金子みすずの名前は聞いたことがある程度でした。生徒が口ずさむのを聞いて、「誰の詩?」と聞くと、「先生、金子みすずを知らないの?」って驚かれたり、「先生、金子みすずの詩っていいよね」と言われたり。詩人について生徒から積極的に話しかけられた珍しい経験でした。そういうわけで「みんなちがって、みんないい。」というフレーズぐらいは知っていたのですけれど、詩集を手にするまでには至ってなかったのです。 先月、日本に帰国した生徒が、何冊かの本を寄付してくれました。その中に『金子みすヾ童謡集』(角川春樹事務所)がありました。僕は、いま、『老子』の訳を試みています。それは、従来の訳がもの足りないからです。日本では漢文は「男の文学」だったので、どうも勇ましい。老子ですら男らしくがっしりした訳になってしまっています。そのことにずっと違和感があって、原文を眺めていると、あれ、違うんじゃないかという気持ちになりました