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ブックマーク / natrom.hatenablog.com (14)

  • クリニックで行われた臍帯血投与に意味がない理由 - NATROMのブログ

    無届けで臍帯血(さいたいけつ)の投与を行ったとして、医師を含む6人が逮捕されるというニュースがあった。 ■さい帯血無届け投与、販売業者や医師ら6人逮捕 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) がんの治療や美容目的で臍帯血の投与が行われていたという。該当するクリニックで行われていた臍帯血の投与は、医学的には意味がない。意味がないというか、意味がわからない。よくある細胞免疫療法は、少なくとも理論上は効くかもしれないと思えるようなものであるが、臍帯血については逮捕された医師がいったい何を期待していたのか見当がつかない。ぜんぜんわからずに雰囲気で臍帯血投与をやっていたとしか思えない。 臍帯血移植は標準医療である。大きなくくりでは、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と同じく、造血幹細胞移植の一種である。たとえば、血液系の悪性腫瘍(がん)に対して臍帯血移植が行われている。しかし、そのメカニズム

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  • 内閣府チームによる研究開発プログラムの一つがニセ科学だった - NATROMのブログ

    内閣府チームによる研究開発プログラムにおいて科学的手法に問題があったことが日経済新聞のサイトに掲載された(日経産業新聞4月12日付)。 ■内閣府チーム、仮説段階の研究を表彰  :日経済新聞 「このコンテストから新しい企業の研究の種を育てたい」。ImPACTの山川義徳プログラムマネージャー(PM)は2月、都内のシンポジウムで力を込めた。壇上に上がった新田ゼラチンや日アロマ環境協会などの代表者に賞状を送り成果をたたえた。 コンテストの狙いは脳の健康に効果のありそうなべ物や生活習慣などを見つけることだ。企業などからアイデアを募り、山川PMらが開発した脳活動の指標をもとに、アイデアを試した時の脳の変化を測る。脳の健康に効果のありそうなものを表彰するという内容だ。今回が2回目でコラーゲンペプチドの摂取、ラベンダーのアロマハンドマッサージが表彰された。 山川PMらは1月には、製菓大手の明治と高

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  • 福島県の甲状腺がん検診の2巡目の数字から言えることと言えないこと - NATROMの日記

    福島県の甲状腺がん検診において、2巡目で50人を超えるがんあるいは疑い例が見つかった。これらの例は1巡目(先行調査)ではがんは指摘されていない。「たったの2年間で50人以上もの新たながんが発症しているのであるから明らかに被曝による多発である」という主張がなされているが、そうは言えない。 たとえば、津田敏秀氏は、2巡目のがん検診を受けた236595人中がんの発症が51人(216人/100万人)を、全国平均発症率から推定した有病割合5人/100万人×2年=10人/100万人と比較して、22倍の多発だと主張している*1。過剰診断がゼロであるならば、この計算は正しい。津田氏の主張をまとめると「過剰診断がゼロだと仮定すると甲状腺がんは多発している」になるが、そんなことは計算なんてしなくても自明である。過剰診断がどれぐらいの割合なのか不明なので苦労しているのだ。 仮に、検診で発見可能な甲状腺がんのうち

    福島県の甲状腺がん検診の2巡目の数字から言えることと言えないこと - NATROMの日記
  • 新生児へのビタミンK投与をデメリットとみなす「日本おまたぢから協会」代表・立花杏衣加氏 - NATROMのブログ

    2009年に、山口県で、ビタミンKを投与されなかった新生児が硬膜下血腫により死亡した事件がありました。ビタミンKは血液を固める作用のある因子の合成に必要で、ビタミンKが不足すると出血しやすくなります。新生児はとくにビタミンKが不足しやすく、ビタミンKが与えられない母乳育児の新生児の約2000人に1人がビタミンK欠乏性出血症を発症していました。先進国ではほぼ全ての新生児に出血予防のため、ビタミンKが与えられます。日ではシロップ(ケイツーシロップ)として経口投与されます。 2009年の山口県の事件においては、助産師を相手取り、死亡した新生児の母親が損害賠償請求訴訟を起こしました。訴状によれば、助産師は母子手帳にビタミンKシロップを投与したという嘘の記載を行い、その代わりにホメオパシーのレメディ(薬理学的にはただの砂糖玉)を与えていました。助産師が所属していた「ホメオパシー医学協会」は、それま

    新生児へのビタミンK投与をデメリットとみなす「日本おまたぢから協会」代表・立花杏衣加氏 - NATROMのブログ
  • 医療ネグレクトの定義 - NATROMのブログ

    ホメオパシーをはじめとした代替医療の問題として、子供が必要な医療を受けられないことがある点が挙げられる。もちろん、多くの場合、代替医療を利用している親も、子の病状が重篤になれば医療機関に受診させ標準医療による治療を受けるだろう。しかし、現代医学を否定するタイプの代替医療に親がはまっている場合には、被害が生じる危険は高まる。日でもホメオパシーに傾倒した親による子の医療拒否の事例が報道された。 ■asahi.com(朝日新聞社):代替療法ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常医療拒む - アピタル(医療・健康) さいたま市では昨年5月、生後6カ月の男児が体重5千グラム前後の低体重のまま死亡した。両親は助産師の勧めでホメオパシーに傾倒。市によると、病院での男児のアトピー性皮膚炎の治療や予防接種も拒否していたという。 報道が事実であるとしたら、このケースは、虐待の一種である医療ネグレクトとみなされ

