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ブックマーク / gendai.media (301)

  • 文明崩壊の後に訪れたのは、「暗黒時代」か「ルネサンス」か。「古代ギリシア」エーゲ文明の興亡がナゾすぎる!(学術文庫&選書メチエ編集部)

    「古代ギリシア」と聞いて、まず思い浮かぶのはアテネのアクロポリス、古代オリンピックとギリシア悲劇、ソクラテスやプラトンの哲学などだろう。しかしそれらは、紀元前5世紀頃から前4世紀末に最盛期を迎えた「古典期ギリシア」の文化だ。歴史上の「古代ギリシア」とは、2000年以上におよぶ長い期間の文明である。その間には、いくつもの文明が興亡を繰り返したのだが、今もその実像はわからないことだらけなのだ――。 「文字使用」も絶えるほどの「文明崩壊」 4月に刊行が始まった「地中海世界の歴史〈全8巻〉」(講談社選書メチエ)の第3巻『白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシアの文明』から、この海に栄えた文明のドラマを追ってみよう。 著者の村凌二氏(東京大学名誉教授)は、書冒頭でこう書き起こしている。 〈ローマ帝国の人々が「われらが海」と自負した地中海、とりわけその東部にあるエーゲ海は紺碧に彩られた人類の愛す

    文明崩壊の後に訪れたのは、「暗黒時代」か「ルネサンス」か。「古代ギリシア」エーゲ文明の興亡がナゾすぎる!(学術文庫&選書メチエ編集部)
    hharunaga
    hharunaga 2024/07/22
    ミュケナイ文明が滅んだ紀元前12世紀から数百年は文字史料に乏しく「暗黒時代」と呼ばれるが、ホメロスが叙事詩をまとめたのが紀元前8世紀頃で、「前8世紀ルネサンス」とも呼ばれるという。
  • 「美しい」って何だろう?ふだんなんとなく感じているけど深く考えたことのない「美」の正体(藤田正勝)

    明治維新以降、日の哲学者たちは悩み続けてきた。「言葉」や「身体」、「自然」、「社会・国家」とは何かを考え続けてきた。そんな先人たちの知的格闘の延長線上に、今日の私たちは立っている。『日哲学入門』では、日人が何を考えてきたのか、その質を紹介している。 ※記事は藤田正勝『日哲学入門』から抜粋、編集したものです。 「美しい」ってなんですか? 哲学はさまざまな問題を取りあげる。そのテーマをひとまとめにして「真善美」と言われることもある。どれも重要なテーマであるが、そのうちで私たちにとってもっとも身近なのは、やはりなんと言っても「美」であろう。真理とは何かという問題は、長年の研究なしにはすぐには答えられないし、また善の実現は容易ではなく、どこかかなたにあるものという印象が強い。それに対して、美的な感動というのは、どんな人でも経験する。美しく咲き誇る桜の花を前にすれば、万人誰しもその美しさ

    「美しい」って何だろう?ふだんなんとなく感じているけど深く考えたことのない「美」の正体(藤田正勝)
    hharunaga
    hharunaga 2024/06/15
    美学(英語ではaesthetics。もともとの意味は「感覚学」くらいのもの)を西周は「美妙学」「佳趣論」「善美学」などと訳したという。
  • 日本のトップ頭脳たちが受けた衝撃…「哲学」という言葉が誕生した「意外な背景」(藤田正勝)

    明治維新以降、日の哲学者たちは悩み続けてきた。「言葉」や「身体」、「自然」、「社会・国家」とは何かを考え続けてきた。そんな先人たちの知的格闘の延長線上に、今日の私たちは立っている。『日哲学入門』では、日人が何を考えてきたのか、その質を紹介している。 ※記事は藤田正勝『日哲学入門』から抜粋、編集したものです。 そもそも「哲学」ってなに? 書では「経験」や「自己」、「自然」、「美」などのテーマを立て、日の哲学がどのような思索を展開してきたのか、その特徴や意義について考え、魅力を明らかにしたいと考えている。講ではそれに先だって、明治の初めに哲学がどのように受けとめられ、どのような形で受容されていったのか、その苦闘の跡をたどってみたい。それはとりもなおさず、当時の人々──具体的には西周、福沢諭吉、中江兆民を取りあげる──が従来の世界観のどこに問題を見いだしたのか、新たに接した学問

