「江戸の敵を長崎で討つ」「それ間違い。江戸の敵を長崎が討つ、が正しいの」「えっ、ウッソー」「疑うなら辞書で調べてみようか」―てな訳で調べてみたら2度びっくり。「長崎で」が主流になっているではないか▲広辞苑をはじめほとんどの辞書が「意外なところで、また筋違いのことで昔の恨みを晴らすこと」とある。江戸と長崎は非常に離れているところから「意外な場所、または別のことで以前の仕返しをすること」と書いたのもあった▲広辞苑だけは一説に「長崎が」を記述しているものの故事、ことわざ辞典を含めて「長崎で」を採用し、解釈までしている。これでは国中「長崎で」となってしまう。「長崎が」の由来を簡単に紹介するしかない▲文政年間、大阪職人の篭細工興行が江戸浅草で大評判となった。腹の虫の治まらない江戸職人が花篭細工で対抗したが完敗。そこに登場したのがギヤマン細工の灯篭、ビードロ細工の阿蘭陀船をひっさげた長崎職人▲江戸の人