ブックマーク / agora-web.jp (53)

  • 衰退する日本の新宗教 --- 島田 裕巳

    去年(2014年)の夏、たまたま私は8月1日に大阪に行く用事があった。8月1日と言えば、日の新宗教の代表であるPL教団(正式にはパーフェクト・リバティー教団)が行う花火大会の日に当たっていた。そこで、家族も伴い、これを見に行くことにした。30年近く前に一度行ったことがあり、あまりのすごさに圧倒されたことがあったからである。 ただ、これは、花火大会ではなく、教団にとっては重要な神事である。初代教祖の御木徳一は、晩年自分が「死んだら嘆いたりせずに花火を打ち上げて祝ってくれ」と言っていた。その教祖のことばにしたがって行われているわけで、正式な名称は「教祖祭PL花火芸術」という。 私自身も楽しみにしてPL教団の部のある富田林市に向かった。会場には多くの人間がつめかけていた。そして、神事が行われた後、花火が打ち上げられた。 最初は、さすがPLの花火は違うと思って見ていたのだが、次第に前に見たとき

    衰退する日本の新宗教 --- 島田 裕巳
  • 死者に優しく、弱者に厳しい日本-『日本軍と日本兵』

    2011年春、東北の被災地に行ってきたことがある。 GW後ならば、私のような非力な人間でも需要があるだろうと思い、友人プロジェクトに参加させてもらう形で、規制線内に物資などの支援に行ってきた。 語弊があるかもしれないが、そこで見たのは、死者に優しく、弱者に厳しい世界だった。自衛隊員が絶望的な表情で、膨大な人力と重機で遺体捜索する一方、道路が寸断された向こう側では、眼鏡、スリッパ、毛布、サインボール等が散乱する海岸近くの砂地で被災者たちがテント生活を送り(公共施設からはみ出る形)、そこには水道もガスもトイレもなく、風呂はサウナ、電気は発電機で若干しかない状態だった。他方、上空では、海自のヘリがしきりに遺体捜索で飛んでいた。 元自衛官の友人は、「自衛隊は遺体捜索より、さっさと道路等のインフラを修復し、被災者の生活再建と向上に注力するべき」ではないかと呟いたが、私も同感だった。既に亡くなった方

  • 専業主婦は金持ちの高年齢層というレッテル

    政府による配偶者控除の見直し論が現実味を帯びている。不思議なのはマスコミ各社が配偶者控除の廃止を「女性の社会進出」という美名のみ強調し、「子育て世代への増税」という点をはっきりと報じないことだ。 配偶者控除を受けているような専業主婦世帯は金持ちで、高年齢層というレッテルが浸透しているようだが、現実の姿とはかけ離れている。末子の年齢別専業主婦世帯の割合(2010年国勢調査)は以下の通りで、子どもが成長するにつれて(つまり親の年齢が上がるにつれて)、専業主婦の割合は低くなる。(参考論文) 0歳 70.9% 1歳 63.7% 2歳 58.4% 3歳 53.0% 4歳 48.7% 5歳 46.0% 6歳 44.0% 7歳 41.1% 8歳 37.8% … 13歳 29.7% 17歳 28.0% 大半の世帯は、決して経済的に余裕があるからではなく、小さい子どもを育てるために必要に迫られて専業主婦業に

    専業主婦は金持ちの高年齢層というレッテル
  • 都民のための東京都知事選の争点入門

    2月9日投開票の東京都知事選挙で、何が争点になるかが話題となっている。稿では、特定の候補者を支持も批判もする意図は一切ないが、都民(以下、20歳以上の東京都の有権者を意味する)が都知事選に期待しても意味のないことが明白な争点については、事前に明らかにしたい。 「原発問題」は、東京都知事選挙の最重要争点なのだろうか。そうしたい人がいることはわかる。しかし、東京都知事には、できることと、やりたくてもできないことがある。東京都知事にできることで都民の生活に影響を与える課題こそが、来都知事選で争点とされるにふさわしいものである。特に、国政の課題であって、東京都知事にそもそも権限が何も与えられていないことを、都知事選の争点にできたとしても、そしてそれによって勝った候補者が東京都知事になったとしても、そこで公約したことは結局任期中に実現できるはずもない。 都知事に権限がない政策課題を、都知事選で公

