マルクスの研究をしています、と言うと、「マルクスは読もう(読まなきゃ)と思いつつ、ずっと読んでないんですよねぇ」という趣旨のことをよく言われる。「マルクスって何から読むのがいいんですか?」と聞かれることも時々ある。 言うまでもないことだが、マルクスが後世の学問に与えた影響は、経済学・社会学・政治学・哲学(思想)・文化人類学・国際関係学など多岐に渡る。また悪名高き社会主義/共産主義思想の始祖として、歴史に与えた影響の大きさも計り知れない。当然に、マルクスに関する研究書・解説書の量も膨大である(おそらく歴史上の偉大な思想家たちの中でも、先行研究の蓄積量は一、二を争うのではなかろうか)。 このような知の巨人が残した膨大な著作群を前にして、一体どこから手をつければ良いのやら、と途方に暮れた気分になるのも至極当然なことである。そこで、このマルクス・ガイドブックでは、私の独断と偏見によって、初学者に薦