買ってきて帰りの電車の中で読み終わった。 話の導入が強引でなんだか前年と同じ展開が繰り返され、長い長い序章という微妙な一冊に……。短編で補完するといっていたが、前年とほとんど同じ内容を短編化されても意味がない。達也くんというのはあまりにも能力が高過ぎるのはいいとしても感情移入のフックになる「弱さ」の描写がほとんどないキャラクタである。立ち位置的には「既存の制度から正当に評価され得ない才能」としてのキャラクタではあるものの、既存の制度に正当に評価され得ない部分はほとんど霞んでしまってみえない。二部になって立場的なところも、周囲の評価も、マイナス面では掻き消えてしまった。 その点についていえば、初期コンセプトが崩れ始めている。そしてピンチの演出方向性がずっと変わらない。国家レベルの陰謀も、街を巻き込んだ戦争も、既に1年目で経験済みとなった今、次なる方向性は基本的に「もっとすごい陰謀を進行させる