ブックマーク / www.anlyznews.com (15)

  • ドワンゴの入社試験の受験料は違法か?

    ニコニコ動画で有名なドワンゴが入社試験に受験料2,525円を科すことに、色々と賛否があがっている(ITMedia)。 オンラインでエントリー・シートが出せるようになって以来、手当たり次第に応募する学生が増えたため、企業の採用担当者としては採用負荷を何とか減らしたいと思っているらしく、応募者数を減らし採用コストを賄う手法として注目されているようだ。一方で、入社試験に受験料を求めることが違法ではないかと言う疑問がツイッターで流れていた*1。 調べてみたところ、結論は合法のようだ。厚生労働省の配布している資料『Ⅳ 労働者募集の原則』にしっかり書いてあった。 ロジックは少し込み入っている。職業安定法39条に「報酬受領の禁止」があり、採用に関して募集者も仲介業者も応募者から報酬を受け取ることができない。しかし、『採用試験は募集に応じた者から雇用することとなる者を選考するために行うものであるため、募集

    ドワンゴの入社試験の受験料は違法か?
  • 囚人のジレンマを実際に囚人で試すとどうなるの?(カタカタカタ

    二人の被疑者が拘束されていて、それぞれ個別に隔離されて尋問されている。両方が黙秘すれば、二人とも微罪。一人だけが自白すれば、黙秘したもう片方は極刑だが、自白者は無罪。二人とも自白すれば、二人とも重罪。このとき二人とも黙秘を続けられず、二人とも自白してしまう。こういう現象を囚人のジレンマと言うのは、よく知られていると思う。 この囚人のジレンマの実験を、実際に囚人を使ってやってみた研究であるKhadjavi and Lange(2013)がBusiness Insiderで紹介されていた。 残念ながら刑期をかけた自白実験ではなく、コーヒーやタバコを報酬にした文字通りのゲームで、女囚と学生を比較したものだ。個人ブログ並みの釣りタイトル(Prisoners and their dilemma)にやられた感があるのだが、それとは別に実験結果は興味深いものとなっている。 実験は同時手番ゲームと逐次ゲー

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  • 不安定な長期金利、円高、そして株安に関して知っておくべきこと

    円高株安で日銀の金融政策に関しての不満や失望感がネットで広がっているようだが、市場関係者は分かっていると思うものの、追加緩和が無い事が全ての起因と言うわけでもない。 為替相場は外国の都合も多々あるし、株安も為替や株価収益率から考えると極端に安くなったとも、あるべき水準を外しているとも言い難いわけで、失望するには当たらないように思える。 1. 長期金利の変動に関して 不安定な長期金利は、日国債市場関係者への週次アンケートを元にしたロイター記者の考察による流動性低下によるボラティリティの上昇が理由と言うのが最も説得力がある。現行の債券買い入れの回数を増やし、1回当たりの額を減らしたほうがいいとの要望もあり、ここはマクロ経済な問題ではなく、テクニカルな問題と見る方が良さそうだ。実際に過去10年を見ても、別に長期金利が上がっているわけではない(長期金利推移グラフ | 日相互証券株式会社)。

    不安定な長期金利、円高、そして株安に関して知っておくべきこと
  • ネットを始める前の子供に読ませたい「詭弁論理学」

    「詭弁論理学」は論理的に誤りのある議論の仕方を、平易に記述、紹介しているだ。中高生向きの推薦図書にしたいと思うは少ないのだが、これは正にそういうだと思う。 ウェブに限らずインターネットでは常に情報を判断して咀嚼する必要があり、子供が正しく情報を吸収できるかは、保護者の心配事の一つであろう。書は、ある種の言説に騙されないリテラシーが身に付きそうなになっている。 1. 強弁術と詭弁術 四章で構成されており、第Ⅰ章で強弁術と詭弁術を分類したあとに、第Ⅱ章で強弁術、第Ⅲ章で詭弁術、第Ⅳ章で代表的な論理パズルとパラドックスを紹介している。強弁術が非論理的な無理押しで、詭弁術が論理的な主張の誤りになるそうだ。ただし、両者の区切りは明確ではなく、二分法や相殺法などどちらとも言えない話法もある。 2. 詭弁術の章が軸 強弁術の章は著者の個人的な恨み経験が多く紹介されており、詭弁術の章は一般的な事