    日本のトップ頭脳たちが受けた衝撃…「哲学」という言葉が誕生した「意外な背景」(藤田正勝)
    hharunaga
    hharunaga 2024/06/08
    西周が「(希)哲学」を使い始める前は、「理学」という訳語が有力だったという。そちらが定着していたら、今の「文系vs理系」みたいな奇妙な構図とは違っていたかも…。
  • 日本人はどこから来たのか…カオスな世界を理解するために生まれた「人類学の本質」( 奥野克巳)

    「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。 ※記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。 イギリス、アメリカ、フランスの違い いわゆる「人類学」と呼ばれるこの学問分野は、成立の背景の違いから、国や地域によって名称が少しずつ違っています。あるいは同じ名称が国によって別の意味で使われたりしているので、紛らわしいのです。 人類学(Anthropology)は、ギリシア語の「人間anthropos(アントロポス)」と「学logy」からなり、「人間についての研究」を意味します。イギリスでは、人類学は「自然人類学」、「先史考古学」、「社会人類学」の3つによって構成され

    日本人はどこから来たのか…カオスな世界を理解するために生まれた「人類学の本質」( 奥野克巳)
    hharunaga
    hharunaga 2024/06/06
    “アメリカでは、イギリスで社会人類学と呼ばれている分野を「文化人類学」と呼びます。…民族学とは自民族以外の民族(ethnos)を研究する学問で、民俗学は自民族の言語や社会生活を調査・研究する学問です”
  • 古代の日本人はなにを考えていたのか…この国の最古の歌集に隠された「知られざる秘密」(藤田正勝)

    明治維新以降、日の哲学者たちは悩み続けてきた。「言葉」や「身体」、「自然」、「社会・国家」とは何かを考え続けてきた。そんな先人たちの知的格闘の延長線上に、今日の私たちは立っている。『日哲学入門』では、日人が何を考えてきたのか、その質を紹介している。 ※記事は藤田正勝『日哲学入門』から抜粋、編集したものです。 人新世の今だからこそ 「自然」ということばを聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。山や川、草や木の花や実、それに集まってくる昆虫や鳥を思い浮かべる人も多いであろう。私たちはそれらに取り囲まれて生きている。自然は私たちにとって親しい存在である。 しかし、いま、その自然が脅威にさらされている。過剰な開発によって破壊されたり、有害な物質を含む大量の廃棄物によって環境が汚染されたりしている。あるいは温室効果ガスの排出により地球温暖化が進行して、異常気象が増加したり、生態系に大き

    古代の日本人はなにを考えていたのか…この国の最古の歌集に隠された「知られざる秘密」(藤田正勝)
    hharunaga
    hharunaga 2024/04/18
    「日本の自然界が…住民に無限の恩恵を授けると同時にまた不可抗な威力をもって彼らを支配する、その結果として彼らはこの自然に服従することによってその恩恵を充分に享楽することを学んで来た」(寺田寅彦)
  • 「源泉徴収はナチスの発明」というウソ(田野 大輔) @gendai_biz

    ナチスの政策のなかにも「良いもの」はあった。ネット上を中心にしばしばそんな主張を見かける。 しかし実はそうした主張の多くは少なからぬ事実誤認を含んでいたり、政策の全体を見ずに一部だけを切り取っていたりする――そうした巷間の「ナチス擁護論」の杜撰さと危うさを指摘した『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(小野寺拓也・田野大輔)がベストセラーとなっている。 「ナチスは良いこともした」という主張の根拠の一つとしてしばしば持ち出されるのが、「源泉徴収はナチスが発明した」という説だ。同書の著者の一人である甲南大学教授の田野大輔氏が、この説の虚実、そして、なぜこの説が広まったのかを検証する(文中敬称略)。 当に「ナチスの発明」か? 日の税制のことが話題になるとき、しばしば紹介される俗説がある。「源泉徴収はナチスの発明」――給料から税金を天引きする制度を作ったのはナチスだという説である。SNS