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  • WHOは抗がん剤治療を含めた三大療法を勧めている - NATROMのブログ

    ネットでは間違った医学情報がたくさん流れています。その中の一つに「WHOが抗がん剤の使用をやめるようにいいだした」というものがあります。実際には、WHOはそんなことは言い出していません。WHOのウェブサイトにアクセスすれば一目瞭然です。 がん治療についてWHOが言っていること WHOはさまざまな医学情報を提供しています。たとえば、一般的ながん(Cancer)についてのページを引用してみましょう。がんに対する治療として、外科手術、放射線治療、抗がん剤治療(化学療法)に効果があることをWHOは認めています。引用者による意訳と、抗がん剤治療の部分に強調をつけました。 ■WHO | Cancer Cancer is the uncontrolled growth and spread of cells. It can affect almost any part of the body. The

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  • 「過剰診断」とは何か - NATROMのブログ

    早期発見・早期治療が常に良いとは限らない 癌は早期発見・早期治療が大事だと言われているが、いつでもそうだとは限らない。他のあらゆる医療行為と同じく早期発見・早期治療にはメリットと同時にデメリットがあり、そのバランスを考える必要がある。早期発見・早期治療のデメリットの一つが、過剰診断である。ここでは、過剰診断とは「治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断すること」と定義する*1。癌を早期発見しようとすると、治療せず放置しても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない癌を診断してしまう恐れがある。 癌を放置しておいても自然に治癒することはなく、局所浸潤したり転移したりして治りにくくなると一般に思われているためか、癌の過剰診断について理解が得られにくいことがあるようだ。まず最初に、過剰診断の典型的な事例を考えることが理解の助けになるだろう。前立腺癌の死亡率と比較して

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  • 近藤誠氏は対談を持ちかける前に論文を書くべきだ - NATROMのブログ

    産経ニュースに、近藤誠氏の子宮頸癌についての週刊誌記事、およびその記事に対する産婦人科医たちの反論についての記事が掲載された。 ■【日の議論】「病院は金のためなら平気で子宮を奪う」異端医師・近藤誠氏の週刊誌記事に「産科婦人科学会」怒り心頭(1/4ページ) - 産経ニュース 産経ニュースで言及された産婦人科医たちの反論はウェブ上でも読めるため、リンクしておく。 ■大阪大学医学部産婦人科 |患者様へのご案内 ■週刊誌がひどい|宋美玄オフィシャルブログ「〜オンナの健康ラボ〜」Powered by Ameba エントリーは、近藤誠氏の子宮頸癌に関する主張が誤っていることを理解している読者が対象である。詳細は上記リンク先を参照していただきたい。ご質問がある方はコメント欄で質問していただけたら回答する用意がある。 エントリーの趣旨は、間違った主張に対する対応策についてである。産経ニュースによれば

    近藤誠氏は対談を持ちかける前に論文を書くべきだ - NATROMのブログ
    hidex7777
    hidex7777 2015/01/01
    チャルディーニの一貫性の原理で、論理的に論駁されることを理解しそうになると手遅れになる前に購入してしまう消費者心理が説明されてた。
  • 海水を点滴したというルネ・カントン氏について調べてみた - NATROMのブログ

    はてなブックマーク経由で、■「ただの海水で、病気が治っては儲からない」のでウィキペディアから消えている人物:ルネ.カントン|人生は強く,たのしく、しあわせに☆ ネオヒルズというよりも,ネオ日人。というブログを知った。このブログによれば、ルネ・カントン(Rene Quinton)という人物は、「1907年、初めてのクリニックをオープンしてから、血液の濃度まで薄めた海水を病人に輸血し、1910年までにフランス国内で約70ものクリニックを開け、50万人以上の命を救った」のだそうである。「ただの海水で、病気が治っては儲からない」ため「ペニシリンや抗生物質が売られ始めてから、彼は歴史から消されかけた」とのこと。なお、「ウィキペディアからさえ消えている」そうだが、英語版のWikipediaにRene Quintonの項目は普通に存在する。 情報源は、『「ザ・フナイ」の中で船瀬俊介氏が連載している記

    海水を点滴したというルネ・カントン氏について調べてみた - NATROMのブログ
    hidex7777
    hidex7777 2014/08/06
    「ただの海水で、病気が治っては儲からない」
  • 近藤誠氏による乳がんの生存曲線のインチキを解説してみる - NATROMのブログ

