『くらしのきほん』編集主幹であり、新聞・雑誌等の連載を多数持つ松浦弥太郎が、自身の著書『くちぶえサンドイッチ』の続編として週1回の連載コラム『続・くちぶえサンドイッチ』を綴ります。
作ったのは豚肉だけの酢豚だったから、奮発して普段買わない高い豚肉を使ってみた。料理のための時間も確保した。気持ちは前の日から盛り上げていた。もちろん料理本はじっくり読んで、レシピを頭に叩き込んだ。とびきりおいしい酢豚を作って食べる気持ちで一杯だった。そこまで準備周到でいながら、なぜ失敗したのだろう。そう考えれば考えるほどに、ガクっと気持ちが落ち込むのだ。失敗の原因? わからない。だって、レシピ通りに作ったんだもの。 うーむ。まあ、酢豚を作るのは初めてだったので仕方ないと思いたい。いくらレシピを覚えるほど読んでも、目の前で起こることを完全には想定できていないからだ。油に入った中華鍋に豚肉をいれた時、どのくらいジュウジュウ音を立てるかとか、豚肉を返すタイミングとか、そういういろいろなことが次から次へと起きて、しかもそれは待っていてくれない。どんどん状態が変わっていき、軽ーいパニック状態で必死に
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