性もある。関連記事2号機格納容器の内部を調査2号機格納容器内部の映像公開、想定よ…
首都圏の2大ターミナルである東京駅と上野駅を直結する「JR東北縦貫線」が、平成25年度に開業する。上野駅が終点だった宇都宮、高崎、常磐の3線が東京駅まで乗り入れ、東海道線と相互直通運転を行うことで利便性の大幅向上が期待される。しかし、専門家は「広い地域のどこかで遅れが生じると、首都圏のダイヤ全体に影響が出る可能性がある」と指摘する。 東北縦貫線は、混雑の激しい東京-上野駅間の京浜東北線、山手線と並走する形で建設が進む。上野-御徒町駅間で22年度に195%だった京浜東北線の混雑率の緩和が期待されるが、相互乗り入れのため、茨城県内の常磐線の駅で発生した列車の遅れが、神奈川県内の東海道線や群馬県内の高崎線にも連鎖する恐れが指摘されている。 さらに、列車ダイヤに詳しい工学院大学の高木亮准教授(電気システム)は、「いったん遅れると、なかなか解消されない可能性もある」と指摘する。 JR王子駅付近で今年
【関西の議論】 大地震発生の前後に動物や魚などがとる異常行動を分析し、地震予知につなげようという研究が、専門の研究者らによって進められている。地震学者の間では、動物の行動を地震の予兆現象につなげるのは非科学的だとする意見がある一方で、謎が多い動物の感知能力の解明に期待を寄せる声も大きい。これまでにイヌやネコは震度5以上の地震に事前反応するとのデータも得られており、東日本大震災後は「未科学」といわれるこの分野への関心が高まっている。関連記事2つの大震災 仕組み・被害に相違点“帰宅困難者”地下で宿泊 東京駅で初…記事本文の続き 「大地震の後、そういえばあの時…という言葉を聞くたびに、科学者として悔しさと屈辱を感じます」 人工的に再現した電磁波をイヌやネコにあて、その反応を見る実験を5年前から続けている麻布大獣医学部動物応用科学科(神奈川県)の太田光明教授はこう話す。 地球科学などの分野の研究に
首都直下地震が想定されている南関東の地震活動が東日本大震災後に活発化し、地震の発生頻度は現在も大震災前の約3倍と高い状態となっていることが7日、文部科学省の特別プロジェクト研究で分かった。研究チームはマグニチュード(M)7程度の首都直下地震について「いつ発生しても不思議ではない」としている。関連記事震災時の交通規制見直し 脱出可能に「首都直下型は震度7」 首都の防災 耐震化とリスク分散急げ記事本文の続き 南関東で起きたM3以上の地震の数を大震災の前後半年間で比較したところ、大震災後は約7倍に増加。徐々に減少しているが、現在も約3倍で「地震災害発生リスクは現在も高い」との見解を示した。 国はM7程度の首都直下地震の発生確率を30年以内に70%としている。研究チームは確率がどの程度上昇したかは示していない。 また、首都直下地震のひとつである東京湾北部地震の揺れは、従来想定の震度6強を上回る震度
≪明治の遺産、見直されぬまま現在まで≫ 東日本大震災で福島第1、第2原発が停止したため、東京電力の電力供給量は震災前より約4割もダウンした。そのため東京電力では、被害のなかった中部以西の電力各社から計約100万キロワットの送電を受けつつ、3月14日からは供給エリア内を5つのグループに分け、順番で電力供給を止める「計画停電」を断続的に行っている。しかし電力需要には全く追い付けていない。関連記事「西」からの送電追いつかず 計画停電…東京電力、21日午後まで計画停電を見…記事本文の続き 電力会社間は送電線のネットワークでつながっており、トラブルなどで電気の供給不足が発生した場合、余力のある会社から送電を受ける「応援融通」という仕組みがある。 ところが、同じ日本でありながら、電気の周波数は東日本が50ヘルツ、西日本は60ヘルツと異なっているのだ。そのため西日本の電気を東日本で使うには周波数の変換が
東日本大震災が発生した3月11日午後2時46分、宮城県東松島市のJR仙石(せんせき)線「野蒜(のびる)駅」を出発した上下2本の電車があった。ともに一時行方不明と報じられたが、下り電車は丘の上で停止、地元住民のアドバイスに従って乗客は車内にとどまり無事だった。上り電車はJR東日本の内規に従って誘導された指定避難所が津波に襲われ、数人が命を落とした。乗客の証言などをもとに、小さな駅で交差した生と死を追った。(梶原紀尚)関連記事迫る津波…心支えた「ファイト!」宮城…震災犠牲者9割水死 津波の怖さを軽視…記事本文の続き ■上り・皮肉な結末 仙台方面の「あおば通」行き普通電車(4両編成)は午後2時46分、野蒜駅を出発した。直後に激しい揺れに襲われ、運転室に緊急停止を告げる無線が入った。停車したのは駅から約700メートル進んだところだった。JR東日本には、災害時に緊急停止した場合、乗務員は最寄りの指定
「とても大胆な行動で、今思うと、自分でもおそろしいですね」。震災直後、NHKニュースを無断でネットに流した広島県の男子中学生(15)はこう振り返る。 ■中学生「助かる人がいる」 3月11日の東日本大震災発生直後、大津波警報が赤く点滅するNHKのニュース画面を見ながら、当時14歳だった男子生徒は「この画面をネットに流したら、助かる人がいるんじゃないか」と考えた。関連記事NHK職員を身柄拘束 ハワイで違法薬…無断でTVドラマ投稿容疑 「1700…記事本文の続き その瞬間、脳裏を懸念と不安が駆け巡った。「相手はNHK、あとでどうなるか」。手持ちのiPhone(アイフォーン、高機能携帯電話)を使って動画投稿サイト「ユーストリーム」で配信した経験もほとんどなかった。しかし、母親が阪神大震災の被災者だったことが、少年の背中を押した。「今、東北には自分よりも不安を抱えている人がものすごい数いるんだ。自分
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く