    都民のための東京都知事選の争点入門
  • 「それは、会社を辞めてでも、やりたいことなのか」星海社新書初代編集長ご退任によせて 

    9月30日、星海社新書初代編集長の柿内芳文氏が11月末をもって「卒業」することが発表された。この出来事や彼の歩みを通じて、今どきの出版業界や、編集者のキャリアについて徒然なるままに考えてみることにする。 「新書こそがノンフィクションの完成形である」と信じる柿内芳文氏は、まさに新書バカだ。 同氏は前職の光文社時代に『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉)や『99.9%は仮説』(竹内薫)『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(城繁幸)などの大ベストセラーを連発したことで知られている。光文社時代の彼の仕事はすべてが記録であり、記憶に残るものだった。これらの他にもヒットを連発したし、佳作も多数あった。 光文社時代の彼の作りには、法則があった。タイトルとサブタイトル、帯で読者の素朴な疑問や怒りを代弁する。前書きでがっちりと掴む。その後の章では、衝撃的な事実を並べたてていく。章のタイトル、項目見出し

  • 復興を遅らせるのは誰か--復興庁幹部暴言騒動の後日談 : アゴラ - ライブドアブログ

    社会・一般 復興を遅らせるのは誰か--復興庁幹部暴言騒動の後日談 「三流どころ」政治家の小細工 メディアの伝える報道に世論がまったく反応せず、それどころか逆方向に問題が進む例が最近は増えている。報道の質が、総じて高い日人の見識と釣り合わない例が多いのだ。 一つの興味深い例がある。復興庁の幹部の暴言騒動だ。ある幹部が匿名で「クソ左翼」などとツイッターでつぶやいたと、13日に毎日新聞が報道。各メディアがこの幹部を批判する形で追随し、「被災者を批判した」と一方的に断罪して、幹部は更迭された。(写真は暴言復興庁幹部にまとわりつく、アワプラネットテレビの白石草代表。同サイトの映像より) 私は「復興庁幹部暴言騒動・役人「叩き」ではなく仕事を「減らす」で福島を救え」という記事を書いた。この騒ぎは「子ども・復興支援法」(参議院の解説文書)を推進する人々、また情報源になった自称市民メディアのOurP

  • ポスト田原総一朗は津田大介か荻上チキか?他局の看板を仕事後に連れ出すテレ朝の殺気と本気

    時はきた。それだけだ。 今晩の朝生のキャスティングがすごい。「テーマは激論!参院選と日の選択」である。田原総一朗と、与野党の議員の他は津田大介氏と荻上チキ氏である。これが何を意味するのか?それは、朝生におけるポスト田原総一朗の候補がこの2人にしぼられたということだ。 まず、最初に私の意見を表明しておくと、田原総一朗氏は、少なくとも朝生の司会を降りるべきだと思っている。彼じゃないと成り立たないという意見もあるが、そもそも番組の終了やリニューアルも視野に入れるべきだと思っている。 番組として、もう機能していないし、田原総一朗氏も司会として機能していないからだ。朝生はテレビ朝日系で放送されているが、同局の『徹子の部屋』のようなものと化していると感じている。徹子の部屋は、結局、徹子の、徹子による、徹子のための番組である。朝生も同様ではないだろうか。番組の使命などは、すでに20年以上前に終わってい

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  • 山本一郎氏が語るソーシャルゲーム開発の「炎上案件」を食い止める方法

    東京で4月15~16日という日程で、Unite Japanという米Unity Technologies主催のカンファレンスが開催中だ。ゲーム開発は属人性を伴っているものであることを痛感させられたセッションがある。イレギュラーズアンドパートナーズの山一郎氏が、ゲームエンジンのUnityが普及したがために起きている「炎上案件」にどのように対処するべきかを語った講演だ。同社は、トラブルを抱えたソーシャルゲーム開発プロジェクトの「炎上案件」が発生している場合の処理作業を業務の一つとして行っている。 Unityゲームエンジンとして、日では前年対比で500%という驚異的な売上を出し、世界でアメリカに続く、第2位のライセンス契約が結ばれているまでの大成功の状態にある。一方で、「Unityだから、安い、早い、簡単に開発できる」という思い込みも広がっている。優れたゲームエンジンを使えば、優れたゲーム

