『忘れられた日本人』で知られる民俗学者・宮本常一とは何者だったのか。その民俗学の底流にある「思想」とは? 「宮本の民俗学は、私たちの生活が『大きな歴史』に絡みとられようとしている現在、見直されるべき重要な仕事」だという民俗学者の畑中章宏氏による『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』が2刷重版出来、話題となっている。 ※本記事は畑中章宏『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』から抜粋・編集したものです。 「残酷」という感情 1960年(昭和35)1月29日、『日本残酷物語』創刊を機に、美術家の岡本太郎、作家の深沢七郎、そして宮本常一の三人による座談会がおこなわれている。 この座談会のようすは、同年3月刊の雑誌『民話』第18号に、「残酷ということ——『日本残酷物語』を中心に」と題して掲載される。この座談会で口火を切ったのは、デビュー作『楢山節考』で時代の寵児となっていた深沢七
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