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  • ちょっと浮いている「TARI TARI」 - subculic

    アニメーションP.A.WORKS新作の『TARI TARI』は不思議な感触を覚えるアニメだ。青春の尖ったところを抽出するのかと思えば、友情へと針が振れたり、なんだかんだと危機を乗り越えてみたり。夏の天気のように表情が変わっていく。この先どんな展開が待っているのか読めないし、思いがけない方へ向くのかもしれない。一方で、キャラクターの配置と設定は凝っていそうな気配を匂わせる。坂井和奏は音楽科から普通科へ移ったらしく、まだすこし温度差がある。いつも元気な宮来夏、彼女は声楽部の爆弾娘で、去年やらかしてしまったらしい。来夏と仲の良い沖田紗羽も、私服が変わっていると、たったひとりのバドミントン部員・田中大智から言われていた。帰国子女のウィーンこと前田敦博は変な日知識を身につけている。主要キャラクターの全員に「ちょっと浮いている」部分があるという共通した設定。「ちょっと浮いている」ところなんて、誰に

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    hidamalar 2012/07/15
  • 「咲-Saki- 阿知賀編」最終回に唸った話 - subculic

    アニメーション別れることはよくあることで、私は慣れてるはずだったんだ。今まで自分で別れを決めたことはなかったけど、前に向かうために。いったんお別れ!帰ってこなくても、私は待ってる!とどのつまり『阿知賀編』は「別れと出逢い」に決着し、繰り返すという『咲-Saki-』の上澄みを掬うべくして掬った作品だったのだなあと思い知らされた。玄さんの決意が込められたこの台詞で、色々と氷解するものがあった。宮永姉妹も昔は仲が良かったのに、咲は照から一方的に疎遠を告げられ、インターハイに出場してまで追いかけている。原村和に至っては、奈良から長野へと引越し、また何処かへ行くのだと父親から話されていた。転校の連続に機械的に従うしかなかった和が咲と出逢って、転校したくないと突っぱねる。デジタル打ちの権化である和が機械的な別れはもう嫌だ、と。松実玄は待つ側だった。待ち方にも個性がある。悪待ちで一度きりのチャンスに賭け

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    hidamalar 2012/07/03
    tatsu2さん、すばらです。すばらっ!な文章
  • 「咲-Saki-」小規模なプロ描写と予兆 - subculic

    アニメーション咲-Saki-(10) (ヤングガンガンコミックス)作者: 小林立出版社/メーカー: スクウェア・エニックス発売日: 2012/06/25メディア: コミック購入: 7人 クリック: 175回この商品を含むブログ (25件) を見る待ちわびていた最新単行を読了。初登場はあっさりしたものでも、試合途中に語られていく回想がそのままキャラクターの背景となり、訴えかけるスタイルは『咲-Saki-』の十八番ですね。登場人物全員がカン材を持っていて、“嶺上開花”させるタイミングを待っているよう。ところで、アニメ『阿知賀編』も終盤を迎えているのですが、個性的なインターハイ出場選手の面々をらうほど強烈なキャラクターを持つ人物が現れている。三尋木咏(みひろぎ うた)扇子に和服という装いをはじめ、「わかんねー」「しらんし」という特徴的な口調、某憂な作品に登場した鶴の方を連想させる中の人。

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    hidamalar 2012/07/01
    布石…なのだろうか…?それにしてもよく見ていると感心する
  • 2011年の近未来――2012年の「ドラミちゃん ミニドラSOS!!!」 - subculic

    アニメーション2011年が舞台のドラえもん――1989年公開の『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』。劇場で初めて観たとき、2011年はなんて未来の世界なのだろうと思った。はるか先の出来事に想像も叶わなかった。「今度の日曜日、ドラえもんの映画に行こうか」親にそう言われることが嬉しかった。入場時に貰えるドラえもんの形をしたチョロQを大切にしていた。お目当てはもちろん、ドラえもんなのだけれど、同時上映していた『エスパー魔美』や『チンプイ』にも夢中になっていた。「まだ終わりじゃない」と言われているような感覚に、もう一度テンションが上がったことをよく覚えている。最初は「ドラえもんのおまけ映画」だと思っていたのに、いつしかもうひとつ楽しみが残っていると思うようになった。中でも『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』は珍しくビデオグラムを買ってもらった作品で、まだ観ていない小さな親戚の子たちと、家族と、

