11月、頬にふれる風が一段と冷たくなってきた頃、わたしたちは岩手県陸前高田市にいました。 さてその目的は、図書館に送られてきた大量の寄贈本を引き取ること。 上田市から約600キロ、空っぽのトラックを走らせ向かったのは陸前高田市立図書館。 東日本大震災によって被災し、2017年に再建されたばかりの図書館です。 「再起をはかる図書館にとって寄贈本は助かる存在では?」現地を訪問する前のわたしは呑気にそんな風に考えていました。 しかし、図書館にとって「善意の寄贈本」は、手放しで歓迎できない事情がありました。 すべてを失った図書館が再始動するまで 2011年3月11日、陸前高田市立図書館は、東日本大震災の大津波により全壊。職員7名が犠牲となり、郷土資料6,000 冊を含む蔵書約80,000 冊が失われました。 被災後、陸前高田市ではたくさんの寄贈本が寄せられましたが、手が回らず避難所等に山積みになっ
![不幸な本を生まないために。図書館が望む、より良い寄贈本の在り方。 | 古本買取のVALUE BOOKS](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/ebd8eb86c3b3f738740d711d38619c270878629c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwcdn.valuebooks.jp%2Fendpaper%2Fupload%2Fpost%2F41d479eff6cc6d32753b293afa87aa80.jpg)