    ネットを始める前の子供に読ませたい「詭弁論理学」
    hasetaq
    hasetaq 2013/04/09
  • 安倍総裁は財政ファイナンスもインフレ目標政策も理解していない

    NHKの時論公論で、自民党の安倍総裁の日銀引受発言騒動が、安倍総裁が実は市場オペと言っていたと言う事で、「重要な事実が抜け落ちた論争であり、市場の動きもいわば空騒ぎ」と言っている。しかし、空騒ぎと言えるであろうか? 問題の契機となった11月15日の発言(ニコニコ動画)を見てみると、安倍総裁が、自身が主張している事をよく理解できていないのは事実だからだ。 1. 財政ファイナンスを理解していない 政府が建設国債15~20兆円の建設国債を発行し、日銀に市場オペで買い取る事を主張している。政府が日銀に国債買取を命じている限り、実態上の日銀引受、つまり財政ファイナンスと同じ事になってしまう。中央銀行のガバナンスが問題*1なのであって、手続きが問題では無いのを理解できていないようだ。また、建設国債を選別して買い取れない事も理解していない*2。 2. 日の量的緩和の規模を理解していない 日銀が金融緩和

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  • 厚生労働白書が隠している経済学の知見

    平成24年版厚生労働白書は、社会保障の教科書的内容になっているが、(最近の)経済学の知見が反映されていないと感想がある。それに対して、ケインズ、ポランニー、アダム・スミス、セン、フリードマンなどの大御所経済学者の名前が散見されるのに、反映されていない「経済学の知見」とは何かと言う疑問があがっている(EU労働法政策雑記帳の後半部分)。 確かに大御所の名前はあるのだが、恐らく意識的に、理論モデルや実証研究の知見が紹介されていない。つまり社会保障の必要性を訴える一方で、社会保障の適正水準を巡る議論は極力排除している。厚生労働白書で経済学の知見をどこまで紹介すべきかは議論があると思うが、陰謀論的に分析してみよう。 1. 効率と公正の細部に踏み込まない 第2章で社会保障の理念や哲学を紹介していて、効率と公正と言う評価基準を紹介している。しかし、なぜ効率が改善するのか、なぜ公正になるのかの議論が薄い。

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  • ブラック企業は無くならない ─ 社会学者の卵の会話にある無責任

    東京大学大学院総合文化研究科の古市憲寿氏・川村遼平氏と上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻博士前期課程の大野更紗氏の対談記事が公開されている(前編、後編)。何だか初々しい。 院生を掴まえて批判するのは心が引けるが、気になった事がある。ブラック企業を批判するのは良いのだが、ブラック企業が果たしている社会的な役割を考察していない点だ。 1. ブラック企業以外の雇用先はあるのか? ブラック企業に負けないように、これからは労働法と社会保険の知識が必要だとか、労働基準監督署が機能不全だとか、ブラック企業が潰れればいいとか言っている。初々しいのだが、労働争議は戦前からある問題で今に始まった事ではないし、ブラック企業が無くなったときに雇用先があるとは限らない。特にブラック企業が消失したときの事を考えていないのは問題であろう。 2. 市場価値の高い労働者はブラック企業に勤めない ちょっ