    「源泉徴収はナチスの発明」というウソ(田野 大輔) @gendai_biz
    hharunaga
    hharunaga 2024/02/11
    定説と違うことを言うために“話を「盛る」”人々の歴史が鮮やかに説明されているが、もう1つの理由として、大日本帝国も「良いこと」をした、と言いたいためにナチスを持ち出すという面もあるんでしょうね。
  • 謎だらけの「古代ローマの発明王・ヘロン」の定理が美しいほどに簡潔…「ピタゴラスをも凌駕する」その価値は「一般性」にあった(志村 史夫)

    あの時代になぜそんな技術が!? ピラミッドやストーンヘンジに兵馬俑、三内丸山遺跡や五重塔に隠された、現代人もびっくりの「驚異のウルトラテクノロジー」はなぜ、どのように可能だったのか? 現代のハイテクを知り尽くす実験物理学者・志村史夫さんによる、ブルーバックスを代表するロング&ベストセラー「現代科学で読み解く技術史ミステリー」シリーズの最新刊、『古代日の超技術〈新装改訂版〉』と『古代世界の超技術〈改訂新版〉』が同時刊行されました! それを記念して、残念ながら新刊には収録できなかったエピソードを短期集中連載でお届けします。第5回からの主人公は、生没年などが未詳なことから“神秘の発明王”の異名をとるヘロン。 なんと2000年も前に「エンジン」や「自動ドア」を発明していたという彼の数学上の大功績「ヘロンの公式」を紹介しましょう! “神秘の発明王”ヘロン 紀元前6世紀のピタゴラスにはじまり、デモク

    謎だらけの「古代ローマの発明王・ヘロン」の定理が美しいほどに簡潔…「ピタゴラスをも凌駕する」その価値は「一般性」にあった(志村 史夫)
    hharunaga
    hharunaga 2023/12/27
    「(三角形の面積を求める)ヘロンの公式はピタゴラスの定理(三平方の定理)ほど有名ではないが、直角三角形のように特殊な三角形ではなく、一般的な三角形に関するものである」
  • 私たちには「資本主義の道しかない」は本当なのか(酒井 隆史)

    でも大きな話題を読んだ『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』。「『ブルシット・ジョブ』という言葉は知っている」「は読んだことがある」という方も多いでしょう。 しかし、作者のデヴィッド・グレーバーがどのような人物だったのかを知っている人は、あまり多くないかもしれません。研究の傍ら、さまざまな社会運動に関わる続けた彼は、2020年、59歳の若さで亡くなりました。 『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』著者の酒井隆史さんが、グレーバーの功績を振り返ります。 社会運動に飛び込んだ半生 「もう一つの世界は可能だ」という言葉がある。1990年代後半からゼロ年代にかけて世界的に展開した「グローバル・ジャスティス運動」のスローガンである。 その時、世界では、巨大企業や金融、先進諸国の政府が結託して、途上国に膨大な負債を押しつけ、融資や返済の緩和の条件として、社会保

    私たちには「資本主義の道しかない」は本当なのか(酒井 隆史)
    hharunaga
    hharunaga 2023/12/24
    “かれ(デヴィッド・グレーバー)の教えてくれたもの…。だれも暴力をもって服従を強いられることなく、対等に、たがいを尊重して生きられる自由な世界、そんな「もう一つの世界は可能だ」ということ”
  • ユダヤ教・キリスト教・イスラム教との決定的な違いとは? 「不世出の語学の天才」が解明した仏教の「計り知れない奥深さ」。(学術文庫&選書メチエ編集部)

    約2500年前のインドに生まれた仏教が、アジアに生まれた他の無数の宗教とは異なり現在の世界に広がっているのは、なぜなのだろうか? 唯一神を信仰するユダヤ教・キリスト教・イスラム教との大きな違いとは? 講談社選書メチエの新刊『仏教の歴史 いかにして世界宗教となったか』(ジャン=ノエル・ロベール著/今枝由郎訳)は、多言語に通じた著者の視点で、「仏教の強さ」を明らかにしている。 コーランはアラビア語、カトリックはラテン語、では仏教は? 書の著者、ジャン=ノエル・ロベール氏は、仏教を中心とした日文化の研究で国際的に高く評価されるフランスの東洋学者で、2021年、第3回人間文化研究機構日研究国際賞を受賞している。 ロベール氏は、母語であるフランス語のほかに、中国語・日語・英語はもちろん、朝鮮語、サンスクリット語、チベット語、ラテン語、ギリシャ語…などに通じた「ポリグロット(多言語話者)」で、

