「夢水清志郎事件ノート」最終巻を語る前に、まずいっておきたいことがあります。どこでもいい、この作品にはなんらかの賞を与えるべきです。はやみねかおるはいまだに無冠です。児童文学界にも無冠の帝王と言っていい作家が何人も存在します。青い鳥文庫周辺を見渡せば、はやみねかおるをはじめ、石崎洋司や松原秀行、令丈ヒロ子らがそれにあたるでしょう。彼らは無冠であることをむしろ誇っていい。偉い人には評価されなくても、多くのファンが作品のおもしろさを正しく保証しているのですから。でも、それでもこの作品には賞を与えるべきです。なぜなら、このシリーズに賞を与えないと児童文学界にミステリを正しく評価する能力が欠如していることが露呈されてしまうからです。本来なら「機巧館」が出た時にどこかが賞を出しておくべきでした。はやみねかおるの代表作である「夢水清志郎事件ノート」が完結した今が児童文学界にとってラストチャンスかもしれ