    山本一郎氏が語るソーシャルゲーム開発の「炎上案件」を食い止める方法
  • 薬のネット販売が再禁止されるらしい 〜自由と責任について〜 : アゴラ - ライブドアブログ

    薬のネット販売が再禁止されるらしい 〜自由と責任について〜 1月11日、医薬品のネット販売を省令で規制した事は違法だとしてケンコーコム等の販売会社が訴えていた裁判が最高裁で原告の完全勝訴に終わり、ネット販売は改めて解禁される事になった。しかし、これがすぐにでも再禁止されそうだ。 元々の発端は2009年に改正薬事法が施行された際に法律にはなかった対面販売のルールが省令によって導入され、ネット販売が原則として禁止された事にある。当時、内閣府に設置された規制改革会議がそれに噛み付いた。その中にはネット証券の先駆けとして知られる松井証券の松井社長も居た。 「公務員になりたいという証券マンのユウウツ 〜対面型証券に存在価値はあるのか〜」で松井社長をとりあげたが、自分は松井社長の著書を何冊も読んで興味を持っていた。薬の販売規制にはピンとこなかったものの、松井社長が出るのならと公開で行われた規制改革会

  • 自由の代償:アルゼンチンという国の売買について

    あと2週間で国が財政破綻すると聞いたらどうするだろう? [FT]アルゼンチン債務問題、集団行動条項の重要性示す(社説) (日経済新聞の英国ファイナンシャル・タイムズ引用記事) アルゼンチンがまさに今、その状況に陥っている。要約すると、2001年にアルゼンチンがデフォルトしたあとに、その国債を二束三文でアメリカのヘッジファンドが買取り、アルゼンチン相手にマネーゲームを繰り広げているのだ。 この状況は一旦解消され、日付けの現地新聞の報道で、12月15日だった期限は2013年2月27日まで持ち越されることになったが、未だ予断が許さない事態となっている。 またこちらの記事(英語)によると、アルゼンチン対ヘッジファンドという構図ではなくなり、ブレバン・ハワードという巨大ヘッジファンドがアルゼンチンのバックについたことにより、ヘッジファンド対ヘッジファンドという構図になったとのことだ。 さらに両者

    自由の代償:アルゼンチンという国の売買について
  • コンピュータは人間を神にするのだろうか~2029年に訪れる人間とAIが対等になる時代

    コンピュータは、人間と対等の存在になるのはいつだろうか。アメリカの発明家で未来学者のレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)が新刊「How to Create a Mind: The Secret of Human Thought Revealed」を発表した。そこでは、コンピュータが人間の脳の持つパターンをシミュレートできることが可能であり、現在のペースでコンピュータの性能が上がり続け得れば、脳科学と人工知能AI)の融合によって、2029年に人間と同じレベルのAIが登場すると言い切っている。 そんなSFめいたことが、当に実現するだろうか。それを気で信じている人たちがアメリカに存在しており、事実、社会に対して影響力を持っている。 Timeの2011年2月の「2045: The Year Man Becomes Immortal」より ■「ムーアの法則」によって我々はどんどん豊か

    コンピュータは人間を神にするのだろうか~2029年に訪れる人間とAIが対等になる時代
  • ブログメディアに言いたい~報道の自由というお題目が立てば何をやってもいいのか

    ゲーム業界の中で、あきれかえるしかないが、深刻な事態が起きている。この10年以上の歴史のなかで多くの人によって苦労して積み上げてきた、社会的な信頼を著しく毀損する問題が発生している。それを引き起こしているのは、Gigazine(彼らのPVに貢献したいとは考えないためリンク張らない)というブログメディアで、ページビューを引き上げるためなら、何をやっても構わないという姿勢で報道(らしきもの)を行っているメディアだ。すでにその取材方法については「取材規定」に違反しているため、修正若しくは削除が求められているにもかかわらず、無視を決め込んでいる。 ゲーム産業への貢献という理念によって支えられてきたCEDEC 8月20~22日間、CEDEC(CESA Developers Conference)という業界団体のCESAが開催しているゲーム開発者向けの年に一度の専門カンファレンスが、横浜で開催された。

