NIRAから、星=カシャップによる「何が日本の経済成長を止めたのか?」と題する研究報告書を送っていただいた。要約版は日経新聞にも出たので読んだ人も多いだろうが、もとの論文は現在の日本経済の問題点を多くの実証データで分析しているので、政治家や官僚のみなさんにも読んでほしい。 この報告書のポイントは、日本の成長率がなぜこんなに急に落ちたのかということだ。日本経済が成熟したとか労働人口が減少するとかいう問題は、たしかに成長を減速させる要因ではあるが、上の図のように英米などは一人あたりGDPが増えても成長率はそれほど大きく減少していないのに対して、日本は90年代以降、成長率が急激に落ち込んだ。その原因として、彼らは次の3つの要因を指摘する: 90年代の不良債権処理の失敗:バブル崩壊によって実質的に経営の破綻したゾンビ企業を銀行が追い貸しによって延命し、政府がそれを不適切な銀行監督政策で支援した結果