就職活動でも仕事場でも、努力や期待に反してうまくいかないことはしばしばです。自分を責めたり、他人のせいにしたり。イライラして、落ち込んで……。そんな「煩悩」から救われる道はあるのでしょうか。文筆活動でも活躍する僧侶の小池龍之介さん(36)に聞きました。 ◇ ――大学を卒業して僧侶となりました。 「学生時代は哲学の研究者になるつもりでした。しかし、人間関係がぜんぜんうまくいかない。哲学を学んでも、実際の処世に役に立たない。大学院に進む試験のその日に『やっぱりやめた』と欠席しました。高校時代に僧籍はとっていましたが、仏教が自分にとって役立ったという経験はありませんでした。一方で、当時は(オウム事件など)宗教が世の中を騒がせた直後、伝統宗教がきちんと機能していないことに強い問題意識を持っていました。人が新興宗教や精神科に行く前に、話を聞くことで癒やしとなるお坊さんの機能を果たせないか、と思うよう