浴室の壁に雄大な立山連峰を描いた東京都文京区本郷の老舗銭湯「菊水湯」が、今月いっぱいで閉店する。都内で珍しい絵柄のペンキ絵は客に好評で、富山県出身者には特に親しまれた。店の経営者は「ペンキ絵を立山連峰にしたことをきっかけに、お客さんとの会話が弾んだ」と振り返っている。 菊水湯は明治中期に創業したとされ、100年以上の歴史がある。近くに住んだ小説家、樋口一葉も生前通ったという。東京大学近くにあり、学生も大勢訪れた。 経営者は何度か代替わりし、現在は石川県出身の宮本靖彦さん(77)と、妻のひろ子さん(73)が約40年前から切り盛りする。定休日の金曜を除き、毎日午後3時半から翌日午前1時まで営業。来客の中心は高齢者だが、今も一日100人以上が汗を流しに来る。 ペンキ絵は雪化粧した立山連峰を富山湾越しに望んだデザイン。仕切りをまたぎ男湯からも女湯からも眺められる。富山の景観を都内でPRするた