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    hidamalar 2012/06/19
    さすがたつさん。いい文章だ/そういや産まれる前に出来てる作品だ、これ。ミニドラさんと呼ばなければ
  • アニメとカバン―― あなたのカバンに仕掛けはありますか? - subculic

    アニメーションカバンを新調した小話。長年愛用してきた通勤用のカバンに剥げが目立ちようになり、よくみるとくたびれていた。そろそろ買い替えの時期かと思い、カバンにターゲットを絞った人間観察ならぬカバン観察で流行の最前線を追った。少し注目してやれば、街は実に豊富な種類のカバンで溢れている。通勤のお供であるビジネスバッグひとつ取ってみても、学生カバン風の物あり、ブリーフケース型、トートバッグ型と様々だ。細身のストライプスーツをサラッと着こなし、クラシックな二手のビジネスバッグを片手に颯爽と歩くサラリーマンの姿、パンパンに膨れ上がったショルダーバッグを肩にかけ、朝から疲れきったベテランサラリーマン。その横にはファンシーなアクセサリーを沢山つけたスクールバッグ膝に、目をつぶった女子高生。そうしたカバン達をみて、性格や立場を想像する“遊び”も一興というもので。宮部みゆき著『長い長い殺人』は財布視点で登

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    hidamalar 2012/06/07
    相変わらず文章がきれい。はじまりの文章なんだよこれ
  • ClariSの魅力って何だろう - subculic

    雑記BIRTHDAY(初回生産限定盤)アーティスト: ClariS出版社/メーカー: SME発売日: 2012/04/11メディア: CD購入: 1人 クリック: 580回この商品を含むブログ (14件) を見るメモ程度に。先日、かのラジオDJ・小林克也が番組内でClariSについて触れていた。アルバムチャートに沿ってコメントする短い内容だったが、「アマチュアっぽい、不思議な魅力がある」と仰っていた。ClariSの「アマチュアっぽさ」は元々のニコニコ動画時代のコメントで度々議論されていたことであり、何を今更と思うかもしれないが、公の放送に乗ったのは珍しい出来事。最初期に投稿された「歌ってみた」から随分洗練されてきているが、それでもまだ、聴く人が聴けばアマチュアっぽさも残っているのだろう。ただ、アマチュアらしさは褒め言葉というには皮肉めいている。加算された「不思議な魅力」がClariSをチャ

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    hidamalar 2012/04/21
    めだかボックスの話しの中に「もし、完璧な音楽があったとして、果たしてそれに感動するのだろうか」ってのがあって、そういう話に通じるのかなと
  • 「魔法少女まどか☆マギカ」の演出ガイド〜新房昭之の語った「シャフ度」 - subculic

    アニメーション4月5日より東京MXで再放送が始まるらしく、機会を逃していた『魔法少女まどか☆マギカ』のエントリーを書いておきます。魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story作者: ニュータイプ編集部,MagicaQuartet出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/12/10メディア: 単行購入: 4人 クリック: 50回この商品を含むブログ (21件) を見る関連書籍はたくさん出版されていますが、「魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story」は全話シナリオ収録、シナリオ0稿、絵コンテ解説、虚淵玄&新房昭之インタビューなどファン必携の書籍。注目記事ばかりの中、新房監督が「シャフ度」について語っている、非常に貴重なパートがある。来、人間の立ち姿って、真っ直ぐではないんですよ。左右どちらかの足に重心が傾くもので。

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    hidamalar 2012/04/02
    写真撮る人なら分かると思うが、人物を真っ直ぐに入れると活き活きしないことがある。傾けて人物を入れると、なぜか人らしく活き活きとし始める。そういうことに繋がる話かなと
  • 「灼眼のシャナF」最終回へ拍手 - subculic

    アニメーション「終わりよければすべてよし」という言葉がとてもよく似合う、素晴らしい最終回だった。アニメ『灼眼のシャナ』が結末に至るまで、7年に渡る変遷については、関連:原作付きアニメの難しさ〜「灼眼のシャナ」「いちばんうしろの大魔王」渡部高志監督の場合上記エントリーで書いたのですが、実際に視聴してみるとこみ上げるものがあった。新世界へと飛び立つ戦友たちを見送った後の壮大な痴話喧嘩、悠二とシャナの行く末。第一期OPの「緋色の空」が挿入歌で流れるというアドレナリン演出まで使用され、大盛り上がりだ。多少ウェットな気分に浸りながら、いくつか場面ピックアップをする形で最終回を振り返ってみたい。今の貴女にこそ……この言葉は、相応しい天下無敵の幸運を、「炎髪灼眼の討ち手」 ――シャナやはり、この場面は欠かせない。新世界ザナドウへ向かうヴィルヘルミナが「シャナ」と最初にして最後の呼びかけを行う。「天下無敵