    ブログメディアに言いたい~報道の自由というお題目が立てば何をやってもいいのか
  • 正しすぎるライフネット生命の新卒採用 : アゴラ - ライブドアブログ

    経済・金融 正しすぎるライフネット生命の新卒採用 / 記事一覧 やや旧聞に属するが、ライフネット生命が興味深い採用方法を行っている。 ライフネット生命 2013年新卒採用 http://recruit.netseiho.com/assignment/index.html 「皆さんには『重い課題』に挑戦していただきます」と、当に重い課題を応募者に課している。以下、課題Aの内容だ。 [1]日における少子化の現状とその原因を明らかにしてください [2]そのうえで、あなたが解決すべき課題をあげてください。 [3]インターネットを使ってその課題を取り組むためのプランを立て、費用対効果とともに提案してください。 [注]あなたは現在の少子化担当大臣の政策実行チームとはまったく別に依頼されています。」 もう1つの課題Bでは、1000万円の費用であなたが学んでいる学校をより魅力適する方法を

  • 飯田哲也氏の敗北に思う−「典型的」市民運動の限界 : アゴラ - ライブドアブログ

    OPINION 飯田哲也氏の敗北に思う−「典型的」市民運動の限界 / 記事一覧 期待が失望に変わった 7月29日の山口県知事選挙で環境活動家の飯田哲也候補が落選した。 飯田氏が福島原発事故以降に、反原発、電力会社攻撃の中心的人物になっていたため、エネルギー問題と絡めてこの選挙は語られた。 結果の受け止め方はさまざまであろう。私はそれぞれの意見を尊重するが、私見を述べれば、「典型的」市民運動の限界を感じた。 親しい訳ではないが私は3−4回インタビューをした。そして考えは違うが、飯田氏を尊敬、評価した。 3・11までは。 エネルギー民主主義の可能性 エネルギー問題の意思決定に私は疑問を持ってきた。そこには推進する政府・電力会社、反対派、そして大多数の無関心の国民という構造があった。政府、電力会社は「金をばらまく」という単純な解決で反対意見を封じ込め、合意を丁寧に作り上げることはな

  • 持ち家は資産か? 持ち家に関する二つの幻想 ---中嶋 よしふみ : アゴラ - ライブドアブログ

    一般投稿 持ち家は資産か? 持ち家に関する二つの幻想 ---中嶋 よしふみ / 記事一覧 持ち家には二つの幻想がある。「持ち家は資産である」と「持ち家は賃貸よりも有利」の二つだ。果たしてこれは当か。結論を言うと間違いだ。 まず持ち家は資産かどうかについて、言及してみよう。住宅ローンを組んで家を買った場合、一般的な感覚としては返した分だけ自分のものになる、といった所だろう。これが一つ目の幻想だ。 住宅は買ったとたんに2、3割価値が下がると聞いた事がある人は多いだろう。販売側の利益が乗っているだけでなく、買ってすぐに売ろうとすれば、手数料がかかって、結果としてそれぐらいは損をするからだ。したがって頭金は2割くらい入れないと、買った時点で債務超過(借金が資産を上回る状態)になりかねない。 つまり「返済した分だけ自分のものになる」のではなく「返済した分だけ消費していく」と考えたほうがより実

  • 愛と幻想のノマド論 食いっぱぐれない生き方のぶっちゃけ話

    最初に言っておきます。これは就職氷河期、大企業での社畜時代など、人生の紆余曲折を経て、なんとか生きているアラフォー男子のエッセイです。 ネタバレ、ステマになるので詳しくは書きませんが、ある番組で「若者の雇用」について議論しました。口下手な私ですが、頑張りました。その際に、「ノマド」が話題になりました。 ノマド。これに対して期待と、曖昧な不安を抱いております。 私、ノマド批判論者だと思われているのですが、違います。むしろ期待しています。ただ、現状の盛り上がり方、取り組み方が残念だと感じています。これが若者の希望難民を生み出すだけではないかと危惧しています。 新しいワークスタイルは、いつの時代も論じられます。私は就職氷河期世代なわけですが、当時も「日の大企業はもうダメだ」「新しい働き方が必要」という話は盛り上がりました。その時代、学生起業なども盛り上がりました。00年代になる頃にもフリーラン