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  • コーヒーと搾取とブロガー

    店でのコーヒー飲料の価格に占める原価のうち、コーヒー豆が微々たる額である事が話題になっていた(facebook)。 単にサービスが高コストであるだけの話で、コーヒー農家に利益を持たせようと言うフェアトレードを正当化する数字では無いのは確かだ(やまもといちろうBLOG)が、定期的にこの話題が持ち上がるのは興味深く、また、全般的に思考が足りない人が多いのが気に障る。 1. 『搾取』って何? 元ネタ画像に添えられたネタ提供者自身のコメントに「どの業界でもたいてい個人が稼いだお金が給料として返ってくるころには搾取されきってます」とあるので、誰かが誰かを搾取していると言う主張なのだと思う。今回のケースに限れば、飲店がコーヒー農家を搾取していると言う主張であろう。しかし、ここで言う“搾取”とは何であろうか? 2. 強制労働/奴隷労働は『搾取』 Wikipediaの見ると、他人の労働の成果を無償で

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  • 家賃に見る価格の下方硬直性

    デフレの問題は大きく二つあり、実質金利の高止まりと、価格の調整速度の低下だと考えられる。物価が下がっているのに後者が問題になるとは考えられない人もいるようだが、価格の調整が速い家電製品のような財がある一方で、賃金等の調整は遅いと思われている。そして意外に価格が下落しないモノを見つけた。家賃だ。 1986年はバブル前の円高不況で1987年ぐらいから地価や株価が上昇しはじめたのだが、1992年に土地バブルが弾けた後も2003年ぐらいまで家賃は上昇し続けている。土地は借家やアパートなどの主要な投入要素の一つだが、11年ぐらいラグがあるわけだ。そして地価は80年代の水準に下がったのに、家賃は高止まりを続けている。 教科書的なミクロ経済学の説明では、地価が下がって家賃が高止まりしているのであれば、土地を買収して大家を始める人が出てくるので、家賃が下がるか土地があがるかして、両者の価格推移は安定的にな

    家賃に見る価格の下方硬直性
  • 生活保護制度とベーシックインカムと負の所得税の違い

    『ベーシックインカムは「愚者の楽園」』『ベーカムは「愚者の楽園」追記』で橘玲氏が、産業革命勃興期に英国で実施されたスピーナムランド法の経験を元に、ベーシックインカムを否定している。しかし、批判は妥当とは言えない。 現在の生活保護制度の方がスピーナムランド法に近くなっており、ベーシックインカムは生活困窮者のインセンティブ・メカニズムにも考慮しているからだ。分かりづらい所もあるので、生活保護制度とベーシックインカム、そして負の所得税について違いをまとめてみた。 1. 生活保護制度とその問題点 スピーナムランド法は端的に言えば、所得が生活扶助額以下の困窮者に生活扶助額を与える、現在の日で行われている生活保護に近い制度だ。大雑把な例を図示する。 実線が手取り、破線が所得税や生活扶助費が無い状態を表す。実際の制度は、家族構成や居住地域資産の有無等で生活扶助を受けられる所得が変化し複雑だが、基的な

    生活保護制度とベーシックインカムと負の所得税の違い
  • ある社会学者の晩婚化への認識を検討する

    もっと素朴な論証もできる。つまり、高度成長期はみんなもっと貧乏だったが結婚や出産をしていたし、開発途上国でも結婚や出産が特殊な事例では決して無い事を考えると、男性の経済的状況を理由にするのは説得力が無い。 1.2. 女性の社会進出が晩婚化をもたらしているのか? 女性の社会進出に伴う機会費用の増加も、良く現実を説明しない。未婚女性の方が非正規雇用が多く、キャリアが無い彼女たちには結婚による機会費用がほとんど存在しない。しかし、酒井・樋口(2004)によると、女性のフリーターも結婚・出産年齢が高くなる。 筒井氏自身も「そもそも、女性は結婚する前の離職率も高い。なぜかと言うと職場の扱いが違うからです。結婚や出産を機に離職するというのが、よく言われることなのですが、じつは結婚前にどんどん女性は会社を辞めている」と指摘しているが、これは女性が結婚や出産で失う機会費用が低い事を意味している。 1.3.

