東日本大震災で、被災地の東北地方沿岸部にある警察署に、多額の現金が拾得物として届けられていることが、捜査関係者への取材で分かった。岩手、宮城両県で数千万円に上るとみられるが、現金は持ち主の特定がほぼ不可能。被災者からは「持ち主に戻せないなら、せめて復興に役立ててほしい」との声が上がっている。◇ 岩手、宮城両県警によると、津波被害の大きかった沿岸部の警察署には、捜索活動などをする自衛隊や、一般の人から泥まみれの現金や金庫など1日数百点もの貴重品が届く。 東北地方の沿岸部は津波で多くの家屋が流失し、拾われた現金や金庫はどこから流れてきたか分からないのが実態。岩手、宮城両県警は犠牲となった人の物も多数含まれているとみている。 宮城県警によると、震災後、持ち主が特定され、返却された貴重品は1割にも満たない。県警幹部は「特に現金は、身元を示す財布に入っていたりしない限り、返すのは不可能」と指摘する。