    愛と幻想のノマド論 食いっぱぐれない生き方のぶっちゃけ話
  • 理解の遅い子はダイヤの原石かもしれない

    学生の頃、塾の講師や家庭教師のアルバイトをした際に、「理解能力が高いのに、学校の成績は良くない」という不思議な生徒が一定の割合で存在することに気がついた。 1.謎の成績低迷 一例として、私が家庭教師を務めたA君(当時中学2年生)のエピソードを紹介する。 家庭教師を引き受けた際、A君の通知表を見たところ、5段階評価で「2」が多く、総合すると「下の中」といった成績だった。簡単にテストをしてみたところ、中学1年生の初期で習う分野から理解が曖昧だった。例えば、数学では文字式を理解できていなかった。 当時、「A君の成績を上げるのは大変そうだな」と、悲観的な気持ちになったことを今でも鮮明に覚えている。 しかし、指導を始めて数週間が過ぎた頃、良い意味でA君に驚かされた。時間を掛けて教えてあげれば、実に良く理解してくれるのである。平均的な生徒と比べると理解するスピードはゆっくりだが、能力的に劣っているとい

  • もういちど助け合おう:日本文化史に探る『災害ユートピア』

    当初は夏に入る前にも復興のバトンを引き継ぐのかと見られた菅政権でしたが、場当たり的にも見える仕方で「脱原発」政策を矢継ぎ早に打ち出し続ける姿が賛否両論を呼び、これに与野党双方を巻き込む政局が絡んで、被災地を置き去りにした政治の混乱もいよいよ極まった感があります。震災当初、復興支援に対して国民みなが抱いたはずのあの結束感――もしくは「誇れる日人」だとか、「世界一優秀な民族」だとか、今となっては口にするのも恥ずかしい類の国民性論まで沸騰させたある種の高揚感は、いったいなんだったのかと、絶望に近い諦念に打ちひしがれている方も多いのではないでしょうか。前年末に邦訳初版が刊行(原著は2009年)され、期せずして今回の不幸な震災にも逢着して版を重ねる書は、災害発生当初にはなぜ、(“国民性”の如何にかかわらず)いかなる被災地でも互いに力をあわせあう利他的行動が自ずと発生し、そしてそのようなユートピア

    もういちど助け合おう:日本文化史に探る『災害ユートピア』
  • 津田大介氏の「女川町訪問」が炎上しなかった理由とその価値について

    ジャーナリスト・津田大介氏による女川町の廃棄物選別処理施設の取材関連ツイートに好感を覚え、その情報提供のあり方に価値を見出した人は多いのではないだろうか。筆者もその一人だが、20万ものフォロワーを抱えた人物が「瓦礫受け入れ問題」というセンシティブなテーマを扱ったにもかかわらず炎上しなかったこと、そしてそれがバイアスのかかっていない報道として成立し得たこと、まずこれ自体が意義深い。 リンク先を見れば分かる通り、現場写真を添付しながら適宜注釈を加え、客観性の高い情報を提供に努めている。また、その後も女川町の災害廃棄物の受入処理に関する資料などの紹介をしながらも、「感情論」や「べき論」はできる限り排除している。これは津田氏ならではのアプローチではあるが、リアルタイムで現場の空気を伝える方法としてこれ以上のものはないと言えるだろう。 これだけだと津田氏の仕事っぷりを讃える話で終ってしまうので、もう

    津田大介氏の「女川町訪問」が炎上しなかった理由とその価値について
  • 「ドリランド騒動」によってあぶり出されたもの

    「行き過ぎたソーシャルゲーム GREEで不正行為の内幕」を読んだ。波紋を呼んでいる「ドリランド騒動」について、「換金市場」と「射幸性」を軸に記者が自ら被験者となりながらソーシャルゲームの闇の部分をあぶり出す、非常に読み応えのある記事だった。 すでに目を通した方も多いだろうし、記事に関するレビューも相当数あるのではないかと思われるが、稿でも一点だけ問題提起をしたい。というのは、記者の井上理氏は「射幸性」について鋭い指摘をしていたが、それに加えて「なぜ、こんなにも射幸心を煽る仕組みが機能するのか」も重要だと考えるからである。 まず、記事内のこの一文に注目していただきたい。 単なるデジタルの「絵柄」が、月間1億3000万円以上も現金に換金されていた。 いくら射幸心を煽る仕組みになっているからといって、「単なるデジタルの絵柄」に価値を見出すだろうかと不思議に思うはずだ。その理由が、「終わりのない

    「ドリランド騒動」によってあぶり出されたもの
    hasetaq
    hasetaq 2012/03/06