少子化で入園児不足に悩む幼稚園と、都市部を中心に待機児童が増え続ける保育所。お互いの垣根を取り払って一体化すれば、一挙に課題を解決できるはずだというのが、「幼保一体化」の考え方だ。 合理的な解決策に見えるが、そう単純ではないようだ。壁になっているのは、監督官庁が異なる縦割り行政のほか、保護者らの意識の違いもあるという。 幼稚園は文部科学省所管の教育機関に位置付けられるのに対し、保育所は共働き家庭の子どもを受け入れる施設で、厚生労働省が進める保育行政の所管になっている。 幼保一体化は自民党政権時代からの懸案事項だが、頓挫の繰り返しだった。菅内閣が閣議決定した追加経済対策では雇用創出を図る規制改革として、あらためて一体化方針を明記した。 政府案によると、異なる根拠法を一本化し、教育と保育を共に提供する「こども園」を新設する。将来的には「子ども家庭省」を創設して縦割りの弊害を解消するとい