バウハウスと論理実証主義 | 米田明 Bauhaus and Logical Positivism | Yoneda Akira 一九二六年一二月四日に催されたデッサウのバウハウス新校舎の落成式には、一五〇〇人以上の来賓が出席した。彼らは、主要な政治家、経済人、官僚たちに加え、内外から招かれた著名な建築家、芸術家、学者らであった[図1]。ハンネス・マイヤーは、そのなかのひとりとして初めてバウハウスを訪れる。かつての「ABC」グループでの同志であったマルト・シュタムに伴ってのことだった。マルト・シュタムは、すでにロッテルダムで《ファン・ネレ・タバコ工場》[図2]の設計に中心的人物として関わっており、グロピウスからもちかけられたバウハウスに新設される建築部門の常勤ポストへの招聘を断った手前、代わりとなる人物をグロピウスに紹介する心づもりがあった。グロピウスは、バウハウスに建築の工業規格化、もし