例によってこっから先は『トラペジウム』のネタバレしかしない。世の中にはネタバレされても面白さが減じない作品もあるが、俺は『トラペジウム』という作品はある種のミステリーであり、ネタバレをすることで、本作の良さがだいぶ目減りすると思いこんでいるので、まだ観てない人は素直にブラウザを閉じてほしい。 初見時のトラペジウムには確かにホラーだった。 荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論【帯カラーイラスト付】 (集英社新書) 作者:荒木飛呂彦 集英社 Amazon さて、荒木飛呂彦は自著『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』のまえがきで、ニューヨークのハーレムで家族に虐待を受けながら暮らす黒人の少女の映画『プレシャス』についてこう書いている。 「感動作ですし、監督もそうなることを意図して作ったはずですが、それでも僕は、この作品はホラー映画だと思います。(中略)これは何よりも人を「怖がらせる」ために作っている。そう