    ある社会学者の晩婚化への認識を検討する
  • 統計学を勉強するときに知っておきたい7つのポイント

    マイクロソフト社が技術分野でもっと熱い専攻の一つとして分析/統計をあげている(Microsoft JobsBlog)。同社以外でも統計学は、今後最も有益なスキルの一つだと考えているようだ(NYT - For Today’s Graduate, Just One Word: Statistics)。しかし、データマイニングの話も一般化しつつあって学習ノウハウなども公開されているが、経験にあわない部分が多い。統計学を初めて勉強するときに知っておいた方が良い7つのポイントをあげてみた。 1. 学習機会やテキストは山のようにあるので利用する 確率・統計の日語テキストは山のようにあり、大学のコースワークを振り返っても、理文問わずにほとんどの学部で確率・統計はあったはずだ。大学院のコースワークでは英語の文献を好む傾向があるが、上級テキストでも日語のものも少なくない。また「マンガでわかる統計学」のよ

    統計学を勉強するときに知っておきたい7つのポイント
  • クルッグマンの英語が理解できない池田信夫

    ノーベル賞経済学者のクルッグマンがNew York TimesのコラムでModern Monetary Theory(以下、MMT)を批判しているのだが、それを経済学者を自称する池田信夫氏が「クルーグマン対リフレ派」で激しく誤解しているので、間違いを指摘しておきたい。 MMT派は現代では政府が貨幣の裏づけになっているので、幾ら財政赤字を出しても貨幣を発行してもインフレーションにはならないとし、拡張的な財政政策や通貨供給量の拡大を主張している。しかしクルッグマンは、流動性の罠にはまっている現在では拡張的財政政策と通貨供給量は支持できるものの、通常の経済ではハイパーインフレーションになるとMMT派の論理を批判している。なお大半のリフレ派は流動性の罠にある事を前提にリフレ政策を主張しており、MMT派とは異なる。 池田信夫氏は「クルーグマンは最近、毎日のようにリフレ派(MMT)を攻撃している」と延

    クルッグマンの英語が理解できない池田信夫
  • 児童虐待について知っておくべき10のこと

    成田浩子氏が、「虐待致死傷罪制定及び虐待防止社会に向けての請願」の署名活動を行っている。ネットだけではなく、街頭でも署名活動を行っているので、見かけたことがある人もいるであろう(産経ニュース)。虐待死が傷害致死罪だと量刑が軽いと言うのが主な主張なようだが、量刑を重くしたからといって虐待防止になるのかは不明確だ。児童虐待の要因を除外したり、児童虐待の初期段階で何か対策を取るのであれば、重大な児童虐待を防止する効果はあると思うのだが、罰則の強化で防げる何か根拠があるのだろうか。 この署名活動がかなり唐突な気がするので、まずは「社会福祉行政業務報告」、「児童福祉法28条事件の動向と事件処理の実情」、「児童虐待の実態II」の数字から、児童虐待の現状を10ほど把握した上で、成田氏の署名活動が効果的であるかを考察したい。 1. 児童虐待は年々増加傾向にある。 2000年と2008年で、通報件数(児童虐

    児童虐待について知っておくべき10のこと
  • AndroidがiPhoneに勝てない点

    AndroidiPhoneに構造的に勝つのが難しい点がある。その点と比較すると、タッチパネルのレスポンスなどのユーザビリティや、アプリケーションの数、ハードウェアの薄さや、バッテリー持続時間などは表面的な優劣でしかない。 iPhoneAndroidに対して持つ最大の長所は、アプリケーションの実行速度の速さとメモリ消費量の少なさだ。これは、iPhone(iOS)の開発言語であるObjective Cがネイティブ・コードを生成する特性に依存するため、もっと質的な違いとなる。 1. AndroidJavaの亜種を用いる Androidの開発言語は、大雑把に言うとJavaだ。Java SEのサブセットで作成されたバイト・コードを、Dalvik仮想マシン用のバイト・コードに変換して使う。やや変則的な構成になっているのは、SUNに支払うJavaのライセンス料を節約したかったとも、モバイル機器向

    AndroidがiPhoneに勝てない点
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