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    hidamalar 2012/03/27
    シャナ見てないけど、よく最後までやりきったと思う。7年間やり通したのはすごいよね
  • 青春(軟派)アニメとしての「Another」 - subculic

    アニメーション『Another』がとんでもない事態になっている。原作既読者をも唖然とさせる狂気の集団心理。「死者を殺せ」の号令の元、クラスメイトで殺し合うバトルロワイヤルに発展。ホラーとミステリの融合の果てに、アクロバティックなスプラッターホラーへと変貌を遂げ、予測不可能な死の匂いが充満している。ひとたび扉を開けば、バックドラフトの如く噴き出す殺戮の嵐。……とまあ、非常に血生臭い話の最中、一つちがう呼吸を入れてみたい。『Another』は超常現象による死に振り回される中学生の悲劇と言える一方、青春模様をつぶさに描いた作品でもある。主人公の榊原恒一。彼は病弱で繊細な外見とは裏腹に、行動力溢れるアクティブな男だ。見崎鳴との出会い。不吉な雰囲気の中、夜見北中学の人間かと訊き、名前も教えてもらう。人形を片手に持つ、眼帯の少女。そうそう声を掛けられるものではない。自分が通うことになる中学の人間という

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    hidamalar 2012/03/27
    ああ、全くこのとおりだなぁ。この見方をしたほうがAnotherは圧倒的におもしろいのが残念なところ。萌えアニメ、青春群像劇としてのAnotherは非常におもしろい
  • 「氷菓」アニメ化に際して――北村薫作品のキャラクターを描くべっかんこう絵を見て - subculic

    アニメーション来月度から京都アニメーション制作のアニメ、米澤穂信原作『氷菓』古典部シリーズが放送される。古典部シリーズは“日常ミステリ”に属される作品だが、今回のアニメ化に際して、夢想していたことのひとつが現実になったと、そう思っていたりします。順を追って話すと、元々北村薫や加納朋子の人の死なないミステリ、日常の謎とか日常ミステリと呼ばれる作品を好んで読んでいたのですが、オタク気質のなせる業か、「こういった一般文芸の小説をアニメの原作に使えないのかな」と考えていた時期があった。実写映画やドラマの原作には度々使われるのに、アニメには向いていないのだろうか。剣も魔法も、ロボットも出てこない。大きな事件で世界を揺るがすわけでもない。ターゲットが違うのだろう、そう自分で納得して収めていたわけです。ところがある日、まさに電流走るという表現がぴったりな絵を見てしまった。アダルトゲームメーカー・オーガス

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    hidamalar 2012/03/09
    期待が高まった感じ
  • 「WHITE ALBUM2」冬馬かずさルートエンディングの解釈 - subculic

    美少女ゲーム『WHITE ALBUM2』かずさルート、ラストについて。当然ながら、物語の核心部分に触れています。プレイ後推奨。 最終章「coda」に入ってから、冬馬かずさには【normal】【true】2種類のエンディングが存在します。とりわけ後者のエンディングに突入する流れ、エンドロール前後の展開には息を呑むほかなく、思考が追い付かなくなりそうなほど目まぐるしく状況が変化する。すこし遡ったところから整理してみましょう。■小木曽雪菜の精神状態、肉体の安否これが最も重要で【かずさtrue】の解釈幅そのものを定義する部分です。終盤、かずさと雪菜が喫茶店で対峙した際、雪菜の精神はどのような状態にあっただろうか。春希がかずさを選んだことを告白したショックの影響か、味覚が狂ってしまっていた。味覚がおかしくなっているということは、少なからず味覚以外の感覚機能にも変調をきたしている恐れがあった。情緒不安

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    hidamalar 2012/02/25
    理解度が高すぎる。素晴らしい解釈だと言わざるを得ない。気付かないところに気づかせてくれて、ありがとうございました。私にとって、とても素晴らしい文章でした