    ユダヤ教・キリスト教・イスラム教との決定的な違いとは? 「不世出の語学の天才」が解明した仏教の「計り知れない奥深さ」。(学術文庫&選書メチエ編集部)
    hharunaga
    hharunaga 2023/11/13
    「仏教は開祖がその教えをある特定の言語に限定してはならないと規定した最初であり、ブッダは各々の民族の言葉で教えを伝承することを推奨した」(ジャン=ノエル・ロベール『仏教の歴史』)
  • 「無線接続」という表現では伝わらなかった…『攻殻機動隊』で生まれた「画期的な表現方法」(ヤングマガジン編集部) @gendai_biz

    単行や副読などで作品について説明することはあったが、士郎正宗がインタビューという形で『攻殻機動隊』について語ったことは、皆無に等しい。'95年の『GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊』公開時に「ヤングマガジン」誌面で押井守監督と対談をしているが、映画についての話がメインで、マンガのことは語られていない。ヤングマガジン増刊「赤BUTA」の記事も、大半がマンガ家の仕事についてのインタビューで最後にほんの少し作品に触れている程度だ。その後、フランスのGlénat社経由で依頼があったインタビューだが、表現と絵の描き方についての質疑応答なので、マンガの内容については触れられていない。 つまり士郎正宗がマンガ『攻殻機動隊』について詳しく語るのは、今回が初めてとなる。作品を描くことになったきっかけから、注目している最新技術まで、30年以上の時を経てグローバルサイトの立ち上げに伴い原作者

    「無線接続」という表現では伝わらなかった…『攻殻機動隊』で生まれた「画期的な表現方法」(ヤングマガジン編集部) @gendai_biz
    hharunaga
    hharunaga 2023/11/01
    「携帯電話もスマートフォンも持っていない時代で、…線で繋がっていれば目で見てわかるので、…(首の後ろの)頸椎に有線接続するという表現方法を採用しました」(士郎正宗)
  • カントとGoogleが「因果関係」の幻想を打ち壊した!(黒崎 政男)

    この酷暑の夏休み、何年ぶりかで日光中禅寺湖の華厳の滝を訪れた。あの滝を眼前にすると、まったく通常とは違う自然の凄さに驚きいつも崇高な感覚に満たされる。近くの土産物店の前を通ると、「藤村操『巌頭之感』絵はがきあります! 100円」と貼り紙がしてある。明治時代の哲学徒・藤村操〔ふじむらみさお〕がこの滝で自死した事件(1903年)の写真絵はがきだ。「まだ今でも売っているんだあ」とつい買ってしまったが、ここを訪れるたびに買ってしまっている気がする。 藤村は、投身する前に滝の落口の大樹を削り、次のように墨書した。 「厳頭之感 悠々たる哉〔かな〕天壤、遼々〔りょうりょう〕たる哉古今、五尺の小躯を以て此大をはからんとす。 ……萬有の眞相は唯一言にして悉す。曰く「不可解」。 (大きな空間や悠久の時間もこの150cmの身体で推し量ろうとする。すべての真理は一言でいえば「不可解(分からない)」だ。私はついに死

    カントとGoogleが「因果関係」の幻想を打ち壊した!(黒崎 政男)
    hharunaga
    hharunaga 2023/10/06
    「カントは時間・空間が客観的実在ではなく人間的主観的原理だ、としたように、因果関係さえ、同じ事なのだ、と主張」「ビックデータ的認識は、従来の因果関係を使った世界の捉え方とはまた別の知の形態」
  • じつは「個人事業主」以外にも影響がある…インボイス制度と「停滞する日本社会」の関係(伊藤 綾) @moneygendai