    近藤誠氏は「がん放置療法のすすめ」「医者に殺されない47の心得」などの著作で知られる医師である。2014年6月29日に放送された、<BSフジサンデースペシャル>『ニッポンの選択』というテレビ番組に、近藤誠氏が出演していた。その中で近藤誠氏が提示した、放置した方が長生きすることを示す乳癌の生存曲線を引用する。 近藤誠氏「これからお見せするのは乳がんで、臓器転移がある患者さんのね、もうstage IVですけれども、治療成績がどう変わったかというと…」 一見しただけでは、抗がん剤を使用する現代の治療よりも、抗がん剤や放射線療法や手術すらなかった100年前のほうが長生きしたように見える。ナレーションでも「何もしない赤のほうが生存率が高いのです」と言っている。しかしながら、放置したほうが長生きできるというのは見せかけだけのものである。それなりの知識がある人がみれば、近藤誠氏によるインチキはだいたい予

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  • メタモル出版から本を出したわけ - NATROMのブログ

    ■「ニセ医学」に騙されないためにを出すにあたって、なぜメタモル出版からなのか、疑問に思われた方もいたようである。もっともな疑問である。 怪しい出版社から執筆依頼メールが来た これまでも「を書きませんか」というオファーは何度かあった。名前ぐらいは知っている、とある出版社からブログについて「書籍化の可能性はないものか」というメールをいただいたこともある。しかし、「実際にお会いしてお打ち合わせ」できないか、という段階で問題が生じた。出版社は東京にある。実績のある著者のならともかく、一ブロガーのの企画段階で九州までの出張費は出ない。というわけで、残念ながらこの話はご縁がなかったことになった。他にもちょこちょこ出版の話はあったが、たいていは自費出版を勧めるスパムまがいのものであった。 そんなとき、「執筆のお願い」というメールをいただいた。メールの差出人は「メタモル出版」とある。あまり聞かない名

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  • 化学物質過敏症に関する私の発言について - NATROMのブログ

    前回のエントリー(■水俣病と化学物質過敏症は異なる)にて、私の「難病や公害に対する基的な姿勢」に問題があるというsivad氏による指摘が誤っていることを論じた。その指摘には今の時点では反論はないようだが、■続・NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について - 赤の女王とお茶をにおいて、■NATROM氏の主張『化学物質過敏症は臨床環境医によってつくられた「医原病」だと思う』への批判 - Togetterで引用されている私の発言群に対する説明をsivad氏から求められた。なるほど、臨床環境医学についての問題点や私のこれまでの発言についてよくご存じでなく、Togetterのまとめだけを読めば、私の発言群について何かしらの説明が必要であると考える方がいるのは理解できる(それにしても、私の発言を問題にしたいのであれば、化学物質過敏症とはまったく性質の異なる水俣

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    hidex7777
    hidex7777 2013/07/17
    おそらく心因性でなくとも大抵の場合行動療法・CBT・マインドフルネス・EMDR・ブリーフあたりは効くと思うんだがそれでも「心理療法ということは詐病」っていうメンタリティもあるのね。へえ。
  • 水俣病と化学物質過敏症は異なる - NATROMのブログ

    ■NATROM氏『化学物質過敏症は臨床環境医のつくった「医原病」だと思う』等について - 赤の女王とお茶をにおいて、sivad氏が私の「難病や公害に対する基的な姿勢」に問題があると指摘している。あたかも私が水俣病の病因を無視して被害を拡大させた医学者と同様であるかのような書き方であった。読者のみなさまには、このエントリーにて、臨床環境医学の問題点や、化学物質過敏症と水俣病の違いについてご理解していただけたら幸いである。 多種類化学物質過敏症と水俣病との違い Multiple chemical sensitivity(MCS, 多種類化学物質過敏症)という疾患概念は、主流の医学界からは認められていない。たとえば、American Medical Association (AMA, アメリカ医学協会)は "Until such accurate, reproducible, and well

    水俣病と化学物質過敏症は異なる - NATROMのブログ
    hidex7777
    hidex7777 2013/07/11
    Twitterで本音をぶちまけて溜飲を下げてブログには建前だけ書くという態度がどういうコミュニケーション的効果を生むかをどう考えているのかに興味がなくはない。
  • 血液型と性格の関係を否定するまずい論法について - NATROMのブログ

    血液型と性格には強い*1関連があるという主張がある。血液型性格判断あるいは血液型占いと呼ばれている*2。こうした主張には科学的根拠はない。詳しくは■遺伝学からみた血液型性格判断で論じた。ニセ科学を論じる上では「定番」となっている話題である。さて、 ■血液型占いにすっかり洗脳されている皆さまの目を覚ます呪文について | More Access! More Fun! というエントリーが注目を集めている。このエントリーでは『女性誌やテレビを中心に蔓延している「血液型占い」は真っ赤な嘘である』と主張されており、その結論には概ね同意はできるが、結論を導く過程においていささか難があるように思える。「血液型占い」が真っ赤な嘘であるとしても、不適切な論法で批判するのはまずい。ここでは、かのエントリーのどの部分が不適切であったのか説明することとする。 アフリカアメリカ人にA型が多いことは血液型占いが間違っ

    血液型と性格の関係を否定するまずい論法について - NATROMのブログ
    hidex7777
    hidex7777 2013/07/03
    そもそも性格という意味的なものと統計学を使った生化学や遺伝学を無批判に結びつけること自体が誤謬なんだけど、はてブにはやはり疑似科学批判マンセーな意見が多い。
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