2023年3月末に、1000人を超える有期雇用の研究者が無期雇用への転換直前で雇い止めされかねない問題で、9年前にはあのノーベル賞受賞者がこの危機を明確に予見していた。長い猶予期間があったのにもかかわらず事態を回避できなかった責任は、誰にあるのか。政府の担当者や政治家を直撃した。 いわゆる有期雇用者の無期転換ルール(有期雇用が通算5年で無期転換申込権が発生)は、民主党政権下だった2012年8月に成立した改正労働契約法で定められた。ただ、翌年に自民党・公明党の議員(2012年12月に自公政権へ交代)が議員立法による特例を設け、研究者の無期転換申込権の発生を10年に延ばしたのが当時の経緯だ。 一般の労働者も研究者も有期雇用の通算期間の起算日は、いずれも改正労働契約法が施行された2013年4月1日になる。研究者の場合、そこから10年になる2023年4月1日まで雇用が続いていれば、無期転換申込権を