一躍、世の中への認知度を高めてしまった、佐野研二郎さん。オリンピックのエンブレムに選ばれなければ、一部の狭い業界内では、誰もが知るデザイナーで済んでいただろう。佐野さんとは面識はないが、写真で見る限り「良さそうな人」という雰囲気は伝わってくる。業界の後輩や仲間が、弁護に回ったことからも分かるように、人望もあったのだろう。 インターネットは、個人個人の集合体である。これがこれまでにはなかった情報環境である。業界や小さな伝統的な人間関係の中で成立した評価やルールや常識が通用しない。通用しないどころから、そうした閉鎖的環境を前提とした言辞や論理は、攻撃の対象になる。古いメディア環境では、こうした小さな業界が、大手メディアと結合して、一方的に情報を流していた。「進歩的文化人」と呼ばれた「小さな村」としての勢力の内部での論理や評価は、インターネットの個人からすれば、自分勝手な言い分に見えるだろう。そ