作品全体としての点数は星3とする。普段あまり小説を読まない上SFは海外の有名所しか読んだことがなかった状態で日本のSFの名著として名高いWシリーズに触れた。1巻の完成度は高く、SFを多分に含んだミステリとして読めた。ウォーカロンという人工生命体をめぐる複数の視点を少しずつ紹介していくことで私達がおそらく将来直面するであろう倫理問題を考えさせるのは流石だと感じた。ウグイとのやりとりや最後の場面等ラノベ的なお決まりを含め一巻の満足度は高い。 一方ソフトウェア的な人工知能であるデボラが出現して以降は「人工知能はこう思うだろう」といった謎の推測を繰り返して話を進めていく。デボラが主人公へ味方し様々な困難や面倒を解決してくれるのは話の都合上非常に楽だろうが、緊張感は薄れ話の起承転結も毎巻似たような構成になり物語として面白みに欠ける。最強の使い魔を召喚するなろうと何が違うのか私にはわからない。 マガタ