    報道の量・質を伴わず、国民の正確な理解が足りていないという声が多いなか、10月1日から開始するインボイス制度。 SNSでは同制度に対する怨嗟の声でたびたび関連ワードがトレンド入りしていたが、テレビのニュースでは黙殺状態が続き、反対派の主張が詳しく報じられる場は少なかったように思う。 ここでは関連ニュースを交えつつ、インボイス反対派の多く人たちの間で共通認識となっていると思われる主張を、記者会見やYouTube動画における有識者たちの発言を拝借して紹介。改めて“消費税のあり方”を考えてみたい。 【前編】『じつは「インボイス制度」を勘違いしている人が多い…導入直前に露呈した「消費税の正体」』に引き続き、消費税に関する「誤解」について解説する。 延滞税、年率は驚異の「14.6%」 「NHKへの公開質問状記者会見」の質疑応答では、税理士で元静岡大学教授の湖東京至氏が消費税に誤解が多い理由について、

    じつは「個人事業主」以外にも影響がある…インボイス制度と「停滞する日本社会」の関係(伊藤 綾) @moneygendai
    hharunaga
    hharunaga 2023/09/30
    「消費税は利益と非課税仕入の合計にかかりますが、この非課税仕入の代表的なものは人件費=給料と社会保険料です。…消費税が日本の賃金上昇の足枷なんです」(三橋貴明)
  • なぜハイデガーは「土着的なもの」にこだわったのか?……ベルリンの招聘を断り「田舎」にとどまりつづけた理由(轟 孝夫)

    ナチスの驥尾(きび)に付しての大学改革というハイデガーのもくろみは、わずか1年ほどで頓挫します。ナチスが彼の理想とは似ても似つかぬ集団であることに、ようやく気づくことになったのです。 とは言えこの挫折によっても、彼の思想の核心が揺らぐことはありませんでした。では、終生、彼がこだわり続けたものとは何だったのか? 講談社現代新書『ハイデガーの哲学』を上梓した轟孝夫氏が、ハイデガー「ナチス加担」問題の質に迫ります。(#3 /全3回) ナチズムとの隔たり ハイデガーの学長時代の活動は、学長就任演説「ドイツの大学の自己主張」に典型的に見られるように、基的にはナチズムを自分の「フォルク」の思想に基づいて再定義するという形を取っている。つまり彼はナチスに加担していたとされる時期でも、けっして人種主義的なナチズムをそのまま受け入れていたわけではなく、あくまでも、自分の哲学に立脚して、自分がそうあるべき

    なぜハイデガーは「土着的なもの」にこだわったのか?……ベルリンの招聘を断り「田舎」にとどまりつづけた理由(轟 孝夫)
    hharunaga
    hharunaga 2023/08/23
    “ハイデガーにとって「フォルク」とは、ある固有の「風土」によって規定された人びとの共同体を意味していた。…人びとがそれぞれの「労働」をとおして「風土」を気遣い、保全するという仕方で実現されると”
  • 「中流」とは何なのか?……「正社員」のもはや「まったく安泰ではない」現実(NHKスペシャル取材班)

    かつて「一億総中流社会」と言われた日。戦後、日の経済成長を支えたのは、企業で猛烈に働き、消費意欲も旺盛な中間層だった。 しかし、バブル崩壊から30年がたったいま、中間層は確実に貧しくなっている。 NHKが「労働政策研究・研修機構」と共同で行った調査で、全国の20~60代の男女を対象に「イメージする『中流の暮らし』」を聞いたところ、回答者のおよそ6割が「正社員」「持ち家」「自家用車」などを挙げた。 さらに、なんと56%の人が自分の生活は「中流より下」と答えた。 もはや「中流」の暮らしは当たり前ではなくなった。日の中間層はなぜこれほど貧しくなったのか。 そして、「中流」とは何なのか。 その背景にある構造的問題を探るために、「中流」の象徴である「正社員」の現実の暮らしぶりを取材した。 【記事は、NHKスペシャル取材班『中流危機』(8月23日発売)から抜粋・編集したものです。】 給与は激減

