画家のファン・ゴッホは、今でこそ史上最高の芸術家の1人として、その影響力や創造力がひろく評価されていますが、この世を去ったときは、孤独にさいなまれ一文無しでした。なぜそんなことになったのでしょう? それは100年以上前の当時、彼が描く絵画は、世の中とうまく折り合いをつけられない世捨て人による、妄想的で奇妙な作品だと見られていたからです。ゴッホの作品が傑作だと認められたのは、彼の死後かなりの時間が経ち、ほかの芸術家や評論家が新たな美的基準を定義してからのことでした。「創造性」というと、私たちはとかく個々人に備わった、独力で発揮できる才覚のように捉えがちです。しかし実際には、創造性が発揮されるには、同じような考えを持つコミュニティーの存在が不可欠です。新しいアイデアは「これは新しい。画期的だ。今までのものよりずっと良い」と評価してくれる周囲の人たちがいてこそ、初めて成り立つのです。 真の創造性