IBM Researchは既存のチップ製造機器を利用して、今日のチップと比べると格段に細かい、29.9ナノメートル間隔でシリコンに線を描くための方法を考案した。この開発により、将来的にチップを製造するコストの削減が図れる可能性がでてきた。 この画期的発明は、液浸リソグラフィー(immersion lithography)を拡張した実験版の技術から誕生した。液浸リソグラフィーでは、シリコンウエハーを純水に浸す。レーザー光線を複雑なマスクを通して照射し、ウエハー上に微細な影のパターンを投影する。さらにこのパターンは、ちょうどネガフィルムが写真として印画されるのと同じような化学的プロセスを経て、永久固定される。パターンが複雑なほど、回路が細かくなる。 ウエハーを水に浸すのは、空気よりも水のほうが光の屈折率が高いためである。それにより解像度が高まり、パターンが細かくなる。液浸リソグラフィーは比較的