    「中流」とは何なのか?……「正社員」のもはや「まったく安泰ではない」現実(NHKスペシャル取材班)
    hharunaga
    hharunaga 2023/08/21
    “「イメージする『中流の暮らし』」を聞いたところ、回答者のおよそ6割が「正社員」「持ち家」「自家用車」などを挙げた。…56%の人が自分の生活は「中流より下」と答えた”
  • 軍隊と「事務」の奇妙な関係。海軍の軍備、食料調達を支える“庶務主任”が見た戦争(阿部 公彦)

    軍隊と事務とは、ねじれた関係が目に付く領域だ。海軍経理学校出身の父をもつ東大文学部教授の阿部公彦氏が、私家版として残された貴重な戦中の記録を元に、戦争のある側面をひもとく。新刊エッセイ『事務に踊る人々』(9月21日発売予定)に収録される「あとがき」から、先行公開! 家の庭の大きな穴 私の実家の庭には、直径七メートルくらいの大きな穴があった。縁は分厚くコンクリートで固められ、壁面には中に降りていくためのはしご段も設置されていた。水が湧くわけでもなかったが、子供たちはこの穴を「井戸」と呼んでいた。 この地域は行政区画としては横浜市だが、すぐそこは藤沢市という西端にあって、少なくとも私が小学生の頃は農地も多く、ベッドタウンというよりは住宅や団地や緑地が無秩序に隣接する丘陵地帯で、そこを古い細い街道が縫うように抜けていくのだった。 実家の庭は周囲に植え込みをめぐらせ、芝を張ったスペースは小学生がボ

    軍隊と「事務」の奇妙な関係。海軍の軍備、食料調達を支える“庶務主任”が見た戦争(阿部 公彦)
    hharunaga
    hharunaga 2023/08/16
    「海軍経理学校出身というのは、父によれば気恥ずかしいことだった。…海軍兵学校は身体検査で不合格になった。経理学校は…、近眼検査は緩かったという」
  • 「日本とは」一体なんだろう…全国すみずみまで歩いて見えてきた「日本人の本当の姿」(畑中 章宏)

    『忘れられた日人』で知られる民俗学者・宮常一とは何者だったのか。その民俗学の底流にある「思想」とは? 「宮の民俗学は、私たちの生活が『大きな歴史』に絡みとられようとしている現在、見直されるべき重要な仕事」だという民俗学者の畑中章宏氏による『今を生きる思想 宮常一 歴史は庶民がつくる』が3刷となり、話題となっている。 ※記事は畑中章宏『今を生きる思想 宮常一 歴史は庶民がつくる』から抜粋・編集したものです。 「心」の民俗学と「もの」の民俗学 人文科学の諸領域は「私たちはどこから来たのか」「私たちはなにものか」「私たちはどこへ行くのか」という命題を追究するものだと私は理解している。歴史学も社会学も、人類学も民俗学も、究極の目的は、こうした命題を明らかにしていくことに間違いないだろう。 またそれは、人文科学にとどまらず、社会科学でも、自然科学でも目的とされていることなのではないか。そ

    「日本とは」一体なんだろう…全国すみずみまで歩いて見えてきた「日本人の本当の姿」(畑中 章宏)
    hharunaga
    hharunaga 2023/08/09
    “「私たち」の起原(どこから)、定義(なにもの)、未来(どこへ)を追究・探求する際、柳田〔国男〕は「心」を手がかりにし、…対して宮本常一…は「もの」を民俗学の入り口にした”
  • 源頼朝は「月食」を恐れていた?紫式部は「台風」を何と呼んでいた?(沼咲 なぎ)

    私たちの生活の中で当たり前にある「大気現象」。 台風や線状降水帯など被害をもたらす場合もあれば、虹や日月のようにレアな現象として楽しまれる場合もあります。 現代では、これらの仕組みの解明が進み、名のある現象として捉えられていますが、昔はどうだったのでしょうか。 今回は、源頼朝や紫式部が生きていた時代、「月」や「虹」「台風」がどう捉えられていたかを解説します。

