2021年5月25日、SF長編『三体』三部作(早川書房)が、『死神永生(ししんえいせい)』の刊行を以て完結した。作者は中国の作家・劉慈欣で、世界全体での累計発行部数は2900万部を超える大ヒット作だ(2019年時点)。 異星人である「三体人」と地球人との攻防を描いた『三体』について、台湾籍の作家である李琴峰さんが、その魅力を語った。(初出:『文學界』2020年10月号、全2回の2回目。1回目を読む) ◆◆◆ 地球人と三体人の初戦――『黒暗森林』 陽子を11次元展開させることができるなど、地球よりも遥かに高度な技術を有する三体星人は、しかし弱点が全くないわけではない。過酷な環境を生き抜くために、極度の独裁体制、そして効率と生産性を重んじる合理的な生き方を作り上げたため、彼らの世界では意思疎通は思考のレベルで行われている。つまり互いにとって思考が筒抜けなのだ。そのため、三体人の世界では高度な謀
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