    源頼朝は「月食」を恐れていた?紫式部は「台風」を何と呼んでいた?(沼咲 なぎ)
    hharunaga
    hharunaga 2023/08/02
    “「台風」という言葉が統一して使われるようになったのは、明治時代末からです。…(それ以前は)明確にはなかったようです。ただ、近い意味で使われていた言葉が「野分」です”
  • 「老人を山に捨てる」ことは「残酷」か… 「残酷という感情」から見えてくる「日本人の姿」(畑中 章宏)

    『忘れられた日人』で知られる民俗学者・宮常一とは何者だったのか。その民俗学の底流にある「思想」とは? 「宮の民俗学は、私たちの生活が『大きな歴史』に絡みとられようとしている現在、見直されるべき重要な仕事」だという民俗学者の畑中章宏氏による『今を生きる思想 宮常一 歴史は庶民がつくる』が2刷重版出来、話題となっている。 ※記事は畑中章宏『今を生きる思想 宮常一 歴史は庶民がつくる』から抜粋・編集したものです。 「残酷」という感情 1960年(昭和35)1月29日、『日残酷物語』創刊を機に、美術家の岡太郎、作家の深沢七郎、そして宮常一の三人による座談会がおこなわれている。 この座談会のようすは、同年3月刊の雑誌『民話』第18号に、「残酷ということ——『日残酷物語』を中心に」と題して掲載される。この座談会で口火を切ったのは、デビュー作『楢山節考』で時代の寵児となっていた深沢七

    「老人を山に捨てる」ことは「残酷」か… 「残酷という感情」から見えてくる「日本人の姿」(畑中 章宏)
    hharunaga
    hharunaga 2023/07/24
    宮本常一によると、東北地方で人が死んだりした時のアイサツ「残酷でござんした」は、「おきのどくでございました」と同じような意味だったという。へぇー。
  • 宮田登の秘蔵ノートを公開 晩年の弟子が語る、民俗学者の知られざる人生(島村 恭則)

    今月は、20世紀後半を代表する民俗学者、宮田登(1936-2000)の著作が2冊も文庫で出された(『弥勒』講談社学術文庫、『霊魂の民俗学』ちくま学芸文庫)。 私は、大学院時代、晩年の弟子の一人として宮田に民俗学を仕込まれた経験を持つ。宮田登という民俗学者は、どのように生まれ、どのように民俗学を生きたのか。人から直接聞いた話も紹介しつつ、解説してみよう。

    宮田登の秘蔵ノートを公開 晩年の弟子が語る、民俗学者の知られざる人生(島村 恭則)
    hharunaga
    hharunaga 2023/07/21
    「宮田民俗学の特徴は、なんといっても、そのスケールの大きさである。…宮田は、小さな材料の中に大きな論点を見いだすことが得意な学者だった」
  • 柳田國男vs.井上円了 妖怪の擁護/撲滅をめぐる仁義なき戦い!(菊地 章太)

    「僕は井上円了さんなどに対しては徹頭徹尾反対の意を表せざるを得ない」――『遠野物語』を著した柳田國男は、そう言って妖怪撲滅に邁進する円了のスタンスを徹底的に批判します。対する円了は『おばけの正体』を上梓して……。日民俗学の黎明に刻まれた、妖怪をめぐる仁義なき戦いをご覧あれ! (前編「妖怪博士と呼ばれた哲学者 彼が妖怪の撲滅に命を懸けた理由とは?」はこちらから) 「迷信」か「民間信仰」か 妖怪など迷信にすぎない。それはそうだとしても、私たちは長いあいだ妖怪がいると信じてきた。これはまぎれもない事実である。 ありえないものを信じつづけてきたというその事実のなかに、日人のものの考え方や感じ方を理解するための大事な手がかりがひそんでいる。そうした視点から、妖怪の研究に真正面から取り組んだのが柳田國男である。 日民俗学を開拓した柳田は、妖怪に対する円了の姿勢を批判した。 円了は妖怪の言い伝えの

    柳田國男vs.井上円了 妖怪の擁護/撲滅をめぐる仁義なき戦い!(菊地 章太)
    hharunaga
    hharunaga 2023/07/14
    “(「妖怪学」の井上)円了の姿勢に反対するという意識が、この書物(『遠野物語』)の出発点にあったのだ。ここから民俗学という巨